ボクはキミに恋をした

12月31日の、23時59分

スマホの時計を見ながら カウントダウンをする

そして、表示が0:00になった

それとほぼ同時で、姉さんと 一緒にジャンプをする

こたつに入っていた母さん達も、 新年の挨拶をする

さっきまで年末だったのに、 もう年が明けたなんて、なんだか 不思議な気分だ

もう一度こたつに入りながら、 姉さんが唸る

新年でまず最初にやることといえば、 神社に行って初詣だ

いつもは朝に行くけど、 こうやって真夜中に行くのも、 新鮮で楽しいんじゃないかな

みんなが賛成してくれて、 早速行く雰囲気になった

冬の夜は寒いだろうから、 しっかり上着を着てっと……

部屋の電気とこたつだけ消して、 暖房はつけたまま玄関から外に出る

外気に触れた途端、 体がぶるっと震えた

これなら、手袋とかカイロも 持ってこればよかったかな……

4人でくっつき気味で歩きながら、 近所の神社まで歩く

こんな時間だし、人なんてほぼ いなさそうだけど……って、あれ？

僕らの少し前を歩いていた人の 後ろ姿が、どうにもあの人と重なる

いつものふわふわな黒髪と、 華奢な後ろ姿

こちらを振り返った人は、 やっぱり彼方先輩だった

上着のポケットに両手を突っ込んで、 マフラーに顔を埋めながら、 そう返してくれた

最近は全然会えてなかったから、 いつもとあまり変わらない姿に、 ほっと安心する

彼方先輩の後ろから、 妹の芽衣ちゃんも来た

お兄さんと同じ格好をしながら、 芽衣ちゃんが聞いてくる

彼方先輩、こんな時間まで 勉強してるんだ……

僕らの後ろから、 母さんがそう言ってくる

受験といえば、2年前を思い出すなぁ

4人で必死に勉強して、全員 受かってるって分かった時は、 本当に嬉しかったっけ

あ……そうか、彼方先輩は 3年生だから、今年で卒業なんだよね

学校では、もう会えなくなる……

姉さんに呼ばれて、僕もその方に行く

もし、このまま離れ離れになったら、 僕のこの気持ちは……

ずっと僕の中に、 閉じ込めたままなのかな……