大渕隼人
思ったよりも早く到着したぞ!
三橋清吾
まじで?
三橋清吾
山奥だから
三橋清吾
そんなに早く辿りつけるとは思わなかったな
大渕隼人
陸上部をナメんなよ笑
三橋清吾
はいはい笑
三橋清吾
それで?
三橋清吾
噂通り廃墟はあったのか?
大渕隼人
もちろん!
大渕隼人
廃墟って言っても随分しっかりした状態だぞ
大渕隼人
壁のひび割れ以外は気にならないくらいだ
三橋清吾
へぇ
三橋清吾
誰も住んでないなんて
三橋清吾
もったいないな
大渕隼人
そうだな
大渕隼人
でもちょっと変な雰囲気がある
三橋清吾
変な雰囲気?
大渕隼人
うん
大渕隼人
この廃墟、窓が1つもないんだ
三橋清吾
窓がない家なんて聞いたことない笑
大渕隼人
だよなー?
大渕隼人
さっき家の周りを一周してみたけど
大渕隼人
本当になかったんだ
三橋清吾
そうなんだ
三橋清吾
だったら民家じゃなくて
三橋清吾
小屋代わりに建てられてたのかな?
大渕隼人
あぁ
大渕隼人
そうなのかもな?
三橋清吾
で?
三橋清吾
噂の割れ目は見つけたか?
大渕隼人
廃墟の割れ目に手を入れると
大渕隼人
死者と握手ができるってヤツだろ?
三橋清吾
それそれ!
大渕隼人
家の壁にいくつかあったけど
大渕隼人
人間の手が入るような大きな割れ目は
大渕隼人
一カ所しかなかった
三橋清吾
まじか
三橋清吾
きっとそれだ!
大渕隼人
俺もそう思う!
大渕隼人
見つけた瞬間すげぇ興奮したよ
大渕隼人
本当にあった!って
大渕隼人
俺1人なのに騒いじゃった笑
三橋清吾
そっかー
三橋清吾
後は噂が本当かどうか
三橋清吾
試してみるだけだな!
大渕隼人
うん…
三橋清吾
どうした?
大渕隼人
いや、ちょっと緊張して
三橋清吾
そこまで行って
三橋清吾
なにもせずに帰るわけじゃないよな?
大渕隼人
もちろんだ!
大渕隼人
俺、5歳の頃に両親亡くしてて
大渕隼人
ずっと会いたいと思ってたんだ
三橋清吾
知ってる
三橋清吾
だからお前に
三橋清吾
死者と握手ができる廃墟があるって
三橋清吾
教えたんだ
大渕隼人
うん
大渕隼人
直接会うことはできなくても
大渕隼人
握手できるかもしれないと思うと
大渕隼人
嬉しくて…
三橋清吾
わかるよ
三橋清吾
だけどそこは山奥だ
三橋清吾
急がないとあっという間に暗くなるぞ
大渕隼人
そうだよな
大渕隼人
明るい内に
大渕隼人
早くしないと
大渕隼人
大渕隼人
今割れ目の前に移動してきた
三橋清吾
そっか
三橋清吾
俺まで緊張してきた
大渕隼人
だろ?
大渕隼人
よし、割れ目に手を入れてみるぞ
三橋清吾
あぁ
大渕隼人
(あ…)
大渕隼人
(今なにか手に触れた)
大渕隼人
痛っ!
大渕隼人
(なんだ?)
大渕隼人
(急に焼けたような痛みがあったけど…)
三橋清吾
おーい
三橋清吾
どうだった?
大渕隼人
あぁ…
大渕隼人
なにかに触れたけど…
三橋清吾
まじか!?
三橋清吾
あの噂は本物だったんだな
三橋清吾
死んだ両親と握手できたんだろ?
大渕隼人
わからない
三橋清吾
え?
大渕隼人
手が…
大渕隼人
焼けるように熱いんだよ!