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side深澤
ライブ2会場目
今日もみんなは体力があるみたいで存分に暴れ回っている
ふい、と康二を見ると、沈んだ顔をしていた
康二のあんな顔を見るのは初めてで、胸がドキリとしたけど、次の瞬間には、いつもの康二に戻っていた
今のは、見間違い?
いや、見間違いだ
そう、自分に言い聞かせてライブに集中した
そして、MCの時間になった
深澤辰哉
佐久間大介
ラウール
阿部亮平
渡辺翔太
深澤辰哉
おかしい
いつも、佐久間と並んで反応してくれる康二が、反応しなかった
康二を見ると、汗をかいて下を向いていた
さすがに様子がおかしいので康二、と声をかけようと口を開いた途端、
向井康二
小さく掠れた声で、でもマイクを通しているからそれは会場全体に響き渡った
そして、その言葉の直後、
深澤辰哉
康二が、倒れた
運良く隣にいた阿部ちゃんとだてさんが支えてくれたから良かったけど、支えてくれなかったら床に全身をうっていた
イヤモニを通して裏にいる大人の方々の焦った声が聞こえる
照明が消える
会場はザワザワしていた
俺らは康二を取り囲む
阿部亮平
阿部ちゃんが康二の肩を叩いて名前を呼ぶ
佐久間大介
渡辺翔太
佐久間と翔太がパニックで叫ぶ
さらに、肩を掴んで揺らしている
止めないと、そう思うけど体が動かない
どうしよう
その言葉だけが頭の中をぐるぐる回っていて、何も出来ない
深澤辰哉
上手く息が吸えない
マイクを握る手に力が入らなくて、マイクを落としてしまう
岩本照
照が俺の後ろに来て背中をさすってくれる
岩本照
岩本照
少したどたどしく息を吸う
岩本照
照の呼吸に合わせるように呼吸をする
すると、段々と心拍数が落ち着いてきて、呼吸が楽になった
深澤辰哉
落ちていた視線を上げると、康二がめめにおんぶされてラウールとステージから出ていくところだった
阿部ちゃんが佐久間を、だてさんが翔太を肩を撫でたりして落ち着かせていた
岩本照
岩本照
深澤辰哉
そして、みんなで楽屋に戻って行った
楽屋の中は、静かだった
誰も喋らず、ただ、椅子やソファーに座っている
楽屋って、こんなに広かったっけ
人1人居ないだけでも、こんなに違うの?
少しして救急車の音が聞こえた
倒れた時に裏にいたマネージャーとかが呼んだのだろう
楽屋の扉が開かれる
マネージャー
マネージャー
マネージャー
マネージャー
岩本照
照が俺の横で小さい声で言った
マネージャー
マネージャーは何かを言いかけたけど、辞めた
マネージャー
マネージャー
そう言って出ていった
岩本照
着替える間も、ホテルに向かう間も、みんなは無言だった
向井康二
大きなため息をつく
医者
顔を上げると、先生が立っていた
医者
向井康二
向井康二
医者
向井康二
倒れた時のことを、記憶を辿りながら伝える
意識を手放す直前に見た、阿部ちゃんとだてさんの顔
みんなの俺を呼ぶ声
もう、一生忘れることは無い
思い出す度、胸がズキズキと痛む
医者
向井康二
向井康二
医者
医者
向井康二
この日は入院までには至らなかった
今思えば、これが、悪夢の始まりやったかもしらん
痛み止めをもらい、俺はすぐに家に帰らされた
マネージャーと新幹線に乗って家に帰ってきた
明日もライブがあるけど、それは俺以外の8人で行うことになった
家に帰るなり、俺はすぐにソファーに寝転んだ
向井康二
正直言うと、まだ少し、頭が痛い
向井康二
窓から見える空は、もう真っ暗やった
星なんて、一つもないし、月も見えへん
なんにも照らすものがない、濃紺の空
向井康二
小さく呟いた言葉は空気となって、消えていった