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朝の光が 、薄いカーテンに差し込んでいた。
俺は目を開けて 、ぼんやりと天井を見つめる。
静かな部屋の中 、鳥のさえずりだけが聞こえた。
ゆあんくんの姿は無く 、湯気の消えかけたカップだけが置かれている。
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昨夜見たあの表情が頭から離れない。
どこか悲しそうで 、孤独を感じさせるような顔。
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「逃げたい。」
確かにまだ俺はそう思っている。
… 思っているはずだ。
…… でもなぜなのか
ゆあんくんの傍にいてあげないといけない気もする。
… 独り 、寂しがってるゆあんくんの傍に。
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リビングに足を運び 、 辺りを見回す。
今なら簡単に逃げ出せそうだが 、多分ペットカメラで監視されてるから意味ないだろう。
部屋を見ている内に 、1つ目に留まる物があった。
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それはゆあんくんの写真やら手紙やらが置かれた棚。
小さい時のゆあんくんの写真がたくさん並んでいた。
すごく無邪気で 、楽しそうで
何より幸せそうだった。
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写真の横に 、1冊のノートを見つけた。
勝手に読むのもアレだと思ったが 、好奇心が勝ってしまい手に取る。
そしてノートを1ページめくる
これはゆあんくんの日記だった。
◯がつ✕にち きょうはおとうさんとこうえんにいった ボールであそんだ すごくたのしかった!
日にちは結構飛び飛びだったが 、幸せそうな日常が記録付けられていた。
そんな日記を読んで思わず笑みがこぼれる。
読み続けていると 、1つのページから空気が変わった
✕がつ▽にち おとうさんがおうちにこなくなってすこしたった にじのはしをあるいたってどうゆうことなのかな?
▽がつ◯にち おとうさんにあいたい さみしくてなみだがでちゃった いつになったらあえるのかな
所々文字が滲んでいるところがある。
泣きながら書いたのだろうか 、胸が締め付けられるような気がした。
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☆がつ✕にち きょうからしょうがくせい! おともだちいっぱいできるかな おとうさんもおそらでぼくのことおうえんしててね!
もう会えないことを理解したのか 、ここからの日記には天国にいる父親へ話しかけるような文が書かれていた。
…… それまでどれだけ辛かったか 、考えれもしない。
◯がつ◇にち ぼくとなかよくしてくれるおともだちができた! シヴァっていうなまえのこ! おとうさんみたいにやさしいこだよ!
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夢中になっているといつの間にか1冊読み切っていた。
… ゆあんくんにこんな過去があったなんて 、初めて知った。
俺に対する異常なほどの執着は 、この出来事のせいなのだろうか。
大切な人を失う … 俺は味わったことない出来事だから 、執着に納得はできないけど。
… きっと 、それだけ寂しいのかな
部屋に戻ると 、もう1冊日記を見つけた。
おそらく中学から高校生にかけて書かれたもの。
やっぱり気になってまた読み始める。
✕月◯日 中学校も慣れてきた。 何よりシヴァさんと同じクラスなのが嬉しい。 でも 、部活が忙しいみたいで最近あんまり話せない。
相変わらず日にちは飛び飛びだった。
変わったところと言えば 、俺について書かれることが多くなった事かな
▽月✕日 今日は席替えがあった。 シヴァさんと席が離れて悲しい。
◯月▽日 実は好きな人がいる。 そんな人ができるのは怖かったけど 、本能には抗えなかったや。 でも 、向こうは友達としか思ってないみたい。
中学生の時の日記は少ししか書かれていなかった。
そして高校生の日記に移る。
◇月◯日 時の流れって思ってたより早いね。 もう俺も高校生だよ。 俺の成長した姿 、父さんも見てる?
✕月▷日 夜になっても母さんが帰ってこない。 何かあったのかな 、探しに行ったほうがいい? 最近仕事も忙しそうだし 、家事やっとこうかな
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◯月☆日 母さんの電話が繋がらない。 もう2日経ったよ。いつになったら帰って来るの? もしかして俺独りになるの?
▽月◯日 母さ・・・・ど・・て? また失・・・・た。 ごめ・・さ・ごめん・・い。
滲みきった字ばかりでほぼ読めなかった。
でもなんて書いてあるのか分かってしまう。
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「何とかしてあげたい。」
散々な事をしてきた相手なのにそんな思考が浮かぶ。
俺が支えないと 、傍にいてあげないと。
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気づけば涙が頬を伝っていた。
…… 逃げなきゃいけないのに。
ゆあんくんの傍にいたら 、きっと壊されるのに。
それでも
誰かが … 俺が。
こいつを支えてやらなきゃ 、という思いが離れなかった。
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頭を抱えて座り込む。
何故か悲しくて 、何故か怖くて
納得できないはずなのに 、理解してしまって。
変な感じだ ……
俺は …… 一体 … どうしたら ………
数時間後
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気づくとベッドに寝かせられていた。
向かいの机には開きっぱなしの日記が置いてある。
部屋の扉が開いていて 、ゆあんくんが帰ってきてるらしい。
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俺がぽつりと呟くと 、足音が近づいてきた。
ya
ya
ya
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幸い日記を読んだことはバレていないようだった。
また部屋を出ていったらもとの場所にすぐ戻さないと。
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ya
冗談っぽく笑う。
あんなに狂気に満ちていたゆあんくんが 、今は優しく接してきている。
何なんだろうな 、これ。
自分でも変だと思うけど 、今までの人生で感じてきた感情とはまた違った"何か"を感じている気がした。
恐怖でもなく 、かといって喜びでもない。
… でも 、何かを感じている。
…… だんだんと俺はこいつに
堕ちていっているのかも知れない。
からむーちょ
からむーちょ
からむーちょ
からむーちょ
からむーちょ
からむーちょ
コメント
8件
🍗裙゛😭 続きどうなるのかもう考えるだけで泣きそう(

いいねめっちゃ押しました!
次楽しみすぎる…これは泣くやつよぉぉ…