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太田豊太郎

時間が経てば、人の趣味嗜好は隠しきれないものだ

太田豊太郎

俺は父の遺言を守り、母の教えに従い、

太田豊太郎

人に神童などとほめられるのがうれしくて必死で勉強していたとき、

太田豊太郎

また長官がいい部下が入ってくれたとおだてられたのが嬉しくて一生懸命働いたときまで、

太田豊太郎

ただ受動的に、機械のような人間として生きてきたから気が付かなかったが、

太田豊太郎

25歳になって、ドイツの大学の自由な空気に触れたせいだろうか、

太田豊太郎

心の中がなんとなく落ち着かず、心の奥不覚に潜んでいた本当の自分は、だんだん表に現われてきて、

太田豊太郎

過去の自分らしくない自分を攻めているようだった。

太田豊太郎

俺は今の世の中で活躍する政治家には向いておらず、法律家になるのもふさわしくないということを悟った、

太田豊太郎

……と思っていたよ。

太田豊太郎

俺は秘かに思ったよ、

太田豊太郎

母は俺を生きた辞書にしようとし、

太田豊太郎

長官は俺を生きた法律にしようとしたんだと。

太田豊太郎

生きた辞書になるのはまだ耐えられる、けれど生きた法律のはまっぴらごめんだ。

太田豊太郎

今まではささいな質問にも極めて丁寧に答えていた俺が、

太田豊太郎

近頃は長官からの問い合わせの手紙に対し、

太田豊太郎

長官、法制度に細かな点にこだわるべきではありません!

太田豊太郎

ひとたび法の精神を理解できれば、

太田豊太郎

ささいな問題などあっという間に解決できるでしょう!

太田豊太郎

などと言い放っていた。

太田豊太郎

また大学では法律学の講義はほっといて、

太田豊太郎

歴史や文学に心を寄せて、

太田豊太郎

ようやくその面白さが分ってくるまでになっていた。

ドイツでの生活は、豊太郎を少しずつ変えていた。(続く)

日本の名作シリーズ 舞姫(完結)

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