英寿
どうしたこあ、

英寿
ほらママだよ、

虹愛
ウェーーン…フッ…フッ…

英寿
そうそう、ママいるからね。

英寿
ギュッ…

英寿
トントントン……

虹愛
ヒクッ…ヒクッ…スーッ…スーッ…💤

愁
おろして。

英寿
降ろさない。

英寿
ずっとぎゅーしてる。

愁
ソファに座りたいからおろして

英寿
じゃあ一緒に座ろ

英寿
ポスッ…(隣で支えながら座る)

愁
……。

愁
良いから…離して

英寿
しゅう…

英寿
ごめんね。

英寿
粉ミルクのネット便、
頼むの遅くなって。

英寿
しゅうのこと1人にしてごめん。

愁
だからひではわるくないって。

愁
わるいのはしゅうだけ

英寿
いっぱい呼んでくれたんだよね…

愁
ッ…

愁
なんで…それを

英寿
これ…

愁
録画、みたの?

愁
全然動けてなくて、
カッコ悪かったでしょ。

英寿
かっこわるくない。

愁
泣かせたままにしてるの見て、何やってんだよって思ったでしょ。

英寿
そんなこと思わない。

愁
しゅうのおっぱいで、
こあを苦しめてるのをみて

愁
やばいなこの母親、虐待だなって思ったでしょ。

英寿
なぁ…!

愁
ビクッ…

英寿
そろそろ怒るよ。

英寿
やめろ。

愁
怒って

愁
怒ってよ、ひでッ…!

愁
何もできないしゅうを怒ってッ…!

愁
ひで全然しゅうのこと責めないから、もっと責めて。

英寿
責めることないんだもん、
責めないよ!

愁
あるよ、山ほどある。

愁
「お前は母親失格だ」って言ってッ…!ポロポロポロッ

愁
自分のこともまともにできない母親だッ…!

愁
使えない人間だッ…!って

英寿
そんなことない。

愁
ひではッ…

愁
ひでは、妻のお世話をするために生まれてきたわけじゃないのにッ…!

英寿
やめて。

愁
もっとまともな妻だってこの世にたくさんいるッ…ポロッ

愁
ちゃんとご飯作って、掃除して,洗濯して、アイロンまで。

愁
ひでがしなくても、何でもしてくれる奥さんなんて、たくさん,たくさんいるんだよ!

愁
セッ○スだって、いろんな対位でできる。

愁
しゅうはひでのこと、気持ちよくさせてあげられない。

愁
お風呂だって、あんなおっきな器具買って、寝ころばせながら、大変な思いしてしゅうのこといれなくて済むんだよ

愁
何回もお漏らしして失敗して。

英寿
それは仕方ないじゃんッ…

愁
ほら、仕方ないで許しちゃだめなんだよッ…!

愁
こんなデメリットしか無い妻、ひでには重荷すぎるよッ…!!

愁
できないしゅうがわるいのにッ…

愁
ウウウッ…涙

愁
そんな妻なら、粉ミルク買うのだってひでがやらなくて良いんだもん。

愁
妻がやるもんッ…

愁
ひでは、こんな身体じゃない奥さんと結婚した方が良かったんだッ…!!

英寿
結婚した時は身体不自由じゃなかったじゃん。

愁
そうだよ、でもこうなる運命だったんだよ

愁
だから、今、今のタイミングで別れて

愁
しゅうなんかじゃない、しゅうよりもっと素敵な違う人とまだ巡り会える

英寿
やめて。

愁
しゅうより素敵な人なんてもっとたくさんいる。

英寿
いない、しゅうしかいやだ。

愁
ひでは、かっこよくて人への思いやりが素敵な人だから。

愁
そんなひでの優しさを搾取してしまってる。しゅうは。

英寿
してないよ,搾取なんて

愁
しゅうの身体がバカなせいだ。
使えないせいだ。

愁
普通の夫ならやらなくて良いことまで押し付けて…

英寿
もうやめて。

愁
こんなバカな身体を持った妻のことなんて忘れて、ほっといてさ、

愁
すぐにでも別れてひでの幸せを見つけてよッ

愁
しゅうのお世話なんか、ひでの重荷でしかないからさ…

英寿
……。

愁
ね…?ひで…

愁
別れてさ…ひでの幸せ見つけてよ…

英寿
そしたらしゅうはどうするんだよッ…!

愁
施設入る。

英寿
ッ…

愁
しゅうの居場所は、そこしかないんだよ…

愁
だから、施設入る。

愁
そこで、早めに一生を終える。

英寿
ッ…

英寿
なにいってんの…

英寿
こうとこあはどうするんだよ。

愁
こあとこうが、しゅうをママとして認識する前に、消えていなくなる

愁
しっかりとした記憶に残る前に消える。

愁
そして、ちゃんと愛してくれて、ちゃんと1人で自分のことをできる新しいママと出会った方がいい。

愁
それが1番良いんだ。

英寿
しゅうと一緒に望んだ子なのに?

英寿
しゅうが、命をかけて産んだ子なのに?

愁
しゅうは、合併症起こした最悪なママだよ

英寿
…は、?

愁
ッ…

愁
しっかりお腹の中で育てあげられなかった

英寿
今元気だよ。

愁
それは、お医者さんのおかげ。

愁
しゅうは勝手に苦しんでただけ。

愁
頑張ったのは、しゅうじゃなくて、ひでと先生たち。

英寿
高熱出してまで自分と戦ってたよ。栄養届けてたよ。

愁
ほら。やっぱり自分のことで精一杯なんだよ。

英寿
…。

愁
しまいには、自分のことも上手くできなくなった。

愁
いつかは子どもの世話になる。
そんな親なんて、母親ガチャ失敗じゃん。

愁
こんなバカな母親なんて、いないほうがいいに決まってる。

英寿
やめて、

愁
なんでなの??

英寿
なにが。

愁
なんで、しゅうが麻痺ですってわかった時に別れなかったの?

英寿
一緒にいるのが当たり前すぎるから。選択肢にもなかったし

英寿
頭にも浮かばなかった

愁
そっかッ…じゃあこの際選択肢にいれてよ

愁
こうこあもつれて、新しい奥さんと幸せになって…

愁
3人の幸せがしゅうの幸せ。

英寿
俺の幸せは、しゅうといっしょにいr…

愁
ひで。それは今の状態に麻痺してるだけだよ

英寿
じゃあいいじゃん、麻痺したままいさせてよッ。

愁
だめ。だめだよひで。

愁
これまで、たくさん支えてくれてありがとう

愁
元気で、健常なしゅうを愛してくれてありがとう

英寿
やめて。
今だって愛してるもん。

愁
ごめんね。事故なんか遭って。

愁
ごめんね。障害者になって。

愁
ごめんね、迷惑ばかりかけて。

英寿
やめてよ。もう。

愁
ごめんね、普通の人生歩ませてあげられなくて

愁
ごめんね、デートも普通の旅行もできなくて

愁
ごめんね、手繋いで横を歩けなくて

愁
ごめんね、変な身体で生きてしまって。

愁
ごめんね、中途半端に生きてしまって。

英寿
……ッ。

愁
あー…そっか…

愁
こんな身体になるくらいなら

愁
あの時、しゅうの代わりにあーちゃんが生きてたr…

英寿
もうやめろッ…!!!!!

愁
ビクッ…

英寿
俺の愛する人を、
心から愛する人を

英寿
バカな身体とか、使えない妻とかッ…ハァッハァッ

英寿
いくら自分でも悪くいうのは
許さないからなッ…涙!!!

英寿
勝手に人の幸せ、決めつけないでッ…!

英寿
俺の幸せは、しゅうと同じ空間で、一緒に生きることなのにッ…!

英寿
別れるとか、言わないでよッ…!

英寿
何勝手なこと言ってんだよッ…!

英寿
俺はッ…俺はッ…ポロッポロッ

英寿
障害持ってるとか関係なく、

英寿
しゅうという存在が大好きで愛してたまらないんだよッ…!!

英寿
そんな愛おしくてたまらないしゅうを責めるのはもうやめてくれッ…!!

愁
ギャァァァッ…!アアッ…アアッ…ハァッ…

英寿
ッ……

英寿
ギュッ………

パニックを起こして、
大声で叫び始めた。
ほぼ発狂…だった。
出会って10年以上経ったけど、
こんな姿のしゅうを見るのは初めてだった。
申し訳なくて
しゅうの心を守れなくて。
俺の膝に乗り、
俺と向かい合うようにして
身を委ねることしかできてないしゅうを
ただただ抱きしめることしかできなかった。
俺の腕の中で力絶えて
グッタリするしゅうは
今まで以上に弱っていたんだ。
気持ちを吐き出す機会を
作ってあげられたってことだよね
英寿
しゅう。

英寿
高校の時行ったドッグカフェ、覚えてる?

愁
………。

しゅうを隣に座らせ、
横からぎゅっと身体を支え、
腰を引き寄せながら話し出した。
英寿
あの時、しゅうにすぐ懐いたチワワいたじゃん

愁
………。

英寿
あのチワワ、めっちゃ覚えてるんだよね俺。なんでかな

愁
………。

英寿
しゅうがチワワに向かって可愛いって言ってる姿がさ、ずっと残ってるんだよね、

英寿
ラッキーは?かわいい?

愁
………んッ。

英寿
一緒に見に行ったもんね、
譲ってくれたおばちゃんの家

英寿
あの時可愛かったな〜

愁
………今も可愛いよ。

英寿
ッ…!!!

英寿
もちろん!今も可愛い!

英寿
しゅう?

英寿
ナデナデ…頑張ったな。

愁
ブワッ………涙

英寿
ありがとう。しゅう

英寿
いつもありがとう。

愁
………。

愁
何もしてない。

英寿
してるよ☺️

英寿
だから、ありがとう。

英寿
言いたくなかったらいいよ?
でも、俺はしゅうがどんな気持ちなのか知りたい。

愁
悔しい……ポロポロポロッ…

愁
こうなることはわかってて
望んだ子どもだけど。

愁
やっぱり、自分で何もしてあげられないのが、守ってあげられないのが悔しい…

愁
こんなに動かなくなると思わなかったから…泣

英寿
そうだな。

英寿
左も動きにくくなるとは思わなかったな。

愁
うん。

愁
流石に自分を責める。

愁
責めないなんて…できない。

英寿
ごめんな。強く言い過ぎて。

英寿
しゅうのきもち、勝手に分かってる気になってさ。

英寿
なのに全然守ってあげられない

英寿
俺こそ、しゅうのこと守れてないよ

英寿
ごめんな…。

虹羽
アウッ…!!

英寿
ん?

愁
こう?起きた?

英寿
うん起きた、目ぱっちり開いてる

愁
こうにごめんねする。

英寿
うん、連れてくるよ

愁
うん。

英寿
トコトコトコ…

英寿
こう〜😊ギュッ…

英寿
起きたの☺️

虹羽
アウッ…!!

英寿
ママのところ行きましょね〜

英寿
トコトコトコ…

愁
グデッ…

英寿
ヨイショッ、

虹羽
アウッ!ニコニコ!

愁
ッ…

英寿
しゅう、ごめんごめん

愁
ううん、大丈夫

英寿
クッション周りに置いてあげればよかったね

愁
逆にごめん、バランス崩して…

腰に回していた手をはなしたため、
静かにバランスを崩していたしゅう。
身体の力の入らなさを
それぞれ実感した2人だった。
愁
ごめんね。

愁
こんなママで。

愁
ごめんね…

英寿
こう😊

英寿
かっこいいママだね〜😊

英寿
パパもママのこと大好きなんだよ☺️

虹羽
アウッ!

英寿
そっかそっか、こうもママ好きだよね☺️

虹羽
アウッ!!

英寿
さすがパパの子ども😊

英寿
ママ好きは遺伝だねっ☺️

英寿
サークルで、遊ぼっか!😊

英寿
よいしょっ!

こうをサークルの中に入れ、
音の鳴るのおもちゃや、
いろんな形のおもちゃで遊ばせた。
英寿
最近こうもこあも、声出すようになったよね

愁
うん、お話上手になった

英寿
しゅう?

英寿
🤝ギュッ…(左手)

愁
…

英寿
力入る?

愁
…入らないんだ。

英寿
そっか。

英寿
今日はもう、ゆっくりしよう😊

英寿
ギューーーッ…ありがとう、2人を守ろうとしてくれて。

英寿
キス、していい?

愁
コクッ…

英寿
チュッ…チューッ…チュッハムッチュ--ッチュパッチュ

愁
ンッ………ハンンッ……

英寿
ハァハァハァ…

愁
ハァハァハァ……

英寿
ここに布団敷こうか。

愁
うん。

愁
ありがとう。

英寿
その前に着替えよ?

英寿
風邪引いたらまた、酷くなっちゃうから。

愁
うん。

愁
い、一緒にやって。

英寿
もちろん☺️

こうして、2人は落ち着きを取り戻した。
しゅうは、頑張りすぎたせいで、
左手、左腕に力が入りにくくなっていた。
そしてキスの時に
いつもは動かしてくれる唇も、
あまり動かなくて…。
気持ちを教えてくれるために、
たくさん口動かしたからだよね。
遊んでるこうと寝ているこあが
しっかりと見える位置に布団をひき、
2人で横になった。
しゅうに覆い被さるように、
額、瞼、鼻、口。
いろんなところにキスを落とした。
そして、
息があがらない程度に激しく、
顔を傾け口付けを続けた。
可愛かった。
どんどん顔がイチゴのように
赤くなっていくのが可愛かった。
長いこと口付けをしていたと思うが、
疲れたのかすぐ寝てしまった。
俺の腕のなかのしゅうは、
まるで天使のようで、愛おしかった。
起きないように、
口や鼻、頬や耳、そして手のひらに
キスしたのは、
しゅうに内緒にしておいてね。
そして、そっと腕枕を抜き取り、
最後に首にキスマークをつけると、