コツコツコツコツ
嶺
鶴蝶
梵天に連れ去られて一日
これから自分は “ しゅりょー室 ”
とやらに 連れて行かれるらしい
嶺
カチャッ
鶴蝶にバレないよう 拳銃を取り出す
念の為 マイ拳銃を持って──
鶴蝶
嶺
秒で没収された
鶴蝶
鶴蝶
嶺
鶴蝶
嶺
鶴蝶
嶺
鶴蝶
鶴蝶は拗ねる自分を 軽くいなす
コイツ 慣れてやがる
嶺
鶴蝶
嶺
ふと 脳裏に相棒の拳銃が思い浮かぶ
嶺
鶴蝶
何だそれと 首を傾げる鶴蝶
鶴蝶
いきなり 何か察したように口を開いた
鶴蝶
そう言って鶴蝶は 懐から拳銃を出した
嶺
嶺
取り上げられた玩具に跳ぶ 子供みたいに
いつの間にか 自分はピョンピョン跳ねていた
もっとも 身長差がありすぎて 全然届かないのだが
鶴蝶
嶺
鶴蝶
ぎゃーぎゃーと
いつか見た 兄妹のような喧嘩
あーぁ
まだ自分は “ アイツ ”に囚われてんだな
嶺
鶴蝶
鶴蝶
嶺
そうやって 鶴蝶をはぐらかす
本人は どこか物言いたげだが
嶺
ふと 前方に人影
嶺
嶺
そう問いかけると 鶴蝶は重く口を開く
鶴蝶
鶴蝶
嶺
No.3の鶴蝶の上司
つまり “ TOP2のどちらか ”
鶴蝶
不意に 鶴蝶が声を上げた
前にいた人影が 振り返る
鶴蝶
“ 三途 ”
春千夜
春千夜
春千夜
“ 三途 ”と呼ばれた彼が
自分を見るなり 大きく目を見開いた
鶴蝶
鶴蝶
春千夜
鶴蝶が言い終わるより先に
ソイツの口から 自分の名前が飛び出た
嶺
ばち、と
消え去ったはずの あの頃の記憶が
脳裏に 呼び戻された
「久しぶりだな、嶺」
レイ
レイ
「お前ももう小学二年生か......」
レイ
レイ
レイ
「ん、俺?」
「俺は中三だよ」
「一応、暴走族の伍番隊副長やってる」
レイ
レイ
「ぅーん、」
「お前が大きくなったら、教えてやる」
レイ
「おう、約束だ」
レイ
レイ
ゆーびきりげんまん!
嘘ついたら針千本のーます!
レイ
あの頃の 無垢な叫びが
頭に反響した
嶺
全部、思い出した
その顔も
その仕草も
その傷も
全部 “ 彼 ”なんだ
自分が小学校低学年の時に よく遊んでくれた 近所のお兄ちゃん
彼の名前は──
嶺
“ 三途春千夜 ”
躊躇いながら 自分は問いかけた
できれば 違うと言って欲しかった
彼と 反対の立場が嫌だったから
それでも 世界はそれを許さない
春千夜
彼の口から出た言葉は
間違いなく
Yesだった
嶺
「 久しぶりだね 」
「 元気だった? 」
そう聞くのが “ セイカイ ”なんだろう
でも それでも
そんな 上辺だけの綺麗事
絶対に 言いたくなかった
嶺
だから 自分の口から出てきた言葉は
嶺
謝罪、だった
春千夜
多分 春くんは何に謝られてるか 分かってない
それでも、彼は
春千夜
そう言って 頭を撫でてくれた
あの時と同じ ちょっと不器用な優しい手で
コツコツコツコツ
嶺
鶴蝶
春くんに会ってから 鶴蝶は喋らなくなった
それも 時々ちらっとこっちを見る
嶺
鶴蝶
多分 鶴蝶としても 色々聞きたいんだろう
自分と春くんの関係
それから “ ごめんね ”の意味
それでも鶴蝶は 根掘り葉掘り聞いてこない
オトナの優しさ って、感じだ
嶺
鶴蝶
自分は そんな鶴蝶が気になって
嶺
そんな心にもない事を 漏らしてしまう
鶴蝶
それだけでも 鶴蝶は笑みを綻ばせた
鶴蝶
暖かい視線
“ あそこ ”で向けられた あの視線とは違う
嶺
それが何だかむず痒くて 目を逸らす
今なら 生易しい綺麗事も
好きになれそうな気がした
side“ ”
コンコン
ドアをノックする音
資料に目を通していた俺は 顔を上げた
『失礼します』
生真面目そうな声
一瞬で分かった
“ 鶴蝶 ”が“ アイツ ”を 連れてきた
ガチャッ
鶴蝶
そう言うと 鶴蝶の後ろからひょこっと
小動物みたいな女が 顔を出す
藍色の髪と 蒼い目
ソイツは元々大きな目を 更に大きくさせていた
今も昔も変わらない 彼女がそこにいた
嶺
ふいに 彼女は言った
嶺
肯定を交えた疑問で 彼女は俺に問う
あたかも “ 本当に貴方ですか? ” と、問いかけるように
そう言って 彼女に向き直る
“ 青薔薇 ”の異名で 知られた彼女が
蒼い瞳を まっすぐに
こっちに向けていた
躊躇いながらも 何とか言葉を発する
そう言うと彼女は──
嶺は安堵と悲哀の混じった顔で
嶺
嶺
“ マイキー ”
と。
そう言い放った
あの頃は 兄と妹の様な関係
今は 反社と警察の関係
異様なまでに こじれた糸が
太陽が沈みかけたこの時
絆された
NEXT500
コメント
31件
この人、将来とてつもなく有名な小説作家になりそうw
レイちゃんとマイキー達交流あった系? まだ未確定部分多めでよくわかんないけど(単純に私の理解能力が及んでないだけかもしれない)とにかく主様が天才ってことはわかります てか本当に最高、まじ好き、作ってくれてほんとにありがとうございます!(*´꒳`*)