上杉 玲
あれが、瓜田という男か?
上杉 玲
顔中に刺青がある…。
六車謙信
ああ、ムショ時代からの知り合いでな。
六車謙信
まさかあいつが俺を訪ねてくるとは思わなかった。
上杉 玲
動画でちらりと見たことがあったが…
上杉 玲
まさか謙信の知り合いだったとは。
六車謙信
たしか、格闘家と組んで、番組やチャンネルをつくっていたな。
上杉 玲
そうだ。喫煙エリアからはみ出て吸ってる奴に、注意したりするやつだな。
上杉 玲
怖そうな男が注意をすれば、みんなそそくさと言うことを聞く。
上杉 玲
もしあれが、普通そうに見える、掃除の担当の方だったら、逆ギレする奴がいるかもな。
上杉 玲
世の中暴力だとしたら、嘆かわしいものだ。
六車謙信
ああ。俺もあれを見たときは、任侠者として、複雑な気分になったよ。
六車謙信
街の治安は、本来暴力で改善させるべきではないだろう…。
上杉 玲
それにしても謙信は、
上杉 玲
まったく、私を組に引き入れたときといい、
上杉 玲
顔が広いな。
六車謙信
まあ、この世界に長く居れば、
六車謙信
嫌でもこのあたりの極道のことはわかるってもんよ。
六車謙信
今回あの男が、京極組に力を貸してくれることとなった。
上杉 玲
そうか。
六車謙信
お前のためを思って話さなかったが、
六車謙信
あいつも、ドン・ウエスギのことはよく知っていた。
上杉 玲
ふふふ…
上杉 玲
懐かしい呼び名だ。
上杉 玲
だがあの男も、ドン・ウエスギが実は女だったとは、知るまいな?
六車謙信
もちろんだ、これからも黙っておく。
上杉 玲
ふふ…ありがとう。
上杉 玲
ところで、謙信の阿修羅の刺青…
上杉 玲
前から思っていたけど、本当に似合うな…
六車謙信
そ、そうか!?
上杉 玲
ああ、歳とともに、ますますよくなじんでいる…
六車謙信
な、なんか、照れるな…///
六車謙信
そういえば、珍しくお前は背中に刺青を入れてないな。
六車謙信
海外マフィアなら、なおのこと入れていると思っていたが…
上杉 玲
ああ、言われてみればそうだな…
上杉 玲
右腕にマフィアの紋章はあるが、
上杉 玲
背中などに、大きな刺青はいれていない。
上杉 玲
ずっと男という偽りの姿でいたためか、
上杉 玲
これといって、刺青にしたい絵柄が見つからなかった。
六車謙信
そうか。
上杉 玲
これからも、しばらくはこのままでいるよ。
六車謙信
ああ。いつか、お前にしっくりくる柄が見つかれば、その時に入れたらいいさ。
六車謙信
無論、一生、まっさらな背中のままでもいい。
上杉 玲
珍しいな、極道がそんなことを言うとは。
六車謙信
刺青は一生モンだ。焦って変なモノを選ぶと、後戻りはできない。
六車謙信
(それに、お前の背中は…)
六車謙信
(何もない方が美しい…)
上杉 玲
...ん?
上杉 玲
何か言ったか?
六車謙信
いや、なんでもない。
六車謙信
これから舎弟たちを、瓜田に会わせてくる。
六車謙信
夜遅くまで事務所を空けるが、あとは頼んだぞ。
上杉 玲
ああ。任せておけ。
上杉 玲
皆によろしくな。
つづく
圭一
ねぇねぇ、ちょっと!
圭一
早百合〜??
小湊早百合
お兄ちゃん? どうしたの、そんなに嬉しそうにして。
圭一
今日の動画見たー?
圭一
瓜田さんと、六車くんのやつ!
小湊早百合
ああ、なんのことかと思えば。
小湊早百合
もちろん、見たわよ。
小湊早百合
お兄ちゃんの言いたいこともわかる。
圭一
ねぇ、待って、言わないで!
圭一
それ僕に言わせて!
小湊早百合
わかったわ。 笑
圭一
なんと、
圭一
動画に、僕が映ったの!
小湊早百合
そうだったわね。
小湊早百合
お兄ちゃんの姿が見れて、嬉しかったわ。
圭一
ねぇ、もっと感動してよ~笑
小湊早百合
はいはい笑
小湊早百合
(テレビで、街頭インタビューの後ろに映った子供みたいに喜んでるわね…)
圭一
これからも、僕の映った瞬間、見逃さないでね!
小湊早百合
もちろん、見逃すわけないわ!
圭一
じゃあ、またね~
小湊早百合
またお会いしましょう!