コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
その言葉に澪はもう怯えなかった。
視線を向けたその先には、
あの頃の自分を重ねてしまいそうになるほど、冷たい表情を
浮かべる同級生達。
でも、今日は違った。
澪の隣には堂々と立つ一人の少年がいた。
日向 翔陽
その声は驚くほど低くて真っ直ぐで、
かつて、チビのくせにと笑われてたとは思えないほどに、強かった。
日向 翔陽
日向 翔陽
教室が静まりかえる。
(嘘…)
めおの心臓が飛び跳ねる。
(言っちゃった、私の事…)
目を見開いた澪に日向は少し照れくさそうに笑って、そっと手を差し伸べた。
日向 翔陽
(もう独りじゃない)
その瞬間過去の苦しみが少しだけ遠くなった気がした。
かつて飛べなくなった烏と
声を失っていた少女。
2人は傷を抱えたまま、
でもしっかりと手を繋いで、前を向いていた。
もう、誰にも奪わせない。
もう二度と自分を見失わない。
空は広くて眩しくて
まだ少し怖いけど
それであの日見た夢の続きに
今、確かに触れている_
飛べなくなった君と、君がくれた風 〜 f i n 〜