めめあべ その後の物語

途中までは(あべなべ)と 同じになります

目黒side

岩本くんが車を出してくれたから

直ぐに目的地である廃工場に着いた

廃工場に入って目に入った光景に びっくりした

あべちゃんが手足を縛られて

うずくまっていた

その姿を見てみんな走り出す

でも、物陰からその 後輩くんとやらが出てきて

「来るな」と叫んだ

俺は怒りで後輩くんが言ってることは もうどうでも良くなってて

今すぐにでもあべちゃんの元へ行き

抱きしめたかった

俺にはそんなことする資格はないって 分かってるけど

あべちゃんが苦しんでる姿を 見たくなかった

しょっぴーが後輩くんに あべちゃんに手を出してないかと聞いて

その答えに俺は耳を疑った

鉄の棒で1.2回殴ったと その後輩くんは小さい声で囁いた

手足を縛られて

無抵抗のあべちゃんを

鉄の棒で殴った？

ふざけんな

俺は怒りでどうにかなりそうだった

隣を見れば

それはみんな同じみたいで

拳を握っていた

今走っていってあいつを殴れば

あべちゃんを助けられる

でも、あべちゃんのすぐそばにいるから 下手したらあべちゃんが殴られる

それは何としても防ぎたい

神様は意地悪だ

あべちゃんは一生分の辛さや苦しさを

この前味わったはず

これ以上傷つけないで欲しいって

お願いしたのに

なんで毎回あべちゃんなの

なんで毎回おれはあべちゃんを 守れないんだろう

自分の中で

あべちゃんを絶対守るって 決めてたはずなのに

もう守れてない

そんな役立たずの俺は 今あべちゃんのために何が出来る

考えても考えても

今の俺には答えが出ない

どうすればいい

その時後輩くんが急に泣き出した

何言ってんの？

あべちゃんを殴っといて

辞めたい？何を今更

でも……

あれ？

ここはどこ？

なんにも見えない

誰もいない

怖い

誰か助けて

ひとりにしないで

助けて……

そうだ

いつも俺が助けを求めた時

手を差し伸べてくれるのは

めめだった

俺の心の中には

いつも暖かい塊があって

その暖かさをくれるのは

誰なのか考えたこともなかった

いつも気にかけてくれて

困った時には手を差し伸べてくれる

うん。今わかった

これの心を温めてくれるのは

いつもいつも

めめだった

あべちゃんが目を覚ました

それが嬉しくて嬉しくて

動いちゃ行けないってわかってるのに

勝手に体が動いてた

あべちゃんの元へ走り

手足の紐を解き

あべちゃんの体を起こす

その時、近くにいた後輩くんが

あべちゃんに向かって

鉄の棒を振りかざしながら 走ってきた

あべちゃんはびっくりして 何も動けないみたいで

ほかのメンバーも動けないみたいだった

俺だってびっくりしたけど

俺の手はちゃんと動いてて

あべちゃんに当たる寸前で

鉄の棒を掴むことが出来た

手にジーンと痛みが走り

そのまま鉄の棒を後輩くんから奪い

遠くの方に投げた

殺そうとした人？

どーゆー事？

佐久間くんが後輩くんを

殴ろうとした時

あべちゃんが後輩くんの前に

盾になるようにして立った

あべちゃんが何を言ってるのか

訳が分からなかった

100%後輩くんが悪いのに

なんで助けようとしてんの？

脅されてた？

あべちゃんの話を聞いて

後輩くんは大きな声を出しながら

泣き出した

「ごめんなさい」って言いながら

そんな後輩くんを

「俺は大丈夫だから」

って言いながら背中をさするあべちゃん

なんであべちゃんはそんなに 優しくなれるの？

あべちゃんが言ってることは 理解できないわけじゃない

でも、俺自身は後輩くんの ことが許せなかった。

どんな理由があろうと あべちゃんを傷つけたことには 変わりない

メンバーの大半が 「わかった」と言った。

でも、俺は…

あべちゃんは優しく微笑み

「ね？」と俺たちの目をまっすぐ 見つめてくる

こんなこと言われたら

って言うしかないじゃん

安心した顔しちゃって

ほんと自分のことより 人のことばっかり考えてるんだから

ま、そういうところが好きなんですけどね

あの後、岩本君に後輩君を送ってもらい

他のメンバーは事務所に戻り

マネージャーには、あべちゃんから 説明して

何とか納得してもらった

今日のリハーサルは無くなって

みんな家で休むように言われた

あべちゃんは最後まで残り

マネジャーから詳しい話を聞かれてた

俺はあべちゃんが心配だったから

他のメンバーが帰っていく中

静かにあべちゃんの話が終わるのを 待ってた

ふと周りをみると

あべちゃんを待ってるのは 俺だけじゃなく

楽屋の端っこで スマホをいじりながら

あべちゃんの方をチラチラ見てる

しょっぴーの姿があった

この前俺が背中を押したから

ちゃんと伝えようと頑張ってるんだ

じゃあ、俺はいらないな

何でそんなことを言われるか

わからなかったけど、 ひとまず残ることにした

それからしばらくして

あべちゃんの話は終わり

楽屋に戻ってきた

俺は、これを聞いてて良いのか

ものすごく心配になった

ふられてるとは言え、

流石に目の前で告白はきつい

でも、何であべちゃんは 返事をしないんだろう

返事は決まってるはずなのに

俺が目の前にいるからかな？

何でわかんないの

あべちゃんはしょっぴーが好きだから

俺のことフッたんでしょ？

え？

何を言ってるか 何にもわかってないんだけど

なんの説明もなしに 帰ろうとするしょっぴー

俺の横を通り過ぎるとき

そう言って

ほんとに帰ったしょっぴー

何で急に褒め出すの

俺が質問してるのに

これって

ただの嫉妬か

何期待してんだ

一回振られれるのに

あべちゃんは“メンバーとして”

好きって言ってるんだよな

嘘だ

俺はあべちゃんのことを…

今なんて言った？

あべちゃんの言葉が嬉しくて

幸せすぎて

おかしくなりそうだった

その幸せを確かめるように

俺はあべちゃんのことを

抱きしめた

直接ありがとって

言わなきゃな

うん

約束する

絶対

あべちゃんのこと守るから

どんなことがあっても

命をかけて守る

だから…