テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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『何でも屋』〜貴方の願い、“何でも”叶えます〜

第3話 - case2 相方

150

2022年12月30日

#mfmf

#nc

#nmmn

#utit

かえで🍁✒️

？？？

今までずっと信じてたのに

どうして裏切ったの？

どうして黙ってたの？

どうして、どうして？？

???

父さん、母さん……。

???

……さよなら

真冬

──っ！！

気がつくと、いつものソファの上

真冬

（……今のは……）

ニコ

あ、おはようまふ

真冬

おはよ……ってあれ、今何時？

ニコ

午後3時。だから俺も今起きたとこ

真冬

えーっと、何だっけ……シエスタ？

ニコ

うん、これを機にまふもやる？

真冬

ん〜、遠慮しとく

ニコと雑談しつつ、寝ていたソファから起き上がる

ピンポーン

軽く身なりを整えていると、インターホンが鳴った

真冬

ニコ

お茶飲みたかった……

愚痴を言いつつも、いつも通り応答してくれる

ニコ

じゃあ出てくる

真冬

よろしく

一ノ瀬彼方

一ノ瀬彼方です、普段は歌い手をしています

やって来たのは、色白で美人な顔立ちの男性

歌い手……といえば、前に来た天宮さんもそうだったような

一ノ瀬彼方

天月の紹介で来て……あぁ、天宮翔太って知ってますか？

過去の依頼人からの紹介で新しく人が来ることは偶にある

真冬

（特に口止めもしてないし、ボクの暇も潰れるからいいんだけどね）

真冬

はい、以前こちらにいらした方です。お知り合いだったんですね

一ノ瀬彼方

はい。まぁ、知り合いというか歌い手仲間で。偶に会って遊びに行く仲です

真冬

そうなんですね

そういう関係、ボクとは無縁だから、何だか少し羨ましく感じる

真冬

それでは、本題に入りましょうか。

真冬

貴方の“願い”をお聞かせ下さい。探し物から殺しまで……“何でも”叶えて差し上げましょう

相手の目を見て、いつもの台詞を言う

一ノ瀬彼方

相川さんは、歌は得意ですか？

真冬

……？　まぁ、人並み程度には

一ノ瀬彼方

……じゃあ、相川さん。

一ノ瀬彼方

俺の相方になってくれませんか？

真冬

相方……ですか？

一ノ瀬彼方

そろそろ俺も、“アーティスト”として本格的に活動していきたいと思っていて。

一ノ瀬彼方

ただ、1人ではなく誰かとユニットを組みたいなと

真冬

そこで、初対面のボクを？

一ノ瀬彼方

天月の話を聞いて、興味が湧いたので。

一ノ瀬彼方

“何でも”願いを叶えてくれるんですよね？

真冬

……分かりました。

真冬

それでは依頼料についてなのですが……

一ノ瀬彼方

それならこれを

そう言って、一ノ瀬さんが何かが入った茶封筒を鞄から出した

真冬

これは？

一ノ瀬彼方

ここの依頼料は、依頼人の“弱み”なんですよね。これがそれです

真冬

（なるほど……）

ニコ

……お預かり致します

ニコに視線を送ると、一ノ瀬さんの茶封筒を受け取ってくれた

こういう依頼の依頼料の判断は、ニコに任せるようにしている

ニコ

……

ニコが中身の書類を確認する

ニコ

……なるほど、十分ですね

真冬

それでは、こちらの契約書に記入をお願いします

ニコが紙とペンを渡すと、迷わずスラスラと書き始めた一ノ瀬さん

真冬

（……ただちょっと変わった人ってだけ？）

真冬

（それとも……）

一ノ瀬彼方

これで良いですか？

真冬

……はい。ありがとうございます。

真冬

それでは、依頼内容について詳しく教えていただきたいのですが……。

真冬

まず……相方ということは、ボクも歌い手になれということですか？

一ノ瀬彼方

まぁ、簡単に言えばそういうことになりますね。

一ノ瀬彼方

適当にハンドルネームを考えてもらって、マイクとかパソコンの機材とか、あとは動画配信サイトのアカウントを

真冬

分かりました

真冬

（相方ってことは、ボクの人生を縛るのも同義……。）

真冬

（ニコはそれを踏まえて了承してるはずだし……ちょっとくらいは良いかな）

少し考えてから、ぼふっとソファの背にもたれる

一ノ瀬彼方

……？

真冬

これから一緒にやっていくなら、ボクも素の方が楽かなと思って。ね、ニコ？

ニコ

……うん。まぁそれくらいは良いんじゃない？

ニコも同じ考えだったのか、いつも通りの声色で話し始める

一ノ瀬彼方

ニコさん、ですか？

ニコ

はい。これからうちの社長がお世話になります

一ノ瀬彼方

こちらこそ。

一ノ瀬彼方

2人はどういう関係なんですか？

真冬

（ボクらの関係……）

ニコ

主従関係みたいなものですよ。社長と社員なので

ボクが何か言う前に、ニコに答えられる

真冬

（主従関係、ね……）

一ノ瀬さんことそらるさんと、これから組むユニットの活動方針などを色々決めていった

一ノ瀬彼方

じゃあ、今日はこんな感じで

真冬

そうですね

これから使う機材については、また後日買い出しに行くことになった

その際は、そらるさんが付き添いで来てくれることになっている

一ノ瀬彼方

それじゃあまた、“まふまふ”

真冬

はい、そらるさん

見送りの為、ニコも一緒に部屋から出ていく

真冬

……“そらるさん”……

これからは、お互いをハンドルネームで呼び合う

ボクのハンドルネームは、下の名前を適当に文字って“まふまふ”にした

それと歳の差を考えて、そらるさんはタメ口、ボクは敬語で話すことに

真冬

（活動を始めた時、前から仲が良かったかのように思わせる為に）

普通、急に現れた名も売れていない奴と突然ユニットを組むなんて、どう考えても不自然極まりない

それに、“何でも屋”が公になるのは流石に避けたいから、ある程度ボクらの関係に設定を作った

まふまふはそらるの昔からの友人で、大学の先輩と後輩という関係

過去にそらるが組んでいたバンドにまふまふも所属していた

そして、そらるさんが“まふまふ”とユニットを組もうと思った理由

昔一緒にバンドをしていたメンバーの中で1番仲が良かった

歌も上手くて楽器もできて、ユニットを組むならまふまふとが良いと前から考えていた

実際、歌が上手いかどうかは、人に聞いてもらわないと分からない

けど楽器は、ギターやピアノなら、それなりにはできるレベル

真冬

（これからボクが上達させていけば、ちゃんと成り立つ“設定”だ）

ユニットの活動開始は3ヶ月後

色々準備期間が必要だろうと、ボクら2人で決めた

真冬

（……これは全部、あくまで“設定”に過ぎない。）

真冬

（けど……）

真冬

……次に会うの、楽しみだな

一ノ瀬彼方

今日はありがとうございました。

一ノ瀬彼方

それと、これからよろしくお願いしますね

ニコ

はい、こちらこそ。

ニコ

……と、言いたいところなんですが……

一ノ瀬彼方

……？　何か問題でも？

ニコ

ええ、大問題が一つ。

ニコ

たったあれしきの対価で、1人の人間の人生を縛れると思わないでいただきたいです

一ノ瀬彼方

……一応こっちは、人生賭けてるつもりなんですけどね。

一ノ瀬彼方

あの情報でも、ニコさんにとっては“あれしき”と？

ニコ

俺が知ってる“弱み”の中で、そこまで重要なことでは無いという意味です。

ニコ

今まで、多くの方がここに足を運んできたんですけどね

一ノ瀬彼方

そこまで言うのなら、元から断っていれば良かったのでは？

ニコ

あくまで“何でも屋”は、された依頼は断りません。

ニコ

今回の依頼料については、こちらでどうにかしますのでお気になさらず。

ニコ

……ただ、場合によっては依頼破棄ということもありますので、念頭に置いて頂けると幸いです

一ノ瀬彼方

……分かりました。

一ノ瀬彼方

じゃあ、また後日

ニコ

はい。お待ちしております

『何でも屋』〜貴方の願い、“何でも”叶えます〜

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After the Rain活動開始かぁ...そらるさん何でも屋で急に俺の相方になってくださいは唐突だなぁ...まぁそれもそらるさんらしいかもしれませんね！まふくんも分かりましたがはやいなぁw これからどうなるんでしょうか！ボク恋の作品も頑張りながら何でも屋も頑張ってください(⋆ᵕᴗᵕ⋆).+*ﾍﾟｺ