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4件
考えさせられる作品でした… とても面白かったです!
自ら死を選んだ人、自死に追い込んだ人の世界……面白かったです!
開かれ
入るべき人が入ると
すぐ閉じられた
開かずの門。
中に入って振り返ると
そこに
門は無かった。
”外側”からは見えなかった民家が
門があった場所に立っていて
無言で
”こちらは出入口ではない”
ということを示唆していた。
先を歩くのは
ここのマスコットキャラクター”ディビット”。
門を一緒に潜った少年の姿は見えない。
どういうことなのだろうか。
ピグニー
あれこれ考える自分の前に現れたのは
ピグニーだった。
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
そう言ってピグニーが振り返る。
そこには、
立派な門があり、
その前に
遠目からでもわかるほど
大きな化け物が
ゆっくりと姿を現した。
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
武器の扱い方なんて…。
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
その言葉に
どう希望を持てと?
ピグニー
ピグニー
ピグニーはステッキの先を
広場の中央に向ける。
そこには柱時計があるのだが、
短針しかないうえに
最上部の数字は”49”となっていた。
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニーは明るく言い放つ。
首を傾げると
扉の前に居た化け物が
大きな声を上げて
こちらに向かって走って来た。
ピグニー
それだけ言うと
ピグニーはいつも通り
その姿を消した。
しかし、
化け物は止まらない。
その真っ赤な目が
完全に自分を捉えていた。
逃げようとした自分の足を
物凄い勢いで掴まれ
そして
それは大口を開けた。
・
ぐしゃっ
・
・
起き上がると
そこは見知らぬ部屋の中だった。
ピグニー
ケタケタと楽しそうな笑い声が聞こえ、
振り返ると
隣のベッドにピグニーが座っていた。
ピグニー
ピグニー
そういうピグニーは楽しそうだった。
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニーは立ち上がり
くるりとステッキを回す。
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
それだけ言うと
彼はまた
音も無く消えた。
それはちょっと試したいかも
なんて思って
ベッドから出る。
頭から食われたような気がするが、
もうすでにどこも痛みは無く
いつもと変わらない。
家の一階に降りると
ダイニングテーブルの上に
黒い木箱が置かれていた。
そっと触れると
”パカンッ”
と軽い音がして
箱が壊れ
中から重々しい銃が現れた。
ずっしりと重かったが持てないほどではない。
弾倉(だんそう)には
十分弾が詰まっていた。
家を出て
中央広場へと向かうと
そこにあの化け物がいるのが見えた。
銃を構え、
銃口を向け、
引き金を引こうとした瞬間、
化け物がこちらに振り返る。
驚きながらも
なんとか
引き金を引くことが出来た。
反動で尻もちをついて倒れるが
銃弾は化け物の身体に当たったようで
呻き声を上げた。
そう思って体勢を整え、
銃口を向けるより早く、
化け物が伸ばした触手が
自分の腹を貫く方が早かった。
激痛が走り
痛みに顔を歪めながらも
なんとか化け物の至近距離で
銃弾を放つことが出来た、が。
突き刺さった触手が横に滑り、
胴体が両断された。
・
・
目を覚ますと
また別の家の中だった。
先ほど手に入れた銃は持っていなかった。
痛みも無い。
胴体もちゃんとくっついている。
それでも、
もう一回
立ち向かう。
という気にはなれなかった。
そのまま布団を頭まで被り、
目を閉じる。
そうだ。
こうして
終わりが来るのを待てばいい。
別に
痛い思いをして
戦わなくてもいい。
でも、
何故だろう。
どうにも、
癪に障る。
このままではいけない、
そんな気がする。
布団を蹴り飛ばし、
起き上がる。
部屋の隅に
黒い木箱があった。
中から現れたのは
アサルトライフル。
それを肩にかけて
家を飛び出した。
全自動小銃は
引き金を引けば
装填・発射が自動で行われる。
つまり、
引き金を引いている間、
弾倉の中身が空になるまで
銃弾が発射されるというわけだ。
ぶっ放される銃弾、
飛び散る化け物の肉片、
銃声に紛れる
己の笑い声、
化け物の断末魔。
勝ちを確信した自分は、
引き金を引いたまま
化け物に近づく。
地面を濡らす
化け物の体液。
ズタボロになった化け物。
もう、
虫の息だ。
そう言いかけた瞬間、
銃弾が途切れる。
弾倉が空っぽになっていた。
言いながら
少し早足で
近くにある黒い木箱に
向かおうとして
その足を
掴まれた。
ブチブチと
嫌な音を立て
足が千切られる。
焼けるような痛みが走る。
化け物の笑い声が聞こえる。
肩口に巻き付く触手。
ブチブチと
引き千切られる
左腕。
不意に
化け物が
喋る。
その声に
聞き覚えが
あった。
・
・
『生前の記憶』
〇〇
〇〇
××
〇〇
〇〇
〇〇
〇〇
〇〇
××
〇〇
〇〇
××
殴られる
蹴られる
そんなのは
日常だった。
制服を破かれることも
財布から金を取られることも
あったけれど、
親や担任に相談しても
男のいじめには
誰も真面目に取り合ってくれなかった。
〇〇
〇〇
笑いながらあいつは
毎日毎日飽きもせず
僕を殴り続けた。
だから、
僕は。
××
僕は
・
自殺した。
・
〇〇
〇〇
〇〇
〇〇
・
・
唯一生き残っている手を伸ばし
黒い木箱を開けた。
中に入っていたのは
使ったことなんてわからなかったけれど、
それでも
構えて引き金を引けばいい。
この距離だ。
外れることも無いだろ。
撃ち出されたロケットは
真っ直ぐ化け物の口の中に入り
辺りに衝撃と
血と肉を飛び散らせた。
そのまま仰向けに倒れる。
ピグニー
ピグニーが顔を覗き込んできたので
慌てて起き上がる。
身体から痛みが消え、
手足が
全てが元に戻っていた。
ピグニー
ピグニー
ピグニーはそう言って
ステッキの先で
肉片をさした。
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
門が開かれると
上へと繋がる階段が見えた。
溢れるのは
真っ白で暖かな光り。
ピグニー
ピグニー
ピグニーがそう言って深々と頭を下げると、
身体は急速に色素を失い。
視野は
真っ白に
ピグニーの姿が
溶けて
消え―――
・
・
ピグニー
閉じられた門を見て
ピグニーはひとり呟く。
ピグニー
そのピグニーの燕尾服の裾を
”ディビッド”が引っ張る。
そして、
指差した先には
先ほどロケットを喰らって
肉片となった化け物。
それがゆっくりと
形状を戻そうとしていた。
ピグニー
ピグニー
ピグニー
グズグズと肉片が集まる
その核を
ステッキで押し付けると
化け物は”ぐぇっ”と小さな声を上げた。
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
ピグニー
・
・
END