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雪村 麻耶🦇🩷 。🦅🖤
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第五話
『先輩達の襲撃』
START
『じゃあ、明日も来る、北斗が本を読めなくなるくらい、俺のことでいっぱいにしにくるから』
昨日、京本先輩が言い残したあの甘い言葉のせいで、今日の俺は一日中、完全に調子を狂わされていた
授業中も、休み時間も、気がつけば先輩の眩しい笑顔が頭をよぎる
北斗
トボトボと放課後の図書室へ向かい、カウンターで返却本の整理を始める
けれど、引き戸が開く小さな音や廊下の足音に、いちいち肩がビクッと跳ねてしまう
自分で思っている以上に、俺はあの綺麗な先輩の「ノイズ」に毒されているらしかった
――ガラガラ...
いつもより少しだけ、遠慮がちに引き戸が開いた
ビクッとして入り口に目を向けると、そこには制服の第一ボタンを律儀に閉めた京本先輩が立っていた
大我
いつもなら「これ今日の口止め料!」と無邪気にキャンディを置いてくるのに、今日の先輩はなぜか視線をキョロキョロと泳がせている
耳の裏がほんのり赤くなっているのが、遠目からでも分かった
北斗
大我
大我
先輩は照れくさそうに頭を掻きながら、俺の対面の席にちょこんと座った
いつもなら我が儘に「本閉じてよ!」と言うはずなのに、今日の先輩は大人しく、手持ち無沙汰そうに机の木目を指先でなぞっている
北斗
大我
大我
上目遣いで、少しはにかむように俺の顔を覗き込んでくる
その無防備な表情と、真っ直ぐな言葉。昨日聞いた『俺のことでいっぱいにしにくる』という言葉が脳裏に蘇り、俺の心臓は一気にうるさい音を立て始めた
お互いに昨日の余韻を意識しすぎて、図書室の空気は今までで一番ギクシャクとした、甘酸っぱい緊張感に包まれていた
僕たちの間で、気まずくも心地いい沈黙が流れた、その時だった
――ガラガラッッッ!!!
静寂を完全に引き裂くような乱暴な音がして、図書室の扉が勢いよく開け放たれた
樹
ジェシー
心臓が跳ね上がる
立っていたのは、学校の頂点に君臨するカリスマ、田中樹先輩とジェシー先輩だった
大我
京本先輩の顔から、一瞬で照れくさそうな表情が消え、焦りの色が浮かぶ
樹
樹先輩が鋭い目を光らせながら、ドカドカとカウンターへ歩み寄ってくる
大我
京本先輩が慌てて立ち上がり、二人を止めようとしたその時、廊下からさらにもう一つ、聞き馴染みのある騒がしい足音が近づいてきた
慎太郎
勢いよく飛び込んできたのは、俺のクラスメイトの森本慎太郎だった
大きなスクールバッグを抱えた慎太郎は、図書室の中にいる京本先輩、樹先輩、ジェシー先輩の姿を見て、限界まで目を丸くして固まった
慎太郎
慎太郎
樹
慎太郎の突飛な勘違いに、樹先輩がすかさずツッコミを入れる
ジェシー先輩は「ギャハハ!カツアゲって、俺たちが不良みたいじゃん!」と大声をあげて図書室の机を叩いた
静かだった俺の聖域は、一瞬にして学校で一番騒がしい空間へと変貌していく
樹
樹先輩がニヤニヤとした笑みを浮かべながら、俺と京本先輩が座っていた席へと一歩近づいてきた
その鋭い視線が、俺たちの間にあったギクシャクとした、だけど確かに甘酸っぱかった空気の残骸をじっと見つめる
樹
樹
大我
京本先輩は明らかに動揺して、制服の裾をぎゅっと握りしめた
さっき俺の前で照れていた時とは違う、完全にキャパシティをオーバーした時の赤さが、先輩の白い頬から耳の裏まで一気に広がっていく
樹
樹
大我
樹
ジェシー
大我
顔を真っ赤にして必死に反論する京本先輩
学校のトップに君臨するあの『完璧なプリンス』が、ここまで余裕をなくして取り乱している姿なんて、廊下を歩く生徒たちの誰も知らないはずだ
樹
樹先輩はさらに面白そうに目を細めると、今度は俺の方へと視線を移した
樹
樹
樹
大我
京本先輩が叫ぶようにして樹先輩の言葉を遮った
『違わないけど』って、一体何が違わないんだろう
俺の心臓が、その言葉の響きにドクンと大きく跳ね上がる
京本先輩は俺の前に一歩踏み出すと、自分の身体で俺を樹先輩たちの視線から隠すようにして立った
大我
大我
背中越しに見える先輩の細い肩が、緊張と照れくささで僅かに震えているのが分かった
樹先輩とジェシー先輩は、そんな京本先輩のマジな態度を一瞬だけ呆然と見つめ、それからお互いに顔を見合わせて、さらに深い笑みを浮かべた
樹
樹先輩が呆れたように、でもどこか嬉しそうに肩をすくめた
京本先輩の「違わないけど、違う!」という、あまりにも直球な取り乱し方を見て、樹先輩は完全にすべてを察したらしい
樹
ジェシー
慎太郎
樹
事情が飲み込めていない慎太郎の首根っこを、樹先輩がガシッと掴む
ジェシー先輩が慎太郎の背中をドカドカと押し、嵐のような三人組はあっという間に出口へと向かっていった
樹
最後に樹先輩がニヤリと意味深なウインクを俺に投げ、ガラガラ、と引き戸が閉まった
廊下を遠ざかっていく「引っ張るなよー!」という慎太郎の叫び声が完全に消え去ると、図書室には、耳が痛くなるほどの静寂が戻ってきた
さっきまでのドタバタが嘘のようだ
外から聞こえる運動部の掛け声だけが、遠くで響いている
大我
北斗
俺たちの間に、気まずいなんて言葉では足りないくらいの、濃密な沈黙が流れる
京本先輩は俺の前に立ったまま、まだ後ろを振り返ろうとしない
けれど、先輩の白い首筋から耳の裏までが、夕陽を浴びたみたいに真っ赤に染まっているのは、後ろからでもはっきりと見えた
『きょもがガチすぎて』
『この後輩のことが――』
樹先輩たちの言葉が、図書室の空気の中に溶け残っている
ガチ、って...何が? 京本先輩が、僕に?
北斗
耐えかねて、俺が背中に向かって小さく声をかけると、先輩の肩がビクッと跳ねた
先輩はゆっくりと、ロボットみたいなぎこちない動きでこちらを振り返る
大我
合わせられた先輩の大きな瞳は、完全に潤んでいて、今にも泣き出しそうなくらいにいっぱいいっぱいだった
いつもは学校の頂点で凛としている『完璧な美形』が、俺の前でだけ、こんなにも余裕を無くして、形を崩している
北斗
大我
大我
北斗
俺は先輩から目をそらし図書室の机に目を向ける
心臓が、喉の奥から飛び出してしまうんじゃないかと思うくらい、激しい音を立てて波打っている
北斗
大我
北斗
俺が真っ直ぐにその瞳を見つめて問い詰めると、京本先輩は息を呑み、今度は顔を両手で覆って机に突っ伏してしまった
大我
こもった声で、消え入りそうに呟く先輩
突っ伏した先輩の隙間から覗く耳は、さっきよりもさらに赤さを増していた
お節介な先輩たちが残していった2人きりの空間で、熱い和音に包まれていた
♡ 💬 待 っ て ま す ⌒♪
コメント
5件
好きです(告白)
マジぎゅんぎゅぎゅん神すぎて滅‼️((あ、最高すぎて浮かれてるだけです。通常運転なんでご安心下さい
おおお、第6話の先輩たちの乱入めっちゃ好き!!!!樹先輩とジェシー先輩のツッコミと、京本先輩が「違わないけど、違う!!」って真っ赤になって取り乱すところがドンピシャすぎてニヤニヤが止まらんかったわ。慎太郎まで巻き込まれて騒がしくなる図書室、聖域が一瞬でカオスになるギャップがたまらん。最後の「言えるわけないじゃん、バカ」で突っ伏す先輩、萌えが重すぎてやばい。続きすっげー待ってます🔥