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じいちゃんのタイムマシーン

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じいちゃんのタイムマシーン

128 - 番外編:奨太の夢

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13

2022年09月24日

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2033年夏休み前

奨太

先生!

奨太

僕、柳原高校に行きたい

担任

柳原高校……

担任

根岸……

担任

今の成績だとちょっと……いやだいぶ厳しいぞ?

奨太

やっぱ無理?

担任

ちょっと遠いけど柳北高校じゃだめなのか?

担任

あそこなら合格圏内だし

僕はどうしても柳原高校に行きたかった

去年

僕は生まれて初めてずっと疎遠になっていたひい祖父ちゃんに会った

そしてその時、一緒にいた明日夢さんを紹介された

この頃、明日夢さんはちょっとした有名人で

明日夢さんが被害に遭った謎の事件は

暴行事件なのかひき逃げ事件なのか全くわからず

犯人の特定も全くできていないと

連日のニュースやワイドショーで取り上げられていた

まさかそんな有名人が実家の隣に住んでいるとは思わず

僕は驚きを隠せなかった

それと同時に気になることがあった

明日夢さんは警察の取り調べや取材などでも

事件のことは覚えていないと言い続けていた

でも本当は覚えていることがあるんじゃないか?

そう思って明日夢さんに訪ねると

明日夢さんの口から驚くべき真実を聞かされた

明日夢さんはひい祖父ちゃんの作ったタイムマシーンで過去に飛び

自身の母、愛紗さんを庇って大型のトラックと衝突

その後、瀕死の状態で未来に戻るも

庇ったはずの愛紗さんは眠り続けたままだった

しかし

本来なら一度も目を覚ますはずのなかった愛紗さんは

わずか10日間だけだったが目を覚まし

明日夢さんに手紙を残した

この嘘のような話を信じる人はそういないだろう

でも僕は明日夢さんが嘘をついているとは思えなかった

それからも何度か明日夢さんと会って話をするうちに

ひい祖父ちゃんのタイムマシーンに興味が湧いた

何度か地下室を見せて欲しいと頼んだけど断られ

作造

あそこはもう閉鎖した

作造

いくら曾孫のお前でも見せられない

作造

諦めてくれ

そう言われてしまった

それでも諦めきれなくて

僕は自力でタイムマシーンを開発してやろうと思い

機械工学などに強い大学への進学を希望

奨太

柳大を受けたくて

担任

柳大!?

担任

無茶じゃないのか!?

奨太

柳原高校なら柳大に行ける可能性あるよね!?

担任

そりゃあ、柳原高校に行ければ可能性はあるけど……

担任

そもそも根岸の今の成績で柳原高校に受かるかどうか……

先生が止めるのも聞かず

志望校を明日夢さんの母校の柳原高校に決めた

それを聞き付けたひい祖父ちゃんが頼んでくれて

奨太

よろしくおねがいします

明日夢

早速、始めようか

みなみ

頑張って合格を目指そうね

今年、柳原高校を卒業した明日夢さんと彼女さんが

デートの時間を俺のために割いてくれて

二人掛かりで勉強を見てくれた

明日夢

お、全問正解……

みなみ

やればできるんだよきっと

明日夢

じゃあ次はこの問題ね

奨太

は、はい……

最初は凄く緊張したけれど

徐々にそれもなくなり

奨太

今日もよろしくお願いします

みなみ

ねぇ!

みなみ

今日はカラオケ行かない?

奨太

へ?

明日夢

カラオケ?

みなみ

図書館だとあまり声、出せないし

みなみ

休憩時間に歌えるしいいかなぁって

みなみ

お金かかっちゃうけど……

明日夢

カラオケかぁ

明日夢

たまにはいいんじゃない?

明日夢

フリータイムなら安く済むし

奨太

僕も賛成です!

奨太

これ合ってますか?

明日夢

お!正解!!

みなみ

じゃあ次はこの問題ね!

時々、場所を変えながら

二人は僕のために……

その気持ちが嬉しくて……

明日夢

え?

みなみ

奨太君!?

奨太

あの……

奨太

僕……

涙が溢れて止まらなくなって

奨太

嬉しくて……

奨太

二人の大切な時間を……

奨太

僕なんかのために……

明日夢

僕なんかって……

明日夢

そんな風に思ってないよ

みなみ

私達はただ頑張って欲しいって思ってるだけ

奨太

ありがとうございます……

明日夢

あともう一息、頑張ろう!

奨太

はい!

それからも僕は必死に勉強をして

少しずつ成績を上げていき……

2034年3月某日

迎えた合格発表当日

明日夢さんに付き添われて柳原高校へ

明日夢

受験番号何番だっけ?

奨太

127番……

明日夢

あ!!

明日夢

奨太君!!

奨太

あった……

奨太

受かった……

奨太

受かったー!!

担任の先生も無理だと言っていた柳原高校に見事合格

そこから更に勉強をして

念願だった柳大に行くことができた

最初は単なる興味本意で

ひい祖父ちゃんのタイムマシーンの研究をしたくて目指した大学で

僕は新たな夢を見つけた

ひい祖父ちゃんのタイムマシーンを復活させたい

そして明日夢さんのお母さんを今度こそ助けたい

だけど何度、説得しても

ひい祖父ちゃんは首を縦に振ってくれなかった

諦めかけた大学三年の頃

ひい祖父ちゃんが肺炎を起こし入院

そこで初めて

作造

許可してやる……

ひい祖父ちゃんからOKが出た

奨太

よいしょっと!

奨太

やっと開いた……

奨太

この鍵、固すぎる……

ひい祖父ちゃんから預かった鍵で地下室へ

奨太

うわぁ……

奨太

これがひい祖父ちゃんの作ったタイムマシーン……

奨太

マッサージチェアって……

奨太

鬼のようにダサいな……

奨太

でもまぁ……

奨太

見た目を気にしても仕方ないし!

奨太

さっさと運び出しちゃおう!

奨太

これが本当に使えたら……

奨太

明日夢さんの大切な人を助けられるんだ……

奨太

僕が絶対に復元させてみせる……

奨太

そのために今の大学、選んだんだから……

僕のために時間を割いて勉強に付き合ってくれた

明日夢さんと奥さんのために

絶対に成功させて恩返しする!!

研究仲間

うわぁ……

研究仲間

これ俺らだけで運び出せるか!?

奨太

応援、呼んであるから!

研究仲間

何だそうなの!?

研究仲間

にしても凄い機械だな……

研究仲間

お前のひい祖父さんって何者!?

奨太

ただの機械技術者だよ

いつか必ず……

過去へ……

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