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「“飛偉楼”って、なんだろう」
「ヒーロー?」
「そう。ヒーロー」
「ヒーローは、人を助けてくれる人、かな」
「じゃあもし、ヒーロー自身が困ってたらどうするんだろう」
「それは…知らないよ」
「そもそも、ヒーローなんて信じたらだめ。結局いないんだよ。ヒーローなんて」
「そうだね…苦しい思いをした__は、信じれないよね」
「…だから、ヒーローなんていない。ヒーローなんて、都合のいい解釈なだけだよ」
「でも、ヒーローはいるんだよ?」
「…__まで、そう言うの?」
「あのね、ヒーローって、人それぞれなんだ」
「推しのいる人は、その推しがヒーローかもしれない」
「ペットに癒されている人は、そのペットがヒーローなのかもしれない」
「__も、自分だけのヒーローを、見つけてみたら?」
…いつだっただろうか。
誰かとこんな話をしたのは。
“飛偉楼”なんて信じていなかった僕を変えてくれたのは、誰だっただろう。
あのあと、僕は事故にあって、それで…
何もかも、忘れてしまった
それ以前の記憶がなくなった。
友達が誰かなんて、わからなくなった。
でも、その時の会話だけは鮮明に覚えている。
僕の“飛偉楼”は、きみだった気がする。
きみになった気がする。
顔も、声も、名前も、何も覚えていない。
きみは僕が「苦しい思いをした」なんて言っているけれど、今の僕にはわからない。
誰も教えてくれない。
ねぇ、僕の“飛偉楼”。
会いたいよ。
ー“飛偉楼” startー
主
主
主
主