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時透side
蝶屋敷の一室、無一郎は机の上に置かれた 小さな紙束をじっと見つめていた
それは、芙梛が日々手伝っていた薬の記録帳と、 屋敷の滞在者として記されていた名簿だった
時 透
それが最初の違和感だった
胡蝶しのぶの元で働いている筈なのに、 公式な記録が存在しない
誰も深く気にしていないように振る舞っているが
それは、もしかしたら "知らない" のではなく
"知っているけど気づかない振りをしている" のではないか
そんな疑念が、無一郎の中で膨らみ続けていた
時 透
そう考えながら、無一郎は蝶屋敷を出た
目指すは──
時 透
隠たちが過去の任務や人事記録などを管理する場所
通常、隊士の立ち入りは制限されているが、 柱としての権限があれば閲覧は可能だ
静かな書庫の奥で、 無一郎は過去の任務記録を一冊ずつ捲っていく
上弦の零という名前が関わった任務記録にも目を通した
だが──
時 透
その名はまるで、初めから存在していなかった かのように、記録から完全に抜け落ちていた
けれど、無一郎は気づく
ある任務記録の中、隊士が消えたとされる現場に 残された "黒い蓮の花" の記述
また別の場所では、敵の死体が花弁のように "焼かれていた" という証言
どれも決定的な証拠ではない
だがその全てに、彼が知る上弦の零の "血鬼術" に 酷似した痕跡が残っていた
時 透
だが、その思考の先を、無一郎が最後まで辿ることが 出来なかった
何故なら
時 透
心が拒んでいた
あの優しく笑う彼女が、そんな存在であるなんて 思いたくなかった
だが真実は、霞の向こうから、 確かに無一郎へと手を伸ばし始めていた
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その夜
無一郎は部屋の窓辺に腰を掛け、静かに空を見上げた
何処かで、芙梛もまた、同じ空を見ている ような気がした
時 透
その声は誰にも届かないけれど
その想いは、もう止められなかった
□ ■ □
8000❤️ありがとうございます🥹🙇♀️
遂に8000来ました‼️ このまま順調に、10000いけたら良いなと思ってます💭
今回の話であった「滞在者の名簿」や「隠の記録管理所」 なんですけど、実際はありません
話をスムーズに進められるように私が作りました ご了承ください🙏