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クレート・アネーリオ
俺の名前は榛葉咲朗
イタリアの北部に住む、社畜として平凡な日々を送っている成人の男だ
今日は仕事がない日だから、家で適当に寝て過ごしている
クレート・アネーリオ
俺がそう呟くと、突然インターホンの音が響いた
クレート・アネーリオ
クレート・アネーリオ
俺は玄関へ行き、ドアを開けると、配達人はいなかった
クレート・アネーリオ
クレート・アネーリオ
ドアを閉めて帰ろうとすると、下に段ボールが一箱置いてあることに気づく
クレート・アネーリオ
物をレンタルした覚えはないし、その箱はとても怪しかった
だが、俺は興味本位でその箱を持って帰って、部屋で開けることにした
箱の中身を開けると、「ハッピーエンジョイランド」と書かれたソフトウェアが入っていた
見た感じ、子供向けのソフトであるようだ
クレート・アネーリオ
クレート・アネーリオ
俺は軽い気持ちでディスクを入れ、PCを電源を入れ、起動した
起動した瞬間、真っ白な光が突然俺を包み込んだ
クレート・アネーリオ
俺は眩しさのあまりに、意識が朦朧としてきた
俺が目を覚ました瞬間、最初に聞こえたのは、明るい曲調の音楽だった
軽快で、明るくて、耳に残るメロディ
子供向けのCMで流れていそうな、無邪気な曲
カルロ
カルロ
喉を鳴らそうとすると、自分の声の違和感に気づいた
自分の声であるはずなのに、自分のものじゃない
少し高くて、妙に軽い
身体を起こそうとして、次は重さに違和感を覚える
手がいつもより大きい
いや、正確には手袋をはめたような感覚だった
カルロ
視界がぐるりと回る
そこは、色彩がやけに鮮やかな広場だった
カラフルな風船、ピカピカに磨かれた地面、遠くには観覧車
空は不自然なほど青く、雲一つない
カルロ
カルロ
頭の中で言葉が浮かんだ瞬間、俺の胸の奥がざわついた
知っている
ここは知っている気がする、だけど
なぜここにいるのかがわからない
カルロ
そう呟こうとして、また俺は違和感に気づく
緑と黒を基調にした、パレード用みたいな兵士服
動くたびに装飾がかすかに音を立てる
まるで、人形にでもなったみたいだ
カルロ
恐る恐る、俺は近くにあるガラスに映る自分の姿を確認する
カルロ
カルロ
そこにいたのは、見慣れない姿をした自分
茶色の髪に、透き通った青色の瞳
確かに、ガラスに映っているのは自分であるはずなのに、どこかズレている
カルロ
俺は自分の名前を言おうとして、言葉が詰まった
カルロ
カルロ
出てこない、自分の名前が
喉の奥まで来ているのに、一番大事な部分だけが抜け落ちている
カルロ
心臓が早鐘を打つ
なんだろう、この嫌な感覚は
思考の中心が空洞になったみたいで、落ち着かない
その時
ナイル
背後からやけに明るい声が聞こえてきた
振り向くと、そこには青い毛並みをした、大柄の犬のようなマスコットキャラクターが立っていた
盗賊みたいな服装で、にかっと笑っている
ナイル
距離感がおかしい
初対面なのに、まるで前から友達だったのかのように話しかけてくる
カルロ
俺は警戒すると、相手は肩をすくめた
ナイル
そう聞かれて、再び胸がざわつく
…名前
自分の呼び名はなぜかすぐに思いついた
カルロ
口にした瞬間、頭の奥で何かが軋んだ
それが本当の名前じゃないと、直感が告げている
ナイルは気づいていない様子で笑った
ナイル
その背後で、スピーカーからアナウンスが流れ始める
『ようこそ!ハッピーエンジョイランドへ!』
『今日もみんなで、楽しく!仲良く!遊ぼうね!』
明るい声
でも、なぜか背筋が凍るような感覚がした
ナイルが少しだけ声を潜める
ナイル
カルロ
ナイル
ナイル
ナイルが指を差した先には薄暗い建物…楽しげな遊園地には似合わない、お化け屋敷があった
冗談めかした口調なのに、目だけが笑っていなかった
その瞬間、俺は理解する
ここは楽しい場所なんかじゃない
笑顔の裏側で、何かが壊れていく世界だ
俺はここから出ないといけない
理由はまだわからない
でも、それは確かだった
そして同時に、
思い出すこと自体が、恐怖になる場所なのだと