造花は彼岸花【短編集】

ただ単に思うんだ。

死体は美しい、と。

"どうしてネクロフィリアなの？ どこがいいの？"

と、聞かれた。

それは俺にも分からない。

ただ、直球に思った

キレイだ、と。

あの時、初めて思った

誤って兄を殺してしまった。

俺はついカッとなって 包丁を持って思い切り刺してしまった

普通、皆は焦るであろう。

しかし、そのとき俺は違った

愛おしく、綺麗だと思った

下半身の方もそそり立つくらい 反応していた

しかし、兄は兄だ。 どうしたものか…と考える

すると兄が起き上がる

兄は不死身だ。 死ななくて当然だと言える

死体じゃ無くなった以上 もう興味はない。

どうせなら腹上死してみたい。

冷たくなった兄の体をなぞる

体は反応しない。

元々糸目であまり開かなかった目は 二度と開かない。

肌は青白く、体が硬直している

何も言わなくなった彼の口に 軽く口付けをする

俺の謝罪の言葉は届かない

地獄まで。

俺は首に縄を通した