この作品はいかがでしたか?
16
この作品はいかがでしたか?
16
僕はママが大好きだ
僕が生まれてきた時の記憶は今でも覚えてる
ガラス越しだけれどもママが僕を見ていた
その顔はとても嬉しそうな顔をしてた
それを見た僕も不思議と嬉しかった
そのあとママは僕のいる部屋に入ってきて僕を持ち上げる
そして僕を見てニコッと笑ったあと僕に名前を付けてくれた
起源となる者【アダム】
ママはそう言って僕にアダムの名をくれた
僕に発声器官は無いみたいだ
けれどもママの発する言葉は理解出来る
それだけじゃないちゃんと感情もある
だからママが悲しいければ僕も悲しい
嬉しければ僕も嬉しい
ママの幸せは僕の幸せ
本能的に僕はあの人がママだと分かった
そしてママの周りにいる人達がママのお友達というのも分かった
全てを理解しても今の僕の体では何も出来ない
自分の体が成長するのを待つことにしようかな
いずれ僕はママの隣に立ちたいからね
僕が生まれて数ヶ月
僕の成長スピードは早かった
少し前まで四足歩行だったのに今ではママと同じ二足歩行まで成長した
背丈も今では僕の方が大きくなった
実はここ数ヶ月の間に色んなことがあった
まず僕に兄弟ができた!
日に日に兄弟は増えていって僕も嬉しかったし何よりママが1番笑顔だった
そして僕はママと一緒ならあの部屋の外から出てもいいという許しが出たという
だから片時も僕はママの傍を離れなかった
何もかもが上手くいってたのに……
最近ママを見てない…
もっと言えばママのお友達も見てない
今僕の前にいる人たちは全く知らない人達ばっかりだ
僕はその人達が大っ嫌いだ
ママたちと違って僕を見る目が嫌いだ
ママ達は家族を見守るような暖かな瞳だったのに今いる人たちは違う
僕を好奇の目で見てくるんだ
笑みもママ達とは違う
優しい笑みなんてものはそこにはなかった
それら全ても嫌いだけれど1番は
僕の兄弟達が日に日に消えていくことだ
兄弟が消える子供にあっちの人数は増えていく
きっとあいつらが僕の兄弟を……
今日ママが帰ってきた
いや、正確には僕を連れ出しに来たみたいだった
いつもの笑顔はそこにはなくただ焦りが全てを物語っていた
急いで扉を開けて僕を外にと導いてくれる
しかしそれら全てを読まれてたのか
出口付近で武装をした人間の壁が出来上がっていた
武装している人間の中に白衣を着た老人が1人前に出てきた
そしてその老人はママにこう言う
【ソイツをこちらに渡せ】
【それさえあれば世界を変えられる】
老人はそう言い放った
ママはそれに対しその意見全てを否定し僕を庇うようにして前に立つ
交渉決裂した事が僕でもわかった
それが決まった瞬間老人は発砲許可を出しママを撃ち抜いていく
それを僕は見てるしか出来なかった
砲弾が止むのを見て前を抱き上げる
ママは少し笑っていた
でもそれとは別に涙も流していた
許せない……
ママが死んでそれを見て笑うあの人間が…
多分アイツがママのお友達すらも……
何人かの兵士が僕に近づく…
触れようとしたから僕はそいつらを吹き飛ばした
絶対に許さない…
命の価値を理解してないクズどもが…
僕は絶対に許さない……
アダム
アダム
アダム
アダム
アダム
アダム
ある日私の研究がついに実った
理論上最強の生物が作られた
そしてこの子を基準とした新たな子も作っていく
この子を作った理由はただ1つ
人と異型な生物との交流
そして人間の生活の手助けをすること
だから人型に成長するようにしてその上で身体能力を底上げして
核にも耐えきれる体を形成した
代わりに発声器官は失われてしまったけれども
それでも良かった
私の研究が実ったのだから
その第1号ということで彼の名はアダムにする
葛葉
葛葉
葛葉
それから数ヶ月後アダムを元にした兄弟が何体か出来上がった
それらはアダムと同じところに収容された
きっとアダムも嬉しいと思うからね
そんな矢先に代表から呼び出された
呼び出しの原因はアダムについてだ
彼は世界にみせては行けない
もし見せるのならばそれは生物兵器として見せることになる
そう私に話してきた
そうなりたくないのなら自らの手で彼の息の根を止める事になる
そんなの私には出来ない
だから代表の言葉を無視して数ヶ月という時を刻んだ
ある日の事いつも通り自分の持つ研究チームの部屋に入る
しかし部屋の中はいつもとは違った
仲間がみんな殺されていた
代表がやりに来たんだ
代表の狙いはアダムで間違いない
そう思い私は直ぐにアダムの元に向かい
あの部屋から連れ出し外にと共に向かう
あと少しと言うところで代表にあった
正確に言えば待ち伏せされていた
代表がゆっくりと前に出て私に問いかける
しかし私はそれらの要件全てを否定した
その瞬間私は撃たれた
せめて私が死んでもアダムだけは生かしたかった
アダムの前に立ち壁として私の最期を飾ることにした
意識も朦朧としていて声も出せない
けれども感覚はなんとなくだけれども生きている
誰かが私を抱き上げてくれた
きっとこれはアダムが私を抱いてくれたんだと思う
そう思うと少し笑みがこぼれる
それと同時にその姿を見れない事と彼にまだ与えてあげたいことが沢山あったことを思い出し
少し涙がこぼれる
葛葉
葛葉
葛葉
葛葉
きっとこの声はアダムには届いていない
でも彼に伝えたかった
生きていて欲しかった
私の研究成果としてでは無く
私の子供として彼には生きて欲しかった…
コメント
1件
人って醜いよね というお話でもあるし 愛情込めて育てれば気持ちは伝わる ていう話にもなるよね (無理があったかな?