自分
サンゴのフルーツ農園を出ていく帰り道、ロリップは一人のミツバチに出会いました。
チャロット
こんにちはッチャ。見かけないジュエルペットッチャ
ロリップ
私は、引っ越してきたばかりなの。ロリップっていいます
チャロット
私はチャロットッチャ
ロリップ
あ、あなたが、はちみつ屋さんのチャロット?
チャロット
そうッチャ。最近の健康ブームで、はちみつにプロポリス、もう大人気ッチャ。おかげで、あっちへぶんぶん、こっちへぶんぶん、もう大いそがしッチャ
自分
それを聞いて、サンゴはハッと思いました。
自分
ロリップははちみつが大好き。
自分
そこで、大いそがしで困っているというなら、働かせてもらえないかと。
チャロット
もちろんッチャ
自分
チャロットはこころよく、働かせてくれました。
自分
ロリップの仕事は、チャロットが花の蜜を集めている間、店番をすること。
チャロット
うちのはちみつ屋さんは、種類がいっぱいなのが売りだッチャ。このはちみつの名前と味を全部覚えるッチャ
ロリップ
え……
自分
そこには何百種類ものはちみつのつぼが。
自分
みかん、れんげ、アカシア、さくら、クローバー、ユーカリ、ラベンダー……とにかく、いっぱいです。
チャロット
じゃ、いってくるッチャ。頼んだッチャ
自分
チャロットは、さっそく、出かけて行ってしまいました。
ロリップ
どうしよう……こんなにたくさん、覚えられない
自分
ロリップは、どうかお客さんが来ませんようにと心で願いましたが、さすが大人気のお店。開店時間になると、たくさんの客が押し寄せました。
お客さんA
すみませーん。ラベンダーのはちみつ下さい
お客さんB
こっちはさくらのはちみつお願いします
お客さんC
アカシアお願い
ロリップ
は、はい。今すぐ!
自分
ロリップはあたふた店の中を走り回っては、たくさんのつぼから、注文のはちみつを探します。
自分
それだけでもへとへとで大変なのに、
お客さんD
れんげとクローバーのブレンドはちみつお願い
お客さんE
100のお花のブレンドはちみつ下さい
お客さんF
よくねむれる紅茶に合うはちみつお願い
自分
など、むずかしい注文をするお客さんも次々とやってきました。
自分
ジュエルランドでは、はちみつは、ただ料理やデザートに使うだけでなく、健康にもいいことから、お薬代わりにも使われているのです。
自分
さっとうするお客さんに、てんてこまいのロリップ。
ロリップ
そうだ、つぼにははちみつの名前をつけよう。ただ、名前を書くだけじゃなく、お花の絵にしたら、かわいいし、すぐ分かるかも!
自分
ロリップはお店の休憩時間を使ってお花の絵を描き、つぼ一つ一つにはりました。
ロリップ
これで何とかなるわ!
自分
その後も、何とかはちみつを売り続けるロリップですが……問題はその後、起こりました。
お客さんA
注文したはちみつと違うんだけど!
お客さんF
寝る前に飲んだら、よけい、目が覚めた!
お客さんE
100のお花のはずが、98のお花しか入ってない!
自分
など、チャロットの店に苦情がいっぱい。
自分
あまりの注文に一人であわてふためいたロリップは、誰が何を注文したのかわからなくなり、お客さんに間違ったはちみつを渡してしまっていたのです。
ロリップ
ごめんなさい。私のせいで……
チャロット
いいッチャ。はちみつのこと何も知らない人に頼んだ私が悪かったッチャ
自分
ロリップは思いました。いくらはちみつが好きでも、ただ好きなだけでは、何も役に立てないのだと。