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黙々と新聞のアーカイブを見返す作業を始めて数時間。
腕時計に視線を落とすと、もう少しで閉館時間になるところだった。
渡辺
周囲の迷惑にならぬように小声で問うが、もう時間も時間だからなのか、周囲に人はいない。
進藤
回らない寿司だか、少しだけ回る寿司なのかは定かではないが、まるで報酬に見合わぬ返事だ。
基本的に新聞のアーカイブは、専用のPCで閲覧するのであるが、必要であればプリントアウトすることも可能。収穫があれば持ち帰ることもできるのだが。
渡辺
渡辺
かく言う渡辺自身も、実はそれらしい記事は見つけられずにいた。
調べねばならない時期は明確ではあるが、なんせ記事の数が多い。
もう少し絞り込みをしてからのほうが良かったんじゃないのか――そんな考えが、何度も頭をよぎった。
進藤
渡辺は進藤のPC画面を覗き込む。
【母親を殺害か。長男を殺害の疑いで書類送検】
渡辺
進藤からマウスを奪い取ると、その記事をスクロールさせて確認する。
渡辺
進藤
渡辺
渡辺
進藤
渡辺
渡辺
渡辺
渡辺
進藤
進藤
渡辺
渡辺
進藤
渡辺
進藤
渡辺
進藤
渡辺
周りに人がいなかったからか、それとも閉館の案内が流れ始めたからなのか。
いつのまにか普通のボリュームで進藤とやりとりをしていた渡辺。
とりあえず進藤のPCを操作して、念のために記事をプリントアウトする。
渡辺
プリントアウトされた記事を折りたたむと、スーツの内ポケットの中に入れる。
いつも、内ポケットになにか入っているのに、クリーニングに出してしまうから、気をつけないと。
渡辺
進藤
進藤
えらく落胆した様子の進藤に、渡辺は小さくため息をつく。
渡辺
渡辺
渡辺
進藤
こうして、渡辺達は図書館を後にする。
この後、スーパーで購入した寿司は回っていない理論で進藤を言いくるめようとした渡辺だったが、見事に失敗。
――寿司は回らなかった。