夏。都内、大西探偵事務所

善野はるきは正面に座る美女、

依頼人の真鍋 咲（まなべ さき）に言う

咲は色気の漂う声で尋ねる

善野は腫れ始めた頬をさすった

善野は横目で所長の大西を見た

善野は席を立ちお茶を淹れ、

2人の前に置きソファに座った

大西は善野をジッと見据えた

元刑事の大西は、思考を整理するべく

タバコに火をつけた

深夜の静かな住宅街

真鍋裕也は酔っぱらっていた

高級マンションの廊下に

ガチャガチャと大きい声が響く

自分の首を手で押さえる裕也

真鍋裕也の意識は途切れた

床、壁、天井一面、白濁色のビニールが敷かれている

目出し帽の男が視界に入る

男は興奮している様子だ

男は裕也に顔を近づける

男はナイフを振りながら

身振り手振りで話す

裕也の目はナイフにくぎ付けだ

男はしばらく裕也を見つめる

恐怖に顔がゆがむ裕也

それを見た男は嘲笑する

男はメモ帳を取り出す

男はメモ帳をポケットにしまう

裕也の目に涙があふれる

眼前のナイフがゆっくりと

這うように下に向かう

ナイフが心臓でピタと止まる

男は裕也の耳元に口を寄せ、

ささやくように言った

包丁より一回り大きいナイフ

それが裕也の胸に沈んでいく

裕也の意識は

自分の胸に刺さるナイフを最後に

永遠に途絶えた

男は小刻みに震えている

男はゆっくりとナイフを抜き

裕也の親指に切り込みを入れる

そして別のメモ帳を出し

そこに血の指紋をおした

そして電話をかける

5分後

坊主頭の男がやってきた

男は玄関に行き、

外に出る前に目出し帽を外すと、スマホが震える。

男はそのまま電話に出た。