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朝起きたら青にいしかいなくて、

青にいの様子もなんだか変だった。

レンジの前でぼーっと 突っ立っている青にい。

青にい...?

名前を呼んでも返事はなくて、 少し大きい声で「青にい!」って 呼んでみたら

...あ、橙くん

おはよう!

と、いつもの調子で挨拶された。

その後もいつも通り一緒に ご飯を食べていたから、 気にしないようにしていた。

でも、ご飯食べてる時に黄ちゃんが

青にい、おかしくないですか?

と話しかけてきた。

いつももっとうるさいし、今日はバナナも食べてません

確かに...

いつもの青にいと言えば...

おはよ〜...

青ちゃんおはよう!

そこに朝ごはん用意してあるよ!
もちろんバナナもね!

バナナぁぁぁ!

...うるさ

うるさいな

...モグモグ

...おはよ

お!赤!おはよ!

...、

赤ちゃんのも用意してあるよ〜

......

...ありがと

赤ちゃんもバナナいるぅ?

...モグモグ

なんで無視すんのぉぉぉ!!

本当にうるさいです

なんでぇぇぇ!

黙れ

すみません

ふふ笑

...みたいな感じやからな...

それに...

というか紫にいも桃にいも赤もおらんし、今日変や

言われてみればそうですね

いつもは六人でご飯を食べているのに 今日は三人。

今日は...何かが違う。

聞いてみましょう

青にいに確認しようとする黄ちゃん。

ちょっと待って

なんとなく、それを止めた。

なんですか...?

なんで止めたのか、自分でも よくわからない。

だけど...

俺たちは、まだ知るべきやないんやと思う

そう、思った。

橙にい...何か知ってるんですか?

何も知らんけど...そんな気がする

...わかりました

今は聞かないでおきます

黄ちゃんは意外にも俺の意見を 聞き入れてくれた。

ふう...

青にいのこと...よく見ておかないと...

しばらくして、青にいが 食器洗いを始めた。

普段は紫にいか桃にいが やってくれてるけど、今日は いないからだと思う。

青にいには申し訳ないが、 俺はとりあえず食器だけ下げて、 黄ちゃんとゲームをすることにした。

ゲームを始めたのは良いものの...

橙にい!どうしてそっち行くんですか!

俺...ゲーム苦手やしな...

橙にいちゃんとしてください!

ああそこ違う!

そっちに行ったらダメってなんでわからないんですか?

ほら...負けちゃった

赤がいればなんとなく丸く収まるが、 今日は赤がいない。

それに、黄ちゃんの当たりも俺に 対してだからかいつもより少し強い。

ごめん〜

だってわからんもん...

本当に、わからないのだ。

わからないんじゃないです!

わかる気がないんじゃないですか?

...、

わかる気がない...。

俺はそもそもわかろうとさえ していないということなのか。

だとしても才能というのはやはり どんなことでも必要だし、ゲームの 才能が少し欠けてるのだとは思う。

俺は黄ちゃんみたいにゲーム上手くないもん

...才能がないから。

だったら...

こら〜

喧嘩しないで

まだ言われるのか、と覚悟した時、 青にいが助けに入ってくれた。

普段こんな喧嘩をしているのは 桃にいと青にい、もしくは 俺と黄ちゃん。

どの喧嘩にしろ、紫にいが 止めに来ていた。

だから、青にいが止めに来ることが すごく新鮮だった。

だって...

だってじゃないでしょ〜

橙くんだって頑張ってるんだから

青にいもゲーム上手い方なのに...

俺の気持ち...わかるのかな...

仲良くゲームできないんだったらゲームしちゃダメです

それは俺にとっても困る...

...、

ごめんなさい...

僕...ついカッとなって...

僕の方が...橙にいの気持ち考えてませんでした...

ごめんなさい

黄ちゃん...大人になったんやな...と 一人感心する。

怒ってないから大丈夫やで

え...?

別に今回のことに関して 怒っていないし、謝ってほしいとも 思っていなかった。

ただ...

だけど...ちょっと悲しいかも

少し、悲しくなるだけ。

俺もゲーム上手かったらなあ...とか時々考えるし...

ほら、桃にいも青にいも黄ちゃんも上手いやん...?

一緒にやりたくても邪魔かなあとか考えちゃって...

チームプレイだとしても、 バトルだとしても、俺が下手なせいで 楽しくなくなったらどうしよう、と どうしても考えてしまう。

迷惑なのではないか、と。

ただ、それだけ。

...そんなことないです!

本当は...橙にいとゲームできて嬉しいし...//

たまには可愛いことも言うんやな...

また...ましょう...

え?

本当は聞こえている。

「またやりましょう」と。

だから...!またやりましょうって...!//

くふふ笑

青にいが笑った。

いつもの...青にいやな...

よかったね、橙くん

そう優しい声で言う青にい。

うん...!

もう...//早くやりますよ!//

照れながら催促してくる黄ちゃん。

は〜い

仲良くやるんだよ〜

いつもの日常だって、思ってた。

待っても待っても3人は 帰ってこないし、青にいももう 何時間もリビングに来ていない。

勉強でもしてるのかな、と思って 昼ご飯とかは自分たちでやったけど、 さすがに夜になっても 戻ってこないのはおかしい。

それに3人のことも心配やし...

上...行ってみるか

そう呟き、俺は階段を登った。

...青にい?

そう声をかけ、とりあえず 青にいの部屋を覗いてみたが、 そこに青にいの姿はなかった。

...?

よく見ると、赤の部屋のドアが 少しだけ開いていることに気づいた。

...ポロポロ

泣いてる...?

心配になった俺は、もう何年も 入っていなかった赤の部屋に 足を踏み入れた。

兄ちゃん...?

...なんで泣いてんの?

え...ポロポロ

驚いたようにこちらを見る青にいの 目は赤く腫れ上がっていた。

...なんでもないポロ

目をこすってわざとらしく笑う。

無理に笑ってることくらい、 俺でも気づく。

どうした...?なんかあった...?

なんかあったって... ありすぎなんやけど...

その...もう、夜なのに...

紫にいと桃にいと赤が帰ってこないんやけど...

そう伝えると、青にいはきょとんと した顔をして、数秒間黙った。

夜...?

今、何時かわかる...?

時間も知らんかったんや...

え...19時半...

...、

青にいは少し俯いて、何かを考える ような仕草をした。

ご飯とか...大丈夫だった?

ごめんね、何もしてなくて

きっとそれ以上に心配なことや 不安なことがあるはずなのに、 それでも謝ってくれる青にいは やっぱり優しい。

いや...それは大丈夫なんやけど...

...ごめん、橙くん

黄くんのことお願い

は...え...

走って部屋を飛び出す青にい。

突然すぎて、何も聞くことすら 出来なかった。

...どういうこと?

一体何が起こってるんや...

考えても考えても答えは 見つからない。

疲れた...

赤のベッドに腰掛ける。

...?

ぼーっと机の下を眺めていると、 ノートが一冊落ちていることに 気づく。

日記...

中を開くと、日記だった。

20○□年10月25日

今日から日記を書いてみようと思う。

特に理由はないけど、なんとなく。

いつまで続くかな。

せめて三日坊主にならないように...

1番初めのページは、 そんな始まりだった。

“三日坊主にならないように”と 書いていたが、次のページの日付は 10月31日で少し笑ってしまった。

20○□年10月31日

今日はハロウィンなんだって。

「トリックオアトリート」って みんな言ってた。

言わなかったけど。

青にいとかは紫にいにすごい ねだってたかも。

そんなにお菓子好きなのかな。

ずっとこんな内容が続いていくのだと 思って、ただただページを めくっていた。

でも...

...、

その先の内容は決して明るいものでは なかった。

赤が、ずっと性別のことで 悩んでいたこと。

誰にも認められない苦痛を 感じていたこと。

俺たちの言葉が、傷つけて しまっていたこと。

学校でも、いじめられていたこと。

どこにも居場所がなかったこと。

自殺を決意していること。

兄ちゃんたちがいないのって...

そういうことか...

赤は女の子。

それは決められた運命で、二度と 変わることなどないと思っていた。

赤が「俺は女じゃない。男だ」って 言い出したときは、俺もまだ子供 だったし、全く理解できなかった。

何度も何度も 「違うよ。赤ちゃんは女の子だよ。」 なんて、わかりきったことを 伝え続けた。

それが赤を 傷つけていることも知らずに。

いつしか、何度言っても 変わらない赤を 見放すようになっていった。

俺はもちろん、兄弟全員。

わからないんじゃないです!

わかる気がないんじゃないですか?

これは、ゲームに限らずなこと なのかもしれない。

俺たちは、赤のことを理解しようと さえしてなかったのではないか。

...ど、しよ...

俺たちが殺したってこと...?

赤を傷つけていたってこと...?

いじめにも気づけなかった...

赤を...見ていなかった...

不安やら焦りやら申し訳なさやらが 俺の心を乱していく。

...ただいま

桃にいの...声...?

夢...?

現実...?

確かめるためなのかさえ わからないが、ノートを手に、 廊下の方に近づく。

...橙

桃...にいだ...

桃...にい...ポロ

...、

俯く桃にいの視線は俺の右手にある。

...日記...見たんだ

ま...まあ

...そこ、座っといて

そう言ってベッドを指差す桃にい。

言われるがまま、俺は ベッドに腰掛ける。

桃にいは扉を閉めると、 俺の隣に座った。

...橙

今にも泣きそうな声で 俺の名前を呼ぶ桃にい。

俺...

赤のことも、紫にいのことも、守れなかった...ポロ

...どういう...こと?

赤はもうすでに亡くなってたポロポロ

それは...理解したくなくても、心の どこかで理解してしまっていたこと。

でも...

紫...にいは...?

俺が行った時...まだ生きてた...ポロ

だけど...自殺しようとしてて...ポロ

紫にいまで...?

必死に声をかけたけど...ダメだった...ポロポロ

ごめん...橙...ポロ

...ポロポロ

泣きながら謝る桃にいに、怒ること なんてできるわけがなかった。

兄ちゃんだけの責任ではないと思う...ポロポロ

だけど...まだ心が追いつかへん...ポロポロ

ただ、それだけ...。

そう...だよな...ポロ

質素な部屋に沈黙が流れる。

...なあ

赤のこと...俺たちが殺してしまったんかな...ポロポロ

...、

大きな要因ではある...な...

そんな...ポロ

...なんでわかってやれなかったのかな

なんて...w

今さら後悔してもな...w

...、ポロ

母さんとの約束すら...守れなかった

お母さんとの...約束?ポロ

橙は小さかったからな...

覚えてないか...

...昔、見舞いに行った時に言われたんだ

紫ーくんと桃、よく聞いて

紫(幼少期)

うん!

桃(幼少期)

なーに?

お母さんはね、今からお空に行くの

紫(幼少期)

おそら〜?

桃(幼少期)

なんで〜?

ん〜...

そういう決まりかな...?

紫(幼少期)

ふ〜ん

だからね、これからは紫ーくんと桃がお母さんみたいな役割にならないといけないの

紫(幼少期)

おれ、男だよ?

桃(幼少期)

おれも!

男の子も女の子も関係なく、お母さんになっていいのよ

紫(幼少期)

そうなんだ〜

でもね、お母さんってすっごく大変なの

青のことも、橙のことも、黄のことも、赤のこともみんな見てあげないといけない

お母さんは、それを紫ーくんと桃だけに任せるわけにはいかないって思ってる

紫(幼少期)

...?

だからね、約束してほしいの

桃(幼少期)

やくそく?

そう

あなたたちは何人兄妹?

紫(幼少期)

ん〜...ろく!

うん

6人兄妹よね

せっかく6人もいるんだから、それを生かしてほしい

絶対にみんなで協力すること

否定しないこと

必ず、生きること

この3つは、必ず守ってほしいの

約束ね?

紫(幼少期)

わかった!

桃(幼少期)

やくそくする!

ふふ笑

ありがとう

...何にも守れやしなかった

6人全員で生きていかないといけなかったのにな...wポロ

そう...だったんや

もう...わかんねえよ...ポロ

どうしたらいいのかも...生きていていいのかも...ポロ

...わからんけどさ

俺たちには生きていくことしかできないんやと思う

これ以上間違った道に進まないように

赤と紫にいの死を無駄にしないように

お母さんとの約束を守るために

...ずっと後悔を抱えながら生きていくしかないんやと思う

橙...ポロポロ

ありがとう...ポロポロ

ごめん...ポロポロ

兄ちゃんだけの責任ではないってことは忘れんといてな

...自分の部屋行ってくる

なんとなくここにはいられなくなり、 俺は部屋を出た。

...橙にい?

どうかしたんですか...?

自分の部屋に向かう途中に、偶然 黄ちゃんに出会ってしまった。

...、

俺は何も言うことができず、 そのまま部屋に入った。

...ポロポロ

静かな空間に一人。

勝手に涙が溢れる。

必ず抱きしめてくれた紫にいは、 もういない。

...紫にいポロ

会いたいよ...ポロ

抱きしめてよ...ポロ

これから先もずっと、6人で 生きていけるって思ってた。

でも、それを壊したのは俺たち。

最初から理解する気なんてなかったの かもしれない、なんて今さら気づいた ところで赤も紫にいも戻ってこない。

なんてことしたんやろ...ポロ

赤。

また会いたいなんて言ったら...怒る?

怒る...やろな...

...最初から赤のことを理解する気が なかったんや、って黄ちゃんの言葉で やっと気づいた。

ほんまにごめん。

たくさん...ひどいことしたよな。

たくさん...傷つけたよな。

紫にいは赤と同じ選択を してしまったけど...

俺は生きることで本当に反省してる ことを証明したい。

わがままなお願い、聞いてくれる...?

もし...

もし、最後まで命を全うできたら...

ゆるして。

この作品はいかがでしたか?

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コメント

3

ユーザー

ブクマ失礼します

ユーザー

今回も最高でした(*^^*)!!!

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