注意!! ・青黒大前提!(ココ重要) ・他のメンバーさん達には特にカプ要素を考えていませんが、書いてる人が赤桃・白水脳なのでそう見えるところもあるかもしれません💭 ・nmmn ・地雷さんはUターン⚠️
どうやら今日、俺の太陽は雲に隠れているらしい。
チャイムを鳴らしても静まり返っている家を見て、俺はそっとドアノブに手をかけた。
造作も無く簡単に開いたドアに、不用心だなぁと心配になる。これが不審者とかだったらどうするんだ。させないけど。
なんてことを考えながら、俺は家の中に入った。ドアを閉めて、しっかりと鍵をかけてやる。
青
もう入っとるやん、なんて普段の彼ならツッコんで来てくれただろうが、今日は物音一つ返って来ない。
今日は元々、あにきと出かける予定だった。そう、デートである。ええやろ。
けれど朝になってスマホを確認してみれば、俺が起きた一時間ほど前に、今日は行けなくなったとの連絡。
後に続いた「風邪とかじゃないから心配すんな」と言うメッセージを見て、俺は自宅を出て来た。
彼からすればそのメッセージは、風邪とかじゃないから心配すんな、来なくていい。という意味だったのだろうし、俺はきちんと汲み取った訳だけど、それに従うかどうかは別なのである。
静かなあにきの家の廊下を歩く。なんだか変な感覚だ。
リビング、キッチン、お風呂、トイレ。あっちこっち見て回っても、彼の姿は無かった。
予想通りあそこだろうな、と確信を持った俺は、階段を一段一段踏み締めた。
コンコン、と申し訳程度に鳴らしたノックにも、当然返事は返って来なかった。
だからと言ってそこで、あぁいないのかぁと帰る俺ではない。彼の靴はしっかりと玄関に存在していたし。
それでは失礼して。とドアを開けて、部屋の中に一歩足を踏み入れた。
青
来た時から思っていたけど、寒くないか?
リビングなどはまだしも、彼が今いるこの部屋にすら暖房はついていないようだった。一体今何月だと思ってるんだ。
青
俺の声に、ベッドの上の白い塊が一瞬動いた。あ、ちゃんと閉じこもったな。
返事をしてくれない彼を少し寂しく思いながら、俺はベッドに近付く。
とうとう目の前にまで近付いても、その白い塊が動くことは無かった。
青
態とらしく声を上げ、ぽすんとその塊の近くに腰を下ろした。沈むベッド。彼からの声は無い。
青
黒
沈黙は続いた。それでも辛抱強く待ってみれば、どのくらい待ったか分からない頃、もぞもぞとその塊が動いた。
黒
暖房を、と言うことだろう。
漸く聞こえてきたその声は掠れていて、彼をあまり深く知らない人からすれば、その声がまさか彼のものとは思わないだろう。
そのくらい弱々しくて、消えかかっていた。
青
また暫く間を置いた後、置いてあるやろ、と小さな声。
青
バタバタと足を動かせば、小さな溜息の後、もぞもぞと動いた布団から手が出てきた。
その手が向こうにある机を指差して、そこ。と小さな声が聞こえた瞬間。
黒
そんな彼の手首を捕まえ、俺はぐっとこちら側へ引っ張った。
不意打ちで引っ張り出されたあにきの体は、しっかりと布団から外へと出て来た。
青
赤くなった目。いつから泣いていたのか、涙の跡も残っていた。
そっと頬に手を当てれば、大きな瞳がぐらぐらと不安定に揺れた。
あにきはバッと顔を逸らして、少し低い声で唸るように呟く。
黒
青
黒
青
また訪れる沈黙。俺は何も言わなかった。ただ、掴んだ手首だけは離さないでいた。
黒
絞り出すように発された声に、俺が動かされることはない。
青
黒
青
黒
俺を突き飛ばそうとするかのように飛んで来たあにきの手は、酷く弱々しく俺の左肩を押した。正確に言えば、俺の体はびくともしなかった訳だけど。
青
黒
震えた息が、微かに空気を揺らす。
沈黙に乗せて再び彼の頬に触れれば、びくりと彼の肩が揺れた。
その瞳に揺れるのは、怯えと、不安と、恐怖。全部似てるけど、全部違う。
でもその全部が、俺本体に向けられているものでは無い。
青
あにきは、時々こうやってダメになる。
何を考えても、レバーがマイナスにしか傾かない。悪いことばかりが頭を占めて、暗い暗い深海まで落ちて行く。
何も出来なくなって、でも誰かに頼るという選択肢も勿論無くて、こうやって自分の中に抱え込んで沈んで行く。
その上で俺は、彼が優しいことを知っている。
朝の連絡で俺をここに近付けさせないようなことを言ったのも、普段怒らないような彼が怒鳴り声に近い声を上げたのも、結局は全部。
青
黒
そう。結局全部、彼はこっちのことばかり考えてる。
迷惑をかけるかもしれないとか、こんなじめじめした自分は鬱陶しく思われないかとか、心無いことを言って俺を傷付けるかもしれないとか、そんなことばっかり。
悠佑は優しすぎるが故に、自分を守る術を知らない。
青
黒
青
迷惑だなんて思うものか。こちとらずっと隣にいるって、ずっと前から覚悟を決めているんだ。
悠佑になら、呼んで欲しい。どれだけ寒い冬の空の下でも、真っ暗な夜の世界でも、みんながまだ寝静まっている明け方の街でも。
いつでも、どんなところにでも。たった二文字の俺の名前を呼んでくれれば、君の元に駆けつけるのに。
青
黒
他のものなんて、今は見なくていい。不安げに揺れる瞳に、ただ俺だけを映して。
青
何も考えなくていいから、俺のことだけ見て、その声で紡いで。
アルコールが体を満たすみたいに、俺のことでいっぱいになればいい。俺のことだけ考えればいい。他のことなんて、お酒を飲んだ時みたいに都合良く忘れてしまえ。
黒
震える唇が上下に離れ、そっと空気を吸い込んだ。
黒
たった二文字。君に紡がれた自身の名が、こんなにも心地良い。
青
存在を示すように、その手を握った。ずっと部屋にいた筈なのに、彼の手は外から来た俺よりも冷えていた。
黒
青
いつもの彼からは想像も出来ないような弱々しい腕。しっかり受け止めて、離さない。
青
黒
青
結局寒いままの部屋を温めようと暖房のリモコンを取りに行こうとした時、悠佑が俺の服をしっかりと掴んだ。
黒
青
あぁ、この人から頼られることが、求められることが、この上なく嬉しい。
青
すまんな暖房。この人を温めるのは俺の役目だ。
そんなよく分からないマウントを暖房相手に取って、俺は彼の体を抱き締めた。
ありがとう。なんて、ちょっとした物音にかき消されてしまいそうな感謝の言葉が、ふっと耳に溶けて行く。
特別なものなんて、魔法なんていらない。そんなものなくたって、俺が悠佑を笑顔にする。だから。
青
これは、何にも負けない君との誓い。
黒さん生誕祭まで後1日
コメント
2件
あの、念願の1コメ失礼します!!! 月見。様の青黒はやっぱり最高です。黒くんが弱ってるとこをかくのが上手すぎます。青くんが黒くんのことをめっちゃ思ってるのが伝わりました!