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保健室の先生
na.
会釈をして言う。
また『あの夢』を見たのかな?
さっきはあえて何も言わなかった。
保健室の先生にも心配させちゃいそうで。
na.
突然話を切り出したためころちゃんはビックリしていた。
きっと『あの夢』のことを考えていたのだろう。
co.
そう言った弟は、まだお昼頃で太陽が眩しかったからか、何かを俺から隠したかったからか、俯いて黙り込んだ。
今は朝のように元気ではなく、酷く怯えている子供に見える。
na.
俺も俯いた。
ころちゃんから顔を隠すように。
na.
ころちゃんの足が止まった。
特に意味はなかった。
ただ、ころちゃんに聞きたかったことをそのまま聞いただけだ。
なのに声が震えた。
返事が謎に怖くて、返事を待つ時間がとても長い時間にも、短い時間にも感じられた。
co.
しばらくして弟が言った。
…え?
思いがけない返答に俺は思わず顔をあげた。
ころちやんは空を見上げて手を掲げていた。
顔にはうっすらと笑みを浮かべている。
俺は少し考えて
na.
と、笑顔をころちゃんに向けて言った。
ころちゃんは俺の目を見て少し驚いた顔をする。
co.
ころちゃんは笑顔で答える。
その顔には今にも壊れそうな優しい笑みが浮かべられていた。
俺はこれほどまでに弟を心配させてしまったのか…。
co.
na.
co.
ころちゃんは無言で俺の頬に触れた。
その時、初めて気づいた。
自分が泣いていることに。
na.
慌てて涙を拭いて言った。
co.
na.
そう言って弟の手を引いて駆け出した。
co.
お兄ちゃんは顔に笑みを浮かべたまま涙を流していた。
na.
co.
思わず手を伸ばして兄の頬に触れた。
今にもどこかに消えてしまいそうで怖くて。
その途端、お兄ちゃんの顔に張り付いていた笑顔が消えた。
どこか遠くを見つめているように見えた。
お兄ちゃんの仮面が外れた、初めて。
na.
涙を拭いてまた笑顔を見せながら兄が言った。
あ、また仮面が…。
co.
何かを言う隙も作らず、
na.
と、言われ、連れて行かれるがまま、走って行った。
次回に続く…