純夏
こんばんは那月くん
那月
え…何…いったいどういうことなんだ…?
純夏
困惑しているってところね
那月
あ、あ…助けて…くれたのか…?
純夏
別に助けたんじゃないわ
純夏
とにかく詳しく話してあげるから
純夏
貴方の家近いわよね?案内してちょうだい
那月
え?あ、あぁわかった
純夏
あら、一人暮らしなの
那月
まぁな…
那月
大したおもてなしはできんがアイスでも食べるか?
純夏
さっき転んだ時に落としてたじゃない
純夏
いらないわ
那月
あ…さいですか…
純夏
それじゃあ
純夏
一個一個整理していきましょう
那月
お、おう
スイッチが切り替わるかのように真剣な雰囲気におされた
純夏
まずさっき貴方に襲いかかったのが妖魔よ
那月
妖魔…
那月
流石にあれを見たら信じるしかないが…
那月
それってなんなんだ?妖怪みたいなやつか?
純夏
まぁだいたいそんなところね
純夏
人間や動物の怨念が生み出したとも言われてるわ
那月
動物も?
純夏
えぇ
純夏
だけど全部が悪い妖魔とは限らない
純夏
人間に害のない妖魔もいる
純夏
だけどさっきのは例外ね
那月
さっきのはなんなんだ?
純夏
妖魔 鬼熊
那月
鬼の…熊?
純夏
そう熊の姿に一本の角が生えている
純夏
貴方もさっき見たでしょ?
那月
ぼんやりだが…そんなのもあったような…
純夏
まぁいいわ、鬼熊は食べる以外の行動は基本取らないのよ
那月
とてつもない食いしん坊だな…
那月
だけど…そんなやつがなんで俺に襲いかかってくるんだ?
那月
このアイス…なんて言わないよな?
純夏
えぇアイスじゃないわ
純夏
鬼熊が食すもの…それは…
純夏
善良な妖魔よ
那月
善良な妖魔?
純夏
そう貴方が見える幽霊みたいなものね
那月
え?あれは幽霊だろ?妖魔なのか?
純夏
幽霊も妖魔も英語で同じghost 同じようなものだわ
那月
なんだそれ
那月
つまり、鬼熊ってやつがひたすら霊を食べてたから
那月
俺の周りにいた善良な妖魔が急に消えたのか
純夏
そういうことね
那月
(つまりさっき襲ってきた化け物と俺がいつも見える霊みたいな奴は同じ種なのか…)
那月
でも俺に襲いきってきた理由はなんなんだよ
純夏
そう慌てないで説明してあげるから
純夏
妖魔が見える人間…
純夏
簡単に言うと妖魔の世界と人間の世界どちらでも住める人間ってことね
那月
那月
意味が分からん
純夏
妖魔と人間の境目にいるってこと貴方は
那月
な、なるほどなんとなくわかった
那月
だとすると俺はその霊だと思われて襲われたってことだな?
純夏
つまりはそういうことね
純夏
鬼熊は食欲旺盛だから食べ物を見つ
けると自我を失い襲い掛かってくる
那月
つまりは妖魔の食べ物は霊ってこと
か?
純夏
全部がそうではないけれどね
純夏
何も食べない妖魔もいれば霊以外のものを食べる妖魔もいるわ
那月
なるほどな、まぁだいたいは分かった
那月
お前も俺と同じってことだろ?
純夏
そうね
那月
じゃあ妖魔退治ってことはあの妖魔を倒すのか?
純夏
倒すんじゃないわ
純夏
あの世に送るのよ
那月
あの世って…
那月
その持ってる銃でか?
純夏
そう
純夏
これは対妖魔用拳銃
那月
那月
え、終わり?
純夏
終わりとは?
那月
対妖魔用拳銃 ゴーストピストルみたいな異名とかないのかって
純夏
そんなのないわ、分かればいいもの
那月
(なんてことだ、ロマンがねぇな)
純夏
これは妖魔を弱体化させられることができるの
那月
倒せないのか?
純夏
えぇ
那月
なにがあの世に送るだ
純夏
これを撃つだけでは倒せない
那月
他になにかするのか?
純夏
そうよ
那月
なんだよ
純夏
妖魔と会話する
純夏
そしてもう人間には関わらないと言わせることよ
純夏
そうすれば
那月
ちょっとまて
那月
さっきの鬼熊?は変な奇声だけでとても話せるとは思えなかったが
純夏
当たり前じゃない
純夏
妖魔の声はこの銃を持ってないと聞こえないもの
那月
あぁそういうことね
那月
でお前と同じ境遇の俺に妖魔退治の協力を頼んだってことか
純夏
大分落ち着いてきたわね
那月
まぁ少しはな
純夏
冷静なのは美徳だと思うわ
那月
はいはいどうも…
那月
で、俺にもその銃って貰えるのか?
純夏
協力したらね
那月
焦れったいな
純夏
言質を取っておかないと後々面倒になるのよ
那月
わかったよ協力する
純夏
よろしくね那月くん
那月
あぁ
那月
(本当は今すぐ辞めたいが自分の身におきてしまっては仕方がない)
那月
(俺の身に起こってしまったんだ)
那月
(危機を回避するには平和は捨てなきゃな…)
那月
背に腹は変えられんな…
純夏
こちらにも準備というものがあるから明日でもいいかしら
那月
まぁ…別にいいけど
純夏
じゃあ話も済んだし私は帰ろうかしら
那月
わかったよ
那月
家まで送ろうか?
純夏
大丈夫よ、貴方に家は知られなくないもの
那月
そうかい
那月
(協力のお願いをした後の態度じゃねぇぞこいつ)
純夏
また明日ね那月くん
那月
あぁ、また明日な
那月
本当に今日は散々だ…
学校へ着き教室へ入るとやはり皆
俺に嫌な視線を向けてきた
それが心の支えになっているからなのか、理由はよくわからない
しかし、この短期間で純夏が俺の中でこんなにも大きな存在となっている事に些かの不安はあった
だけど、昨日と今日で純夏を見る目が違っていることに気づいた
それからは純夏…どころか誰とも話すこともなく放課後になった
那月
(俺の武器を渡っての、今日じゃないのか?)
那月
!?
那月
(誰だ?メールをする相手なんていないはずだが…)
純夏
e)こんにちは那月くん昨日の話の続きがしたいので今日の夜8時貴方の家集合でいいかしら
那月
(俺の家集合って)
那月
(しっかり拠点に使われてるな…)
那月
e)わかった
メールを返し、そのまま家に帰ると
昨日の疲れのせいかベッドに入るなり寝てしまった
那月
んん
那月
今何時だ…
眠い目をこすり、携帯を見てみると
21時を回っていた
那月
やべぇ寝すぎた!!
純夏
おはよう那月くん
那月
あぁおはよう
那月
ってえ?
純夏
おはよう
那月
お、おはよう
那月
いやいや!おはようじゃねぇよなんで勝手に家入ってんだ
純夏
まぁ少しね
那月
少しって…
那月
まぁいいや
純夏
あら不法侵入してるのに許しちゃうの
那月
俺とお前は協力体制とってるんだろ?だったらいいよ
那月
お茶でいいか?
純夏
紅茶がいいわ
那月
はいはいお茶ね
純夏はお茶を飲むと
ふぅっとためため息をつき話し始めた
純夏
まずこれが貴方の銃よ
純夏
那月
なんだこれ…ハンドガン?
那月
お前のやつの方が大きいぞ
純夏
これはハンドガンっていうよりハンドキャノンに近いわね
那月
ハンドキャノン?
純夏
えぇ一発の威力は高いけれど扱いがとても難しい銃
那月
そんなの無理だろ
那月
銃なんて扱った事ないのに
那月
もっと初心者に優しいのはないのか?
純夏
ないわよ
純夏
第一そんなの扱えないようでは仲間として不十分だわ
那月
そんなせっしょうな…
純夏
とりあえずそれを使って妖魔 鬼熊を倒すわ
純夏
残念ながら私の銃ではあいつを止めることはできなかったわ
那月
あ!そういえば撃ち込んだだけですぐ逃げられてたな
純夏
そう…だけど貴方の銃であれば動きを止めることはできるわ
那月
それなら俺じゃなくてお前がこの銃使えばいいだろ?
純夏
それができたら苦労しないわよ
純夏
銃にはそれぞれ適合者がいるのよ
純夏
適合しなければ扱うことはできないわ
純夏
残念ながら私は持つこともできなかったけどね
那月
でも俺が適合してるかどうか分からんだろ
純夏
大丈夫よ、貴方が寝ている間に持たせてみたもの
那月
げ…
純夏
げってなによ
純夏
感謝して欲しいくらいだわ
那月
いや…せめて起きてる時にしてくれ…
那月
(寝てるとこみられたのは嫌だな…)
那月
じゃあ俺は適合したってことか?
純夏
つまりはそういうこと
那月
そうか…なんか英雄みたいでかっこいいな
純夏
そんな呑気な話ではないの
ふざけないでちょうだい
那月
(怒った…)
那月
ご、ごめん
純夏
まぁいいわ
純夏
早速だけど鬼熊を討伐に行くわ
那月
今から?
純夏
えぇ
那月
ダメだろ夜遅いぞ補導されないか?
純夏
私の言ったこと覚えてないのかしら
那月
私の言った事?
純夏
そうよ
純夏
この銃を持っている間は他人から私達は見えなくなるわ
那月
いや聞いてないけど…
純夏
あらそうだったかしら
那月
(大丈夫かよこんなんで…)
那月
ま、まぁこの銃を持っている限りは
銃は普通に使えるんだな
純夏
そうよ、だから大丈夫
那月
でも今も暗いし明日にしないか?
純夏
純夏
何を呑気な事を言っているの?
純夏
それなら善良な妖魔は誰が守るのかしら
那月
いや…それは…
純夏
今も襲い続けてるのよ
純夏
もしかしたら貴方みたいな人がいるかもしれない
那月
……
純夏
それを助けるのが私の仕事
純夏
貴方はその仲間
純夏
他に理由がいる?
那月
わかったよ
那月
いくって
純夏
では行きましょ?那月くん
那月
(相変わらず凄い切替の速さだな)