太田豊太郎
俺が紹介状をもってたずねたプロイセン(ドイツ)の役人はみな歓迎してくれて、
太田豊太郎
大使館の手続きが済めば伝えようと約束してくれた。
太田豊太郎
嬉しいことに、俺は故郷でドイツ語・フランス語を学んでいた。
太田豊太郎
ドイツの人びとは、俺に初めて会ったとき、どこでドイツ語を学んだのだとみんな聞いてきた。
太田豊太郎
さて公的な用事に余裕が出来ると、あらかじめ許可を貰っていたので、
太田豊太郎
当地の大学で政治学を納めようと思い、聴講生として登録しておいた。
太田豊太郎
一月二月と過ごすと、仕事の打ち合わせも済んで、調査も順調に進んで、
太田豊太郎
急がなければいけないことは報告書をまとめて送り、そう急ぐものでもないことはメモをかきためて、それが何冊にもなった。
太田豊太郎
大学の方は、物を知らない俺が思っていたような政治家になる学科というようなものはなく、
太田豊太郎
どの講義を取ろうかと迷った挙句、法律に関する二、三の講義をとることに決めて、
太田豊太郎
手続きを済ませ、講義を聴きに行った。
太田豊太郎
……そうやって3年ばかりは夢のように過ぎ去った。
ドイツの生活にも慣れていった豊太郎。彼に次第に変化があらわれる。続く。