Side ???
近頃巷で聞く、何でも願いを叶えて くれると噂の『何でも屋』
俺は今、その『何でも屋』が あると言うタワマンに来ていた
???
手元にあるチラシを見て眉を ひそめつつも、足は建物の方へ向かう
このチラシには、こう書かれていた
『何でも屋』 貴方の願い、何でも叶えます 依頼内容は一切他言致しません 依頼料金:0円 ※依頼内容により例外がございます 所在地:東京都── お問い合わせ:原則対面での対応と させて頂いております
ある時、俺の家のポストに 入っていたこのチラシ
普段なら、スルーして捨てる怪しさ 満点のこの紙切れだけど、今回は違う
俺には、叶えて欲しい願いがあった
ピンポーン
エントランスのパネルを操作して、 チラシの部屋番号に繋げる
聞こえたのは、柔らかい 雰囲気の男性の声
???
その声を合図に、エントランスの ドアが開いて、通話が途切れる
今のはいわゆる“隠語”ってやつ
“直接依頼をしに来ましたとは言うな” と言いたげな文章と共に、チラシに 小さく書かれていた言葉だ
閉まらない内にドアの先に進んで、 エレベーターに乗り込む
2510号室だから、25階の……
???
???
順に辿っていって、 2510号室を見つける
???
???
ピンポーン──
Side White
真冬
部屋のソファに寝転がって、 思わず声を上げる
ニコ
目の前の机にコーヒーカップを出して くれたのは、ボクの部下であるニコ
部下って言っても彼1人だけだし、 今ではほぼ友達みたいな関係だけど
ソファから起き上がって、 淹れてくれたコーヒーを一口
うん、いつも通り美味しい
真冬
ニコ
真冬
ニコ
ニコ
真冬
ニコ
真冬
真冬
ニコ
真冬
ニコ
真冬
ニコ
真冬
ニコ
真冬
仕方なく動くことにして、 座っていたソファから立ち上がる
ピンポーン
……と、ほぼ同時に、 エントランスからの呼び鈴が鳴った
真冬
ニコ
呆れ半分、諦め半分という顔で、 渋々応答してくれたニコ
これはニコの役割で、 ボクは依頼を受けて遂行する役割
ニコ
ニコ
通話を切った後、こちらを振り返って そう言ってくるニコ
椅子に掛けてあった黒い羽織を着て、 玄関の方へ向かっていった
真冬
それを見て、ボクも服を整えて、 応接室も兼ねているリビングの 1人がけソファに移る
ガチャッ
???
少ししてニコと共に入ってきたのは、 20代くらいの茶髪の男性
背は平均より少し高め、 服もオシャレで、世間一般で言う イケメンってやつだ
……特にこれといったブランド物も 身につけてないし、ランダムで民家に 配ったチラシで知ったのかな
真冬
いつものキャラを保って、 自然な笑みを浮かべつつ、 ソファに座るよう促す
???
男性が座ると、すかさずニコが 紅茶を2人分机に並べた
真冬
真冬
軽く会釈をしながら、 まずは自己紹介をする
真冬
天宮翔太
天宮翔太
歌い手にストリーマー……少し前、 テレビか何かで聞いたことがあるな
声優は勿論、どれも声を扱う 仕事だし、たしかにこの人には ピッタリかもしれない
真冬
一息置いて、相手に向き直る
真冬
天宮翔太
真冬
天宮翔太
真冬
天宮翔太
天宮翔太
真冬
天宮翔太
真冬
サッとニコに視線で合図すると、 すぐに契約書の紙とペンを 天宮さんの前に置いた
ニコ
天宮翔太
まだ少しボクらのことを 怪しんでいるらしく、恐る恐る ペンを手に取る天宮さん
たしかにこの『何でも屋』は、側から 見れば、怪しいったらありゃしない
真冬
天宮翔太
真冬
天宮翔太
真冬
天宮翔太
真冬
真冬
天宮翔太
真冬
真冬
真冬
真冬
何も読ませないように、 ニコリと笑って見せる
天宮翔太
真冬
天宮翔太
そう言いながら、 スマホで写真を見せてくれる
真冬
天宮翔太
天宮翔太
ニコ
真冬
真冬
天宮翔太
それから、どうかよろしくお願い しますと、深々と頭を下げられた
真冬
あれからまた少し話をして、 天宮さんは帰って行った
真冬
ニコ
真冬
真冬
ニコ
真冬
ニコのことは、本当に何も分からない
どうでもいいことは読み取れるのに、 本音とか心の内とか、そういうものは 一切見せないから
真冬
ニコ
真冬
ニコ
あはは、なんて笑いつつ、 細い目はちっとも笑ってない
ニコ
真冬
ニコ
真冬
ニコ
真冬
真冬
ニコ
2日後
ボクの伝手で無事目的の子を 見つけて、ゲージに入った はなちゃんがうちにやってくる
ニコ
早速ニコがゲージからはなちゃんを 出して、戯れ始めた
真冬
ラガマフィンの、メスの三毛猫
真冬
真冬
つい、別の名前で呼んでしまいそうに なって、慌てて踏み止まる
ニコ
真冬
ニコ
真冬
ピンポーン
そうこうしていると、 早速インターホンが鳴る
ニコ
真冬
はなちゃんを抱えて、 いつもの定位置に座った
膝の上に降ろしてやると、 特に逃げることもせず、丸まって リラックスしている様子
真冬
真冬
“はなちゃん”を撫でながら、 独り言のように話しかける
真冬
ガチャッ
ニコが出て中に通すと、 しばらくして天宮さんがやって来た
天宮翔太
真冬
ボクの膝の上にいるはなちゃんを 抱えて、天宮さんの方へ連れて行く
天宮翔太
天宮翔太
天宮翔太
はなちゃんを抱えたまま、 深く頭を下げられる
真冬
真冬
天宮翔太
ニコ
天宮翔太
優しく声をかけながら、はなちゃんを ケージに入れる天宮さん
本当に猫が大好きなんだってことが よく伝わってくる
真冬
天宮翔太
もう一度ペコリとお辞儀をして、 天宮さんは帰って行った
コメント
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うわぁぁぁあ!!!!! もう序盤から面白い!! まふくん……昔はなちゃんと 会ったことあるの???? 前から知ってるみたいな感じに見えたけど…… 続きが楽しみ! 新連載頑張ってください! 掛け持ち大変だろうけど… どっちも応援しています!