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朝方、サジーは音楽室にいた

サジー

やっと音楽室借りられたー!

サジー

実力発表会に向けて練習しないと

なんとなくピアノの前に立ってみる

サジー

アカペラしかないか…

ええと

「明日の歌」の歌詞は……

サジー

わーたしにはー

サジー

目を背けたい過去がある〜

サジー

誰でも悩みや〜後悔を〜

サジー

背負いながら〜

サジー

ある〜いていく〜

静かな音楽室に

自分の声が反響し 嫌でも意識してしまう

サジー

(あれ…)

エンジェル・メロディって どう歌ってたっけ

私の声は

ステージの彼女とはまるで違う

リリーナはどう歌うんだろう?

あーあ、伴奏があれば もっと気持ちが乗ったかも……

サジー

〜♪

歌っているのに あっちこっちに思考が巡り

上手く歌えない理由を探してる

そんな気持ちで歌う歌が 上手くなるはずもなく……

エンジェル・メロディの歌声は もっと通っていて

キラキラしていて 聞いていてワクワクしたのに……

なんか

つまらないかも

サジー

サジー

(私今つまらないって思った?)

サジー

やっとエンジェル・メロディが歌えるのに?

サジー

彼女の歌が大好きなのに?

自分の中にふと生まれた気持ちに とてつもない罪悪感が押し寄せる

サジー

(私……)

サジー

(なんてことを……)

サジー

……どうしよう

サジー

……上手く歌えないよ…

ゼーデラ

サジー

背後から声が聞こえ思わず振り返る

ゼーデラ入口の戸を少し開け 顔を出していた

サジー

あっゼーデラ!

サジー

ごめんね
すぐ出るから!

ゼーデラ

いや、そのままでいい

サジー

……え?

サジーが戸惑っていると ゼーデラが横に立つ

ゼーデラ

すごい顔……大丈夫?

サジー

う、うん……大丈夫、だよ

絶対顔引きつってるだろうな

ゼーデラ

実はちょっと聴いちゃったんだけど

ゼーデラ

行き詰まってるように感じてさ……

サジー

そ、れは……

黙り込んだ様子を見てゼーデラは何かを察したのだろう

ゼーデラ

思うように声が出ないのは
まず姿勢が原因だと思う

ゼーデラ

前向いて

サジー

えっ

サジー

あ、うん!

ゼーデラの指示に戸惑いつつも サジーは先ほどの体制に戻す

ゼーデラ

胸を開いて
腰は反らしすぎないで

ゼーデラ

姿勢が良すぎるとかえって
力みすぎて声が出にくくなる

ゼーデラ

天井から糸が垂れていて
サジーの頭につながっている

ゼーデラ

そんなイメージでリラックスして立ってみて

サジー

えと……こう?

ゼーデラの言う通りに立ってみる 背中が楽にスッと伸びるのを感じる

ゼーデラ

いいね

ゼーデラ

顎は上にあげると
声が出にくいから軽く
顎を引いて力を抜いて

ゼーデラ

高い音は実は気持ち下を
向くと出しやすい

サジー

わかった!

ゼーデラ

歌う時は姿勢を崩しちゃ
いけない訳じゃない

ゼーデラ

高音を出す時に腕を
あげたりすると音を当てやすい

ゼーデラ

で、声はね

ゼーデラ

喉から出すよりも

ゼーデラ

お腹から吐く息に
優しく音を乗せるイメージ

ゼーデラ

ちょっと声出してみて

サジー

……わぁ

明らかに先程とは違う 自分の声に思わず驚いてしまう

ゼーデラ

うん、すごく良くなった

サジー

あの、ゼーデラ

サジー

詳しいんだね…

ゼーデラ

……まあね

ゼーデラ

……さて、歌には
伴奏が必要でしょ

サジー

あ、それが……

サジー

課題曲のデータは
もらえなくて

サジー

動画とかも探してみたんだけどいいのが無くて

ゼーデラ

知ってる

ゼーデラ

でもアカペラで歌うのは
練習が大変だし
気持ちが乗らないでしょ

サジー

そうだけど

サジー

どうしようも……

サジーが悩んでいると

ゼーデラはせっせと ピアノの蓋を開け椅子に座る

ゼーデラ

エンジェル・メロディの
「明日の歌」だったよね

ゼーデラ

聴いたことはあるから
何とか弾いてみる

そう言うとゼーデラは 鍵盤に触れる

そして

サジー

えっ!?

音楽室に響く美しい旋律

ゼーデラの長く白い指が 軽やかに鍵盤の上を踊る

サジー

えっ……ゼーデラ
ピアノ弾けるの…

ゼーデラ

始まるよ

サジー

あっ

ゼーデラ

さん、はい

サジー

〜♪

サジーは胸の高鳴りを感じた

自分の声に美しい和音が重なる

先日とは違い大きく音を外すこともなく

ピアノの音とひとつになっているのが 自分でもわかった

サジー

(楽しい!)

サジー

(音楽に合わせて歌うってこんなに楽しいんだ!)

気づけば曲が終わり

達成感と少しの寂しさを感じていると

ゼーデラ

すごく良かったよ

ゼーデラがこちらを見ながら大きく頷く

ゼーデラ

サジーは気持ちが歌にすごく現れるタイプだね

サジー

そうなのかな?

ゼーデラ

うん

ゼーデラ

楽しいって感じながら歌ってるのがすごく伝わってきた

サジー

ありがとう!
ほんとに楽しかった!

サジー

ゼーデラの言った通りに歌ったら

サジー

自分でも変わったのがわかったよ!

ゼーデラ

うん

ゼーデラは少し照れくさそうに ピアノに視線を落とす

ゼーデラ

オレはサジーが歌が下手だとは思わない

ゼーデラ

沈黙の人形の時は歌えてたしね

ゼーデラ

歌い方を知らなかっただけじゃないかな

ゼーデラ

細かい所も練習すればもっと上手くなれると思う

歌い方を知らない

ゼーデラのその言葉が胸にストンと落ちた

今まではエンジェル・メロディを 見よう見まねで歌っていたから

サジー

もっと練習したい

サジー

正直今の状態だと本番で
歌えるか不安だったんだ

サジー

でも今日ゼーデラのお陰で目指すところがハッキリした気がする!

ゼーデラ

それはよかった

ゼーデラ

まだサジーの発表会まで
時間があるから

ゼーデラ

オレで良ければ付き合うよ

サジー

ほんとに!?

サジー

ゼーデラのピアノに合わせて歌うの楽しかった!

ゼーデラ

ピアノは趣味だったけど

ゼーデラ

そう言ってもらえてオレも光栄だよ

ゼーデラ

サジーも

ゼーデラ

教えたことをものにするのがはやいね

サジー

えへへ

サジー

ちょっと自信ついたかも

サジー

また教えてくれる?

ゼーデラ

もちろん

マリーニ

ゼーデラと登校なんて珍しいわね

お昼休み

カフェテリアでマリーニが 興味深そうに尋ねる

サジー

うん、実はゼーデラに歌を教えて貰ってたの

マリーニ

歌わない委員長に?

サジー

私が音楽室で練習してたら

サジー

ピアノで伴奏も弾いてくれたよ!

マリーニ

……

信じられない、と マリーニは目を見開いている

マリーニ

その

マリーニ

委員長についての音楽の
話題を本当に聞いたことがなくて

マリーニ

歌わない委員長というのと

マリーニ

愛想が悪いイメージしかなくて

マリーニ

正直驚いているわ

サジー

ここの雰囲気が歌えなくなっちゃった原因みたい

マリーニ

まあ……

マリーニ

……そうなっても不思議じゃないわね

サジー

でも!

サジー

今回は歌うって言ってくれたんだ!

サジー

楽しみだなぁ
ゼーデラの歌を聴くの!

マリーニ

ふふ

マリーニ

サジーは本当に凄いわ

サジー

え?

サジー

私何もしてないよ

マリーニ

そうね

マリーニ

私も楽しみだわ
委員長が歌うの

ダエル

ゼーデラが歌う……?

ダエル

いやそんなまさか……

ダエル

生徒会長からの命令で
退学にさせなきゃならねぇのに……

ダエル

念には念を入れないとな……

実力発表会当日

ゼーデラ

なに

ゼーデラ

これ……

朝ゼーデラが登校すると

机の上にはボロボロに切り裂かれた 衣装があった

ダエル

おいおい!

ダエル

まさか歌いたくないからって衣装を切り刻むこたねーだろ!

ズニズニ

うわー跡形もねぇな!

メトーテ

これは……もう着られないね…

登校してきたサジーとマリーニも思わず 破れた衣装を見る

おそらく今日のパフォーマンスで着る 予定だったであろう「それ」は

衣装であったことすらわからないほど バラバラになっていて ただの布切れになっていた

サジー

ひどい…

サジー

誰がこんなことを…

マリーニ

誰でしょうね…

マリーニは冷ややかな視線をダエルに 送るがダエルは気付かないふりをしている

ダエル

自分でやったんだろ

ダエル

そんなに歌いたく無かったのかよ

ズニズニ

これじゃあ衣装を作ったやつが可哀想だな

ゼーデラ

いや

ゼーデラ

オレは当日の衣装があることすら聞かされてない

ダエル

……っ

いつもはどれだけ言っても一切口答えをしないゼーデラが言葉を返し ダエルは一瞬動揺を見せる

ダエル

じゃあお前の事が気に入らないやつの犯行だな

ズニズニ

お前愛想もわりぃし
敵多そうだもんなー

ゼーデラ

気に入らないやつねぇ……

ゼーデラ

オレがまっさきに思い浮かぶのはダエルなんだけど

ダエル

な……

ダエル

今日はやけに反抗してくるじゃねぇか……

ズニズニ

どちらにせよこれじゃ歌っててもカッコつかねぇな

ズニズニ

お前のその服じゃ

ズニズニ

勇敢な騎士様なんて
誰も思えねぇもんな

ズニズニがボロボロになった布切れを掴んでゴミ箱に放り込んだ

その様子をしていたメトーテが小さく声を上げる

メトーテ

あ……

ズニズニ

なんだメトーテ?
お前があれ着るか?

メトーテ

や……その……なんでもない

ズニズニ

いっその事あれじゃね?

ズニズニ

この学園のだっせぇマスコット

ズニズニ

ホープくんの着ぐるみでも着たらいいんじゃねーの?

ズニズニ

少なくとも笑いは取れるぜ?

ダエル

ぶっ!

ダエル

ぎゃははははははは!!

ダエル

それは傑作だわ!

メトーテ

……

ゼーデラは黙ってゴミ箱の中の布切れを見ていたが

やがて大きなため息をつく

ゼーデラ

はあ

ゼーデラ

そんなに歌わない委員長に恥をかかせたいんだ

ゼーデラ

もういいよ

ゼーデラは教室から出ていく

サジー

ゼーデラ!待って!

リリーナ

サジー

追いかけようとしたサジーを リリーナが立ちはだかる

サジー

リリーナ…

リリーナ

貴方は自分の心配をするべきですの♡

リリーナ

自分のことだけ考えて

リリーナ

その音痴な歌をどうにかしなさいな♡

サジー

でも……

マリーニ

リリーナ貴方こそ

マリーニ

サジーにどうこう言ってないで自分の事を考えてなさい

マリーニ

余計なお世話よ

リリーナ

……ふん

リリーナは2人を睨むと 席へと戻って行った

サジー

追いかけなきゃ

サジーが廊下に出た頃には

すでにゼーデラの姿は見えなくなっていた

サジー

どうしよう

サジー

発表会に来ないんじゃ…

マリーニ

ゼーデラは歌うって言っていたのでしょう?

サジー

そう…だけど…

ダエル

ダエル

あいつは来ても来なくても
歌えないだろーよ

ダエル

仮に歌えたとしても

ダエル

入学当時から一度も歌わなかった
奴がまともに歌えるとは思えねえけどな

そう吐き捨てるダエルを見て サジーは声を上げる

サジー

ダエルは…

サジー

ゼーデラの何がそんなに嫌なの?

サジー

こんなことをする必要ある…?

ダエル

ダエル

こっちにも事情があるんだよ

ダエル

ここはそういう場所なんだ
そろそろ理解しろよ

サジー

理解?何を?

サジー

他人を蹴落として夢を潰すこと?

サジー

それがあたりまえだからって
ダエルはなんとも思わないの?

サジー

こんなことして楽しい?

ダエル

それは…

サジー

私はこのあたりまえを
理解するつもりはないよ

サジー

今のダエルすごく嫌い

ダエル

自分でも驚くほどに冷たい声が出る

今自分はどんな顔をしているだろうか

何かを察したのか マリーニが肩にそっと手を置く

マリーニ

そろそろ会場に行きましょうか

マリーニ

サジー

うん…

メトーテ

僕らも…いこうよ…

ダエル

ダエル

ああ…そうだな…

ズニズニ

なんだ?

ズニズニ

さっきの気にしてるのか?

ダエル

…そういうんじゃねえよ…

実力発表会 会場

 

〜♪

課題曲はミュージカル「100年英雄」より 「英雄の行進」

高い歌唱力とダンスの技術を必要とし

何度も曲調が変化する難易度の高い曲

 

〜♪

 

……げほっ

そのせいか音が出ずつまずいたり

ダンスの振りが飛んでしまう発表者が続出しているようだ

マリーニ

……相当難しい曲ね

彼らの緊張が周りにも伝わっているせいか

会場の雰囲気はピリピリしていた

サジー

なんか

サジー

すごく空気が重いね……

マリーニ

そうね……

サジー

ゼーデラ……来ない
なんてことないよね

マリーニ

どうかしらね……

マリーニ

始まる時にまだいなかったわね

マリーニ

今は信じるしかないわね…

チャーミィ

ダエルよくやったわ

チャーミィ

衣装をズタズタにするなんて!

ダエル

いやあ

ダエル

どうせあいつは歌わない
ですけどね

チャーミィ

これで退学にできるわ……!

チャーミィ

そしたら転校生ちゃんも
自分ではどうにもならないと観念するかしら!

ダエル

……

司会

さあ今回の実力発表会は
波乱の予感ですね!

司会

次の発表者をお呼びしましょう!

司会

ゼーデラ・グレイです!

スポットライトがステージを照らす

サジー

ゼーデラ……お願い…

サジー

……えっ

マリーニ

あれは…ホープくん?

ダエル

まじかよ

ズニズニ

うわっ本当にやりやがった!

舞台袖から現れたのは

学園のマスコット、ホープくんの着ぐるみ

ステージの中央で立ち止まり

そのまま歌い出すわけでもなく微動だにしない

サジー

ゼーデラ…なの?

会場のあちこちで笑いが起こる

なにあれ?ホープくんだ

くすくす……あれで歌うつもり?

ズニズニ

傑作だな!

ズニズニ

あれまじで歌う気ねえじゃん!

リリーナ

とうとう気でも狂ったんですの?

マリーニ

あの姿でどうやって…

心が折れちゃったんじゃ…

衣装もない

周りには自分の失敗を望む人ばかり

サジー

やっぱり

サジー

歌えないのなかな…

ダエル

だとしたら

ダエル

何しに来たんだ……?

 

……

ゼーデラと思われる彼は

会場の様子をしばらく見ていたが

おもむろに

後ろ手に隠していた

シンバルを構え

ダエル

うわっ!?

マリーニ

キャッ!

サジー

なに!?

突然の大きな音に

会場にいた誰もが驚き 目を瞑りステージから目を背ける

サジー

びっ

サジー

っっっっっっくりした……

はねる心臓を落ち着かせ

ステージに視線を戻す

サジー

サジー

……え?

ステージ上には先ほど同様に ホープくんの着ぐるみ……

ではなく

ホープくんは地面に横たわっており

その前には

紺色のレザーの服をきた シルバーブロンドの少年

メトーテ

だれ……

ズニズニ

あんなやついたか?

サジー

まさか…

サジー

ゼーデラ……!?

少年は前髪をかきあげピンでとめる

ゼーデラ

Don't worry

ゼーデラ

そんな心配そうな顔を
しないでサジー・ハート

ゼーデラ

ちゃんと歌うって
言ったでしょう?

つづく!

キャラクター紹介

この作品はいかがでしたか?

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コメント

19

ユーザー

ウワアアアアアアア好きです!!!!!!!!(突然の告白) ゼーデラさんバリバリ格好良くてℒℴѵℯ...🤍です……🤦‍♀🤦‍♀🤦‍♀🤦‍♀🤦‍♀🤦‍♀ 次回楽しみにしてます!!😭😭😭

ユーザー

いっつも思ってましたけど絵うますぎるんですよ!!キャラデザめっちゃ刺さる―()―→グサッ!!!

ユーザー

こんなんペンライト振るしかないじゃーーーーーーーーーん!!!!!!!!!!!!!!!(o🪄'▽')o🪄(o🪄'▽')o🪄 ゼィ様ーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!♬ ٩( -᷄ω-᷅ )۶(ง-᷄ω-᷅ )ว ( -᷄ω-᷅ و(و ♬

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