2020/04/11
1. 遅刻
ある日の朝
実家から近いアパートで一人暮らしを 始めたばかりの男は
まだ慣れない新居生活の中で 職を見つけたためもあってか
盛大に寝坊をしてしまった
敷布団から飛び起き
襖をこじ開けて
暴れるような勢いで支度を済ませ 家を出た
それでも、上司から強く叱責を受けて
夜はとぼとぼと帰ってきた
朝の勢いとは裏腹に 力なく玄関のドアを開けて
男は自身の部屋の汚さに驚いた
トイレのドアは開けっ放し
ポールハンガーは 近くのソファに倒れている
男は直感的に、空き巣が 入ったのかと思ったが
そこで、少し前に このアパートの大家さんから聞いた
男の住む部屋について の話を思い出した
その話によると どうやらこの部屋では
過去によくない事が起こり
いわゆる、事故物件となったのだ
さらに
それが原因かは分からないが
この部屋に住む人が立て続けに 失踪しているらしい
そんな話を思い出して 急に怖くなった男は
寝室前のドアに手をかけたところで
全てを察して逃げ出した。
コメント
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〖解説〗 襖が閉まっている理由を知ったから。