TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

ツアー3会場目

俺らは楽屋で話していた

佐久間大介

…やっぱさ、俺らは9人でSnowManだよな

佐久間が佐久間らしくない暗い声で言う

その目にはうっすらと隈が見える

後でメイクで隠すけど、顔も疲れている

それはみんな同じだ

阿部亮平

…康二、

小さく、呟いてみる

けれど、その言葉は誰にも拾われず、空中をふわふわと漂うだけだった

ファンのみんなの前から姿を消した1週間後

俺らの前からも、康二は姿を消した

康二がいない8人での仕事があった

みんな、楽屋でスマホをいじったり台本を読んでいた

俺は机に参考書を広げ、昨日やり残した勉強を片付けていた

すると、何やら廊下からバタバタと足音が聞こえ、ドアが勢いよく開いた

マネージャー

向井さんが…!

マネージャー

倒れたって…!!

岩本照

え…

マネージャーはひどく青ざめた顔をしていた

マネージャー

向井さんの家に行ったら誰も出なくて、管理人さんも見てないって言ってたから…

マネージャー

管理人さんに頼んで開けてもらったら、向井さんが倒れてて…

その後、康二はマネージャーが呼んだ救急車で運ばれた

マネージャーは康二の家に行ったマネージャーから連絡を受けて走ってきたらしい

息を切らしながら、なんとか言い終えた

マネージャー

それで、今日の仕事なんですけど、目黒さんのドラマ撮影以外は、リスケになります

マネージャーが申し訳なさそうにめめの方を見る

目黒蓮

しょうがないですよ。ドラマの撮影ですもんね。みなさんに迷惑かける訳にはいかないですし

マネージャー

すいません……

その後、俺らは病院へ向かった

向井康二

…あぁ、みんな

佐久間大介

おまっ…大丈夫なのかよ

向井康二

…大丈夫やで。

少し、悲しそうな笑みを浮かべる康二

阿部亮平

…ほんとに、大丈夫なんだね?

向井康二

大丈夫やって笑

向井康二

…俺、みんなに言わなあかんことがある

急に康二が真剣な面持ちで話を切り出した

向井康二

俺、みんなに言わなあかんことがあんねん

みんな、俺の表情と声のトーンで、俺が真剣やということに気付いてくれた

そして、俺は、震える唇を無理矢理開き、声が震えんように、腹に力を入れて声を出した

向井康二

……俺、病気やねん

全員がはっと息を呑むのがわかった

みんな、目を見開き、驚いている

向井康二

…ごめん

病気に、なってしまってごめん

今まで、言えへんくてごめん

困らせちゃって、驚かせちゃって、ごめん

たくさんの、ごめんが入った、とても重い"ごめん"だった

渡辺翔太

…嘘だろ

しょっぴーが、低い声で、唸るように言った

渡辺翔太

んなわけ…ねぇじゃん

渡辺翔太

なんでだよ……

向井康二

……ごめん

もう、今の俺にはごめんしか言えなかった

深澤辰哉

康二は、ここに入院すんだよな?

向井康二

そうやけど

深澤辰哉

なら、俺らは、毎日看病にくるから

深澤辰哉

だから、ごめんなんて、言わないで欲しい

深澤辰哉

しょうがないじゃん

深澤辰哉

康二は、何にも悪くないんだから

向井康二

…そう、やね

今の俺では、その言葉は素直に受け取れない

やって、俺はこれから、みんなに酷いことをするから

向井康二

ありがとな。来てくれて

向井康二

また、明日

精一杯の笑みを浮かべて、俺はみんなを病室の外へと促した

向井康二

"明日"なんて、来るわけない

その後、俺はまとめておいた荷物を持って少し遠い病院へと移動した

ライブのMCになった

康二がいないライブは、やっぱりどこか違う

ファンのみんなの表情も、心做しか暗い気がする

深澤辰哉

えー、みなさん、今日は来てくれて、ありがとうございます

深澤辰哉

…康二が、倒れて1週間。"もう"1週間と捉えるのか、"まだ"1週間と捉えるのか

深澤辰哉

それは、人それぞれだと思います

深澤辰哉

辛い思いをしてる中、こうやって、俺たちのライブに来てくれて、ありがとうございます

深澤辰哉

俺達も少し、苦しみが、和らいだと思います

深澤辰哉

今日は本当に、ありがとうございました

ふっかを照らしていたライトが、翔太に移る

渡辺翔太

えー…今日は、ありがとうございました

渡辺翔太

ライブをやっていても、楽しいんですけど、何か、足りないような、そんな気がして

渡辺翔太

楽しいけど、楽しくない。

渡辺翔太

なんか、もうよくわかんないんですけど

渡辺翔太

でも、1番は、やっぱ、SnowManって、9人だなって

渡辺翔太

SnowManが、このメンバーで、9人でいるから、楽しいんだなって。

渡辺翔太

改めて、感じられました。

渡辺翔太

今日は本当にありがとうございました

次はラウールに移る

俺はもう、正直泣きそう

ラウール

えー…ラウールです

ラウール

康二くんがいない…って、こんな感じなんだなって思って、

ラウール

なんか、なんか足りない…?

ラウールは困って左右を見る

深澤辰哉

いいよ、ゆっくりで

ラウール

ん…と……どの言葉がいいのか、分かんないぐらい、康二くんがいないって、大きなことなんだなって、思いました

ラウール

これから、寂しいと思うけど、辛いと思うけど、俺たちと一緒に、頑張りましょう!

可愛いガッツポーズを作り、ライトは佐久間へ

佐久間大介

トロッコで、回ってる時、俺、見つけちったんすよ

佐久間大介

ペンライトを、おっきく降ってるちっちゃい子がいて、その子の色が、オレンジだったんですよ

佐久間大介

やっぱ、康二って、ちっちゃい子にも、人気だなぁって思って、それと同時に、ちっちゃい子に申し訳なくなっちゃって

佐久間大介

康二の、抱えてるものが、早く見つかれば、ちっちゃい子の笑顔を守れたのかなって

佐久間大介

凄い、悔しくて……

涙を堪えながら、なんとか言葉を紡ぐ佐久間につられ、俺達も泣きそうになる

翔太なんか、もう涙溢れてるし

佐久間大介

俺たちに、今できるのは、精一杯の、感謝しかないなって、思って

佐久間大介

だから、俺たちの感謝、受け取ってください

佐久間大介

本当にありがとうございました

ライトが俺に移る

阿部亮平

みなさん、今日は来てくれて、ありがとうございました

阿部亮平

少しでも、楽しいって思って貰えたら、俺たちは、大満足です

阿部亮平

…俺たちは、康二の笑顔を、忘れることはありません

阿部亮平

例え、どんな状況に置かれようと、決して、康二の笑顔と、康二の流した涙は、忘れることは無いです

阿部亮平

みなさんも、そうであって欲しい

阿部亮平

康二を信じて、待ちましょう

阿部亮平

それが、俺たちにできる、最大限のことです

阿部亮平

一緒に、康二を応援しましょう

そこで、俺は深くお辞儀をした

そして、目の前が暗くなった

今、俺が伝えたいことは伝えた

宮舘涼太

康二がいないことは、決して悪いことなんかじゃない

宮舘涼太

悲しいけど、苦しいけど、辛いけど。そんなの、康二の苦しみと比べれば、なんてことないんです

宮舘涼太

だから、一緒に、楽しく過ごしましょう

宮舘涼太

そして、康二がいない分は、8人でカバーしあっていくから、安心してください

宮舘涼太

康二を、待ちましょう。康二が大好きなら、康二を好きな気持ちを持ったまま、待ちましょう

宮舘涼太

一緒に待って、一緒に、"おかえり"って言おう

宮舘涼太

約束ね。絶対、離れないでください

目黒蓮

えー、目黒蓮です

目黒蓮

楽しかったですか?

目黒蓮

さっきしょっぴーも言ってたんですけど、やっぱSnowManって9人なんですよね

目黒蓮

9人じゃなきゃ成り立たないというか、だから、俺ら9人の素晴らしさを、忘れないで欲しいです

目黒蓮

きっと、康二は帰ってきてくれるから、それまで、8人とみんなで、頑張りましょう

岩本照

えー、今日は本当に来てくれてありがとうございました

岩本照

やっぱね、康二が好きな人もいると思うし、オレンジのペンラ持ってる人もいた

岩本照

それだけ、康二がみんなから愛されてるって、俺凄い誇らしくなったんですよね

岩本照

俺らのグループには、こんなに愛されてる奴がいるんだぞって世界中に叫びたくなって、

岩本照

メンバーみんなの表情見てると、不意に暗くなったりとかするメンバーもいたし、みなさんの中にも、無理して笑っているような方もいました

岩本照

全部、俺たちのせいなので、悲しい表情は、しないでほしい

岩本照

俺たちが全力で笑わせに行くから、全力で、心から笑って欲しい

岩本照

きっと、その笑顔につられて康二も帰ってくるから

岩本照

気長に、待ちましょう

そこで、最後の曲が流れ始めた

俺たちは、涙を流していた

流れ星に願いを託して ☃️(🧡)

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

420

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚