雪(みだいふく)
雪(みだいふく)
雪(みだいふく)
雪(みだいふく)
何でもいい方だけ見てってください
雪(みだいふく)
俺達はいつも3人で遊んでいた。いつも一緒で、離れることなんてなかった。
あの日が来るまでは。
その日は少し変な気候だった。雪と雨が一緒にふっているのだ。 でも、とてもきれいな景色だった。
とある話を聞く、その時まで。
その日もいつも通り3人で遊ぶと思っていた。
だからそんな寒い中外へ出た。
なのに、そこにいたのは兄さん1人で、あいつの姿がどこにも見つからなかった。どれだけ待ったって、くる気配すらなかった。
おかしい。どんな日だって、俺たちは1日も欠かさずに集まって、俺達兄弟だよねと約束して
その印に全員同じ色の同じ文字のアクセサリーを交換し合ったはずなんだ。それぞれ兄さんはピアス。俺は腕輪。ロボロはネックレスを持らったはずだ。
それも紫、黄色、ピンクの、「フォーエヴァ―」という文字の。
あいつが俺たちを裏切るはずがない。そんなことは知っていた。でも、物凄く怖くて。あいつが消えてしまった。そんな気がして。
兄さんはずっと冷静だった。焦って何もできない俺と違って、ロボロの情報を集めようと動いていた。
そしてようやく集まった一つの情報、それはロボロがこの村から追い出されたというものだった。
俺はそれを聞いた瞬間、絶句した。だって、もしいつもの格好でロボロが村を追い出されたのなら、ロボロは確実に凍死してしまうと思ったから。
俺はその時すぐにでもロボロを追いかけたかったけど、兄さんから止められて
兄さん
と、そう言われた。
俺は正直納得いかなかったけど、いつも言う事が正しいのは兄さんとロボロだったから、俺は言う事を聞いてなるべく早くお金を貯めることにした。
そもそも俺たちが出会った経緯がどんなんなのか、それについて教えよう。
俺は、実の親がいない。正確に言うと、実の親は俺を捨ててどこかへ消えていってしまった。
俺が捨てられたのは5歳の時で、当時の俺は髪が長くて女の子っぽかった。
だから拾ってもらえたのだ。
繁殖用として。
なら男でもいいじゃんって思うかもだけど、この家には男しかいなくて、もし相手が見つからなかったときに俺を使って繁殖させようとしたらしい。
だから俺が男だとバレたあの日から、俺への態度が変わった。ゴミを見るような目で俺を見て、ふざけるな。その一言。
きっと男子を拾ってしまった事を、俺のせいだと思ってるんだ。 でも違う。確認をしないほうが悪いんだ。
そう思う事でしか、毎日を生きられなかった。
とある日、俺は久しぶりに外の世界が見たくなった。そしてひっそりと家を抜け出して彷徨い歩いていた。
そして、公園のような場所を見つけた。そこにはぽつんと一人、俺より少し年下っぽい男の子が立っていて、静かに歌を歌っていた。
俺は気になってそいつに声をかけた。
シャオロン
するとそいつは驚いたような顔をした。
??
シャオロン
自分でも驚くほど素っ頓狂な声が出た。開口一番「お前の親はあたまおかしいんか?」なんて、今まで言われたことがなくて、なんだかおもしろくて笑ってしまった。
シャオロン
シャオロン
そう言った瞬間、また少し驚いた顔をした後
??
そういって、黙り込んでしまった。そして俺が話しかけようとした瞬間、また一つ、違う声が聞こえた。
???
そう言った声の主を探すと、そこには明らかに俺達よりもひときわ背の高い男の子を発見した。それと同時に、だから声をかけたときお前の親は頭おかしいんか?と聞かれたんだと思った。...でも
シャオロン
そう聞くと、その子は少し先ほどより低い声で
???
と、そう言った。
シャオロン
??
兄さん
こりゃ言い逃れ出来ないな、と思ってみていると
??
と、本人そっくりの写真を出して一言。
??
その写真をみた背の高い子は、目を見開いて
兄さん
と質問した。それに対して彼が返した答えは、
??
そんな意外なものだった。背の高い彼は、驚きと真の犯人が分かった喜びで、表情がぐちゃぐちゃだった。そして、背の低い彼はこういった。
??
と。しばらくして背の高い彼も、背の低い彼も帰ってしまった頃、俺もそろそろ帰ろうと帰路を辿っていると、目の前に”家族”の姿があった。
てっきり勝手に家を出たことを怒られると思って、身構えたが何もして来なかった。そして、やっと愛してくれるのかな?とそう思った瞬間、
縺イ縺ィ繧峨s
そう言われた。”ハハ”から紡がれた言葉はあまりに残酷で、俺を絶望させるには十分だった。そのまま、俺は帰路を辿った。
翌日、俺は例の場所に向かった。道中で誰かの噂を聞いた。「あそこの家の”天使ちゃん”が無残な姿で発見されたって」「犯人分かってないんでしょ?ひゃー怖い」そんな内容だった。
俺には関係ないからと、無視していた。でも、その噂の犯人はすぐにわかった。公園に着くと、まだ一人しかいなかった。そう、背の低い彼一人。
俺はまず彼にこう言った。
シャオロン
ロボロ
嫌な顔をしながらも答えてくれた彼に俺はもう一言。
シャオロン
と、そう言った。ロボロは特に反応はしてくれず、沈黙が続いた。その沈黙を破ったのが、後から到着した彼だった。
そして俺は彼にも同じ質問をした。
シャオロン
兄さん
俺がロボロの名前まで言ったのは不思議そうだったが、特に気にせず、 兄さんがそう言ったのを聞くとロボロが動いて兄さんにとある動画を見せ
ロボロ
と言った。そこには昨日の写真の子が必死に命乞いをしていて、ロボロがその子をいろんな方法で痛めつけている映像があった。
俺も兄さんも、胃の中にある物がのどを通って上の方に上がってくる。何これ。分からない。でも、とにかく気持ち悪い。
するとロボロが何かを察して、それを回収し、地面に膝をつき、兄さんに謝罪した。
ロボロ
それを聞いた兄さんは優しくニコッと笑い、
兄さん
兄さん
と提案をして来た。もちろん俺は
シャオロン
と返した。そしてロボロは
ロボロ
と、何とか承諾してくれた。ていうか、きっと兄さんへの罪悪感なんだろうけど。
そして、俺たちは兄弟になった。初めは、”作られた”兄弟に皆ぎこちなかったけど、どんどん”本物”になっていった。
ロボロが居なくなってからしばらく経った。そろそろ村を出られるのがうれしかった。それは俺の”もと”家族も同じようで嬉しそうに俺を見送っていた。
そして、いよいよ俺たちは村を出た。俺達のどちらもこの村に思い入れなどなかった。だから”滅んでしまえ”と思いながら村から遠ざかっていった。
因みに後から兄さんが、今思えば俺の親俺にろくなことしてなかったわ。ロボロ、ごめんな。
と言っていて、ロボロが全然いいよ。と返したことは今でもよく記憶に残っている。兄さんがいて今も楽しいけど、やっぱりロボロが居た方が楽しい。
だから絶対にロボロを見つけ出す。本当は物凄く怖い。ロボロは冬に、雪の降る中半袖半ズボンのボロボロな服で村を出たから、生きているかどうかすらも怪しいから。
シャオロン
シャオロン
兄さん
唐突な俺の弱音にも、嫌な顔一つせず優しく返してくれる。本当に俺が出会ったのが二人で良かったとつくづく思う。
シャオロン
今はもうやっていない殺し屋。一番手っ取り早くお金を手に入れる方法だった。だから殺し屋をやった。
初めは俺はビビりだったから、なかなか殺せないで兄さんの足を引っ張っていた。でも今はもう他人の命なんてどうだっていい。ロボロのためだから。
そう思うと本当俺達って変わったよな。と、感じる。そしてしばらく歩いて、日も暮れる時、俺たちは襲撃にあった。
殺し慣れをしている50人程度の裏組織、さすがにこの数を相手するのは俺達には無理だった。そのまま俺たちはいい商売道具としてそいつらに捕まった。
でもそこで、刀で人を斬る音がした。そして誰かが言った。
少年
と。無理だ、音的に今来た奴は一人。そしてこいつらはいくら俺たちが減らしたとはいえ、30人越えだ。無理に決まってる。
彼が負けたかどうかを知りたかったが、意識を保つので精一杯だ。そして俺が意識を手放す直前、「成長したな」と、聞こえた気がしたが、考える暇もなく、俺は意識を手放した。
朝起きると知らない場所にいました。はい。で済ませられるかぁぁぁぁぁ!
昨日たったの50人に負けたし、、、いつもなら勝てたのに!なんでや!!
と、考えていると、横から
兄さん
という笑い混じりの声を聞いた。そして俺が反論しようとした時
少年
と、気配無く表れたそいつに俺はすぐさま戦闘準備をした。
少年
彼はそれだけ言って、出口っぽい場所まで向かっていった。
シャオロン
兄さん
シャオロン
そんな会話を交わした後、俺たちは彼の向かった方向に行った。そして
ロボロ
と言われ、俺たちは無言のまま歩いていた。
しばらくして何か大きな建物がある場所に着いた。そこの門番らしい人は、彼を見た瞬間、耳に着けた機械に対して何か話している。
いいなー。あれ欲しいなー。あれがあったら兄さんとの通信楽そー。なんてのんきに考えていると、誰かが出て来た。
その人を見た瞬間、兄さんが急に目を見開いて、
兄さん
明らかに動揺している兄さんの言葉を聞いた後、俺もびっくりした。なんでこの国の王族がこんな場所に?
きちんと考えたかったが、そんな時間も与えずに、彼が
少年
と言った。その瞬間兄さんも俺も驚いて、
シャオロン
兄さん
そう言った瞬間、グルッペン様が驚いた顔をして
グルッペン
と言いながら、俺たちを助けてくれた彼の方を指さして言った。すると
ロボロ
といった。俺はびっくりして、彼の顔につけられた面をとった。ピンクの瞳だった。まさかと思って首元を見ると、”フォーエバー”とかかれたネックレスだった。
雰囲気も、言葉遣いも、何もかも変わりすぎて一目でわからなかったのは悔しかったけど、再会できた喜びに、俺も兄さんも大人げなくロボロに抱き着いた。
どうやら俺はいらない心配をしていたようだ。だって、ロボロの体はこんなにもあったかいんだから。
結局暫くして落ち着いた俺は、旅をする理由もなくなったし、このままだとさすがにまずいと思い、後から軍だと説明されたここに入ることにした。
因みに、総統はこの国の王様らしいが、家出したから知らんっていってて、ビックリした。あと敬語と様付けは許さん、他の呼び方を考えろとも言われた。
シャオロン
ロボロ
そう会話していると、グルさんから、
グルッペン
と聞かれ、
シャオロン
と俺が答えると、グルさんから
グルッペン
と言われた。もちろんと首を縦に振り、返事を返した俺はロボロに
シャオロン
ウソ泣きでそういったら
ロボロ
と、承諾してくれた。グルさんが本当にうれしそうなのを見ると、多分今までロボロは承諾のしの字も見せたことがなかったのだろう。
正直、一緒に住めないのは寂しいけど、仕方ない。そしてあとは兄さんの判断を聞くだけ。と、兄さんの方に視線を送る。すると
兄さん
兄さん
と言った。その言葉が聞けてほっとした。
それから俺たちは変わらず兄弟として過ごしている。この軍の仲間はもう家族やけど、幼馴染と言えるのも、兄弟と言えるのも、この三人だけや。
ショッピ
シャオロン
チーノ
兄さん
そんな会話をしたあと、ショッピ君が考え込んでいるのに気付いた俺は、ショッピ君に質問した。
シャオロン
ショッピ
シャオロン
ショッピ
兄さん
ロボロ
シャオロン
という声もむなしく無視され、皆は解散していった。もうこの日常は崩壊することのない日常だと確定しているから。いや、それでも俺は一日一日を大切にしていきたい。 シャオロン
成長したロボロを見て、あぁ、大きくなったなと思った時のことは今でも覚えている。今ではすっかり皆が家族だけど、兄弟として成長を見届けたいのはやっぱりあの二人だけだ。いつかの終わりが来る前に、もう一度、俺の腕の中で子供のころのように甘やかしてやりたい。 兄さん
雪(みだいふく)
雪(みだいふく)
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