「 目 隠 し . 」
なに … それ …… っ
俺の声は 自然と小さくなった 。
視界の端で 、ぼんさんが 俺のネクタイを 手にしてるのが見えた 。
いつも 首に巻いてる 、俺のもの 。
取り外された それが 、 ふわりと宙を舞って …… 。
閉じててくれる?
ぼんさんの声は … いつもより低くて 、静かだった 。
逆らえない温度で 、 すっと心に染みてくる 。
俺が 戸惑いながらも まぶたを閉じると 、 すぐに 何か 細い布が目元にあてられた 。
たぶん 、 ぼんさんの持ってた 黒い布 。 視界が真っ暗になった 。
ッ な 、なにすんの …… っ
声かけるから 。
ちゃんと 、って 何 … ッ 、?
その言葉のあと 、 耳元に落ちてきた吐息に 、 びくっと肩が跳ねた 。
何も見えないだけで 、 こんなにも 感覚が研ぎ澄まされるんだ 。
ぼんさんの手が 、 俺の腕をつたって 、 やがて 両手首を上に引っ張る 。
また あのネクタイだ 。 手首が重なった状態で 、 やわらかく 結ばれていく 。
逃げられない 。
そう思った瞬間 、 胸の奥で 何かが熱を帯びた 。
声が うわずる 。
ぼんさんの手が頬をなぞって 、 喉元を通り 、 シャツの隙間に指先が入ってきた 。
くすぐったい
でも 、それだけじゃなくて ……
へんなの …… っ 、
自分の声が 、思ってたより いやらしくて 、焦る 。
でも 、ぼんさんは何も言わずに 、 俺の身体の上で ゆっくり動いてくる 。
目隠しのせいで 、 どこに触れられるのか分からない 。
予想できないから 、 ひとつひとつが 強烈に響く 。
おんりーちゃん …
すっごい感じてるね?笑 。
うるさ …… ぃ 、っ //
、や ッ … だ …… っ /
ネクタイの布が 、 手首の下で わずかに擦れる 。
それだけで 妙に意識してしまう 。
自分が縛られてること 。 見えない状態で 、 ぼんさんにされてること 。
もっと聞かせて 。?
可愛い声 。
それ ッ 、言わないで …… /
布越しの世界に閉じ込められて 、 音と感触しかない 。
その世界の中で 、 ぼんさんの声と手だけが … 俺の全部を支配していく 。
ぼんさぁ゙ 、ん …… っ /
もう 我慢できないから …
覚悟してて 。
最後の言葉が 、唇のすぐ近くで 囁かれた 。
俺の心臓は 、 もう ずっと前から ── 手首よりも 強く 、きつく 、縛られている 。
[ 終 ]
人間って 目隠し状態で 性行為をすると 感度が高くなるらしいね …… ?