校庭の隅にあるブラウンのベンチ。
お昼休みの私の定位置。
和花
お気に入りの2B鉛筆を 彼に重ねた。
片目を瞑って バランスをはかる。
和花
満足気に微笑み、 真っ白なスケッチブックに 鉛筆をはしらせる。
クラスメイトとサッカーで遊ぶ、 彼を目で追いながら。
いつからだろう。
彼を描くようになったのは。
鉛筆を動かす手を止めて、
ページを遡る。
大体が彼の絵だった。
別に幼馴染みでもなく、 付き合ってもいない。
ただのクラスメイト。
でも、私は。
和花
いつからかなんて覚えてない。
気付いたら惹かれてた。
絵に
残したいと思った。
ページを戻す。
描き途中だった彼の隣に
もう一度鉛筆を置く。
タオルを持って、
彼を応援する"私"。
空想の私を付け足した。
和花
スケッチブックに閉じ込められた 二人。
現実では存在しない一瞬。
和花
今はこれでいっか。
彼には内緒。
スケッチブックの中だけの
特別な関係。
昼休み終了のチャイムと同時に
スケッチブックを閉じて、
大切に鞄にしまった。
ℯꫛᎴ
コメント
9件
わ〜!さやさんのお話、すごく楽しみにしてたので嬉しいです♪ 短いお話の中に和花ちゃんの彼を思う気持ちが沢山詰まってて、2人がくっついてくれるといいな〜と勝手に想像しちゃったりして...笑 私も絵を描くのが大好きなのでこういう話を読んでるとなんか微笑ましい(?)ですね笑 次の投稿も待ってます✨