今日は七夕。
織姫と彦星が空高く、天の川で巡りある日。
そして、織姫と彦星は一生の愛を誓いました_ 。
深澤
なんてロマンチックな話なんだろう。
深澤
嗚呼、そうだ。俺にも織姫がいたんだ。
大好きだったのに
あれから俺は記憶を失った。
いや、違う。あの日の記憶だけが俺の頭から消えたんだ。
一緒にボウリングをして、
デパートに行って、
カラオケに行って、
一緒にダンスの練習をして、
俺の我儘で、ゲームセンターに行ってくれたのは誰だっけ…
彼女と過ごした日々を思い出すことが今になっても出来ない。
そもそも、なんで俺の前から姿を消したんだっけ…、
深澤
ぼーっと空を見上げていると、一筋の流れ星が流れた。
深澤
流れ星を見て、涙を流す人は俺しかいないのかもしれない。
織姫が流れているように。
大きな空にひとつの明かりが照らされている。
そういえば去年も流れ星を見て涙を流していた気がする。
なんでだっけ…、
俺はあの時まだ、一緒に楽しんでいた気がする。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
誰かの声が俺の頭に響く
誰の声だっけ…?
聞いたことがあるなぁ…
俺の事を大切にしてくれていたような…、
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
思い出せないよ…
俺は記憶が曖昧なんだ。
あの日の記憶は、
この世界に居なかったみたいに、何も覚えていない。
深澤
深澤
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
後ろから俺の名前を呼ぶ声がする。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
知ってる、知ってる
頭の中では名前も顔も一致しているの。でも、
確かな確信がないんだ。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
深澤
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
俺は何故か彼女の名前を声に出していた。
紡
深澤
紡
俺の頭は追いついていかない
俺の大切な人は、紡だったんだ。
嗚呼、やっと正常な記憶が舞い降りてきた。
なんで、俺は忘れていたんだろう。
紡
紡
紡
そうだ、あの日
俺は紡とここに来ていた。
流れ星が一筋流れた時、紡は俺に別れを告げた。
他に好きな人が出来て、俺の事は嫌いだって
だからだ。俺が流れ星を見て涙を流していたのは。
俺…
深澤
頭の中で思っただけなのに、いつの間にか口から声が出ていた。
少し、昔の俺に戻った気がする。
紡
紡
紡
紡
紡
紡
深澤
深澤
深澤
深澤
深澤
俺こそ意味のわからない理由を言ってる。
紡
紡
深澤
空を見上げると二本の流れ星が流れていた。
深澤
織姫と彦星はそんなに遠い所には居なかった。
俺の心に永遠と宿っているのかもしれない。
END
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コメント
7件
最高〜!
好きだわぁ!