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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

陽菜

ねえ

陽菜

「かさね写真の幽霊」って知ってる?

ん?なにそれ?

陽菜

昔テーマパークでやってたお化け屋敷なんだけどさ

陽菜

これが結構怖かったの

陽菜

1回入ったけど、もう2度と行きたくないって思ったよ(笑)

へぇー

そんなのあったんだ

つか陽菜ビビりなのになんで入った(笑)

陽菜

いやー、好奇心に負けた(笑)

なんだそれ(笑)

で?

どうして突然その話になった?

陽菜

あぁ、うん

陽菜

実はさ、かなりうろ覚えなんだけど

陽菜

今度やる劇の題材にどうかなって思って

おー

どんなストーリーなん?

陽菜

えーっと、、、

陽菜

それは昭和初期の頃

犯罪者の顔を何枚も重ねることで、一般的な犯罪者顔を作り

「犯罪を起こす傾向のある顔つきの者の写真」として世間に出回っていた

あるところに裕福な家の娘と

娘の家や田畑を我が物にと画策している男がいた

娘は自分の容姿に自信が無く

とても気弱な性格だった

2人は結婚し夫婦となったが

男はすぐに不倫し、不倫相手の所から帰らなくなった

お累

もし、、、もし、、、

お累

こちらに新五郎さんはいらっしゃいますか?

不倫相手

なんだいあんた

不倫相手

ここにそんな男は居ないよ

不倫相手

とっとと帰りな!

お累

いいえ、、、!いいえ、、、!

お累

絶対あの人はここに居るんです!

お累

お願いだからあの人を返してください、、、!

不倫相手

ちょっと!

不倫相手

なにするの!やめなさい、、、!

段々と口論になり

掴み掴まれの押し問答となる

お累は掴まれた腕を振り払うと

不倫相手は藁山へと倒れ込んだ

不運にもそこには藁を切る刃物があり、、、

不倫相手

ぎゃぁ!!!

不倫相手は命を落としてしまった

お累

(なんということを、、、!)

やがて警察の取調べが始まります

警察

お前が殺したのだろう!

お累

事故だったのです!

お累

あんな所に刃物があるとは思いもしませんでした!

警察

下手な言い逃れは辞めるんだな!

警察

(おや、、、?この顔どこかで、、、?)

警察はお累の顔がかさね写真の顔そっくりだと気付きました

警察

(絶対にこいつが殺意を持って殺したんだ)

それから取調べは更に酷くなり

疲れ果てたお累は偽りの自白をしてしまいました

お累

私が、、、殺しました、、、

この事は大々的に広められ

かさね写真の顔似の女が夫の不倫相手を殺害したと世間に広まりました

お累は殺人者と仕立てあげられ

獄中で精神を病み自殺してしまいました

その頃新五郎は

再婚し幸せに暮らしていた、、、

訳ではなく

再婚した相手が尽く亡くなってしまいます

それでもと7人目の嫁との間に娘を授かりました

新五郎

ようやく我が子を得ることが出来た!

新五郎

よくやったぞ!

新五郎

この子の名前は菊だ!

そうして新五郎はお菊をたいそう可愛がり

大切に育てていきました

その日を迎えるまでは、、、

あれから十数年経ち

お菊は15歳になった

しかし15歳の誕生日に

父から貰った鏡台に映る顔を見た時から

お菊はどんどん変わっていった、、、

言葉遣いや

父や母に対する態度

そして顔までもが

元の顔からかけ離れていった、、、

ある日の夜

明かりも付けずに部屋にこもるお菊の部屋へ

新五郎は訪ねて行った

新五郎

おい、、、

新五郎

お菊よ、一体どうしてしまったんだい?

お菊

お菊、、、?

お菊

一体誰と間違えているのですか?

新五郎

何を言っている

新五郎

お前の名前はお菊だろう!

お菊

いいえ、いいえ

お菊

私はお菊ではありません、、、

お菊

私の顔をお忘れですか?

新五郎

娘の顔を忘れるわけがないだろう!

お菊

本当に、、、

お菊

覚えていらっしゃらないのですね、、、

新五郎

だから

新五郎

一体何がと、、、!

その時

暗い部屋で俯いていたお菊が顔を上げた瞬間

ぼっ!

部屋のロウソクが勝手に灯った

新五郎

な、、、!?

そこにはお菊の顔は欠片も無く

疲れ果て憔悴した女の顔があった

お菊

この顔をお忘れになったなんて、、、

お菊

口惜しや、、、!

お菊

恨めしや、、、!

新五郎

お、、、お菊、、、?

お菊

私は!

お菊

菊ではありません!

お菊

貴方様に裏切られ!

お菊

冤罪により命を絶った!

お菊

お累でございます!!!

新五郎

お、、、お累、、、だと、、、?

新五郎

なぜお前が、、、!?

お菊(お累)

何故かなどと聞かれるのですね

お菊(お累)

私は貴方様が家や田畑を乗っ取ろうとしている事を知っていました!

お菊(お累)

しかしそれでも一緒にいてくださるならばと

お菊(お累)

貴方様を信じ結婚致しました!

お菊(お累)

なのに、、、!

お菊(お累)

なのに!貴方様からの仕打ちはあんまりでした!

お菊(お累)

挙句逮捕された私を庇うことも無く

お菊(お累)

刑務所に一人捨て置いたではありませんか!

お菊(お累)

あろう事かこの家に新しい女を呼び寄せ

お菊(お累)

一人のうのうと幸せに生きているのが憎らしくて!

ハァハァと肩で息をしながら

薄ぼんやりした顔をスゥっと持ち上げると

お菊(お累)

貴方様の幸せを

お菊(お累)

壊しに参りました

そう言うとお菊の体は近くにあった鎌を掴み

新五郎に向けて振り上げた、、、!

新五郎

(殺される、、、!)

慌てた新五郎はギュッと目を瞑り

直ぐに来るであろう痛みに体を強ばらせた

新五郎

新五郎

(、、、おや?)

しかしいつまで経っても痛みや衝撃は襲ってこなかった

新五郎が恐る恐る目を開くと

目の前には鎌が腹へ深々と突き刺さっているお菊の姿だった

新五郎

な、、、

新五郎

何を、、、!

新五郎

やめろ!!!やめてくれぇ!!!

慌ててお菊の側へ寄る新五郎

お菊(お累)

わたしの、、、

お菊(お累)

無実を、、、

お菊(お累)

証明して下さらなければ、、、

お菊(お累)

未来永劫、、、

お菊(お累)

あなたの、、、

お菊(お累)

傍から、、、

お菊(お累)

離れませんから、、、

そう言うと

お菊は息絶えてしまいました、、、

新五郎

お菊、、、!

新五郎

お菊ーーーー!!!

新五郎はお菊の体を抱きしめ

一晩中泣き続けました、、、

新五郎

うぅ、、、

新五郎

グズッ、、、

その日から

毎夜のようにお累の声が響いてきました

お累

(私じゃありません、、、)

お累

(私はやっておりません、、、)

お累

(恨めしや、、、)

お累

(口惜しや、、、)

新五郎

あぁ、、、!

新五郎

もうやめてくれぇ、、、!

新五郎

お前は死んだんだ!

新五郎

とっとと黄泉の国へ行ってしまえ!!!

段々と新五郎も壊れ始め

ある日包丁を振り回し始めました

そして、、、

再婚相手

あ、、、あんた、、、

再婚相手

一体何を、、、!

再婚相手

ちょ、、、

再婚相手

やめ、、、!

再婚相手

ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!!!!

新五郎

ハァ、、、ハァ、、、ハァ、、、

新五郎

ハ、、、

新五郎

ハハハハハ、、、!

新五郎

殺してやった、、、!

新五郎

お累を殺してやったぞー!!!

錯乱した新五郎は

再婚相手をお累だと思い込み

遂に殺してしまったのです

新五郎

これで、、、

新五郎

これでようやく解放され、、、!?

お累

(恨めしや、、、)

お累

(私はやっておりません、、、)

新五郎

まだ、、、!

新五郎

まだ死んでなかったのか、、、!

新五郎

どこに、、、!

お累

(貴方様も、、、)

お累

(人殺しですね、、、)

お累

(私と同じ、、、)

お累

(殺人者となられたのですね、、、)

お累

(あぁ、、、嬉しい、、、)

新五郎

な、、、!?

新五郎

俺が殺したのは!

新五郎

お累!お前だ、、、!?

新五郎の目に映ったのは

ニタニタと笑うお累の顔と

血を流し息絶えた妻の姿だった

新五郎

ひっ、、、!?

ガクガクと震える体

持っていた包丁を落とすと

新五郎は布団の中へと飛び込んだ

新五郎

俺は、、、!

新五郎

俺は悪くない、、、!

頭から布団をかぶり

ガクガクと震える耳元に

楽しそうな声が囁く

お累

(貴方は悪い人、、、)

お累

(私を庇うこともせず)

お累

(娘を見殺しにし、、、)

お累

(後妻まで手にかけてしまった、、、)

お累

(私と貴方は、、、)

お累

(どちらが罪深いのでしょう、、、?)

新五郎

わ、、、!

新五郎

悪かった、、、!

新五郎

俺がいけなかったんだ、、、!

ガクガクと震える手で枕元にあった紙と筆を取り

「お累は無実である」

と、書き綴った

しかし全ての緊張の糸が切れてしまったのか

新五郎はそのまま絶命してしまいました

お累の望みは

自分が無実であることを世間に公表すること

しかし家の者が全て息絶えた今

新五郎の手紙を取りに行く誰かが必要である、、、

陽菜

とまぁ

陽菜

こんな感じだったかなぁ

こわっ(笑)

いいんじゃない?

陽菜

やったー!

それでやってみようか

でもさ、、、

陽菜

うん?

そのお累って人の恨み

まだ晴れてないのかな?

陽菜

うーん、、、

陽菜

多分そうなんじゃない?

陽菜

まぁでも作り話でしょ(笑)

そうだよなー(笑)

劇ではアレンジを加え

街の人が屋敷へと入り

新五郎の書き置きを持って帰り

お累の為の祠を作り

そこに手紙を置き供養した

という話になった

そして劇は無事大成功に終わったが

後から

出演者が多かった

変な音が聞こえていた

劇場内が物凄く寒かった

死臭のようなものがずっと漂っていたなど

様々な声が寄せられたのだった

さーて

そろそろ帰るかー!

帰り支度をし下駄箱を見ると

何だこれ、、、?

全員の靴の上に

見知らぬ古ぼけた紙があった

うわっ!?

陽菜

ん?

陽菜

どうしたのー?

いやお前これ

イタズラが過ぎるだろう(笑)

陽菜

えー?

陽菜

イタズラなんてしてないよー?

じゃぁ誰がこんなことするんだよ(笑)

周りの仲間に聞いても誰も心当たりはなく

中身を確認すると全員の血の気が引いた

陽菜

なに、、、これ、、、

ちょ、、、マジかよ、、、

陽菜

ヤバイヤバイヤバイ!

それは、、、

これを読んだあなたの元にも

今夜お礼に参ります

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