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シュガードール物語　　　小春編

第1話 - 初めてのシュガードール

2025年08月16日

#シュガードール

お犬様

ここは東の国のとある町のとある学校のとある日の昼休み…

女子高生B

ほら見てウチのドール！
めーっちゃ可愛くない？

女子高生A

めっちゃ可愛い〜。
でもさ、ウチのドールもさ〜。

玲二

……………。

男子高生

あーあ。
女子ってのは毎日毎日飽きもせずに、よく同じ話ばかりできるよなあ。

玲二

毎日毎日飽きずにドールドールって…
アイツら、いい年して人形遊びしてんのかよ。

男子高生

人形遊びって…アイツらが話してんのはシュガードールだぞ。
普通の人形とは違う。

シュガードール。玩具会社【スイーツメイカー】が作り出した、等身大サイズのドール。

ただのドールではなく、月の光を宿した宝石【ジュエル】をコアにしており、ジュエルの力で自我が芽生えた自律型ドールである。

最早“ドール”の範疇をこえて可愛げがあり日常生活に寄り添う優秀なアンドロイドに近い存在となっている。

玲二

アイツらがシュガードールの
話をしてるのはわかってるよ

玲二

けど、いくら自律型ドールと言っても
所詮はプログラムされた性格だろ？

玲二

そんな人形でキャーキャー騒ぐのが
よくわかんないっつーか…

男子高生

いやいやいやいや

男子高生

シュガードールはマジでスゴイから。
そんじょそこらのAIとは訳が違うよ。
アイツらマジで生きもんだよ。

玲二

ヤケに熱く話すな……
お前、もしかして…
シュガードール持ってる？

男子高生

実は持ってる

男子高生

母さんが家事手伝い用に買ってきて、
最初はただの人形かと思ったけど
ソイツがマジで可愛いのなんの…

玲二

ふーん…

男子高生

お前、きょうだいとか欲しいって
言ってたじゃん。
シュガードールを妹か弟代わりに
可愛がってみたらどうよ。

玲二

人形を弟か妹扱い！？
マジでヤバい奴じゃん！！

男子高生

いやいや、本当に生きた人間みたいだから。
一緒に暮らしてたら人形だってことを
忘れるって。

男子高生

ものは試しって言うだろ？
1回ドールを迎えてみたらどうだ？

玲二

うーん…

玲二

迎えてみろって簡単に言うけど、
ドールって高いんだろ？

男子高生

お前、まだドールを迎えたことないからオーナーカードないだろ？
オーナーカードを新規発行してもらったら、初めてのドールは無料で買えるんだよ。

玲二

マジ？そんな太っ腹なの？

男子高生

おうとも。
最初の一体は無料、それ以降は有料よ。
だからお前も金とか気にせずに
ドール一体は無料で迎えられるぜ。

玲二

……そう、か

玲二

……じゃあ、ちょっと…帰りに
ドールショップに寄ってみるか…

男子高生

おー！

男子高生

可愛いドールだったら
写真見せてくれよー！

玲二

あー、ドール買ったらな…

放課後

玲二

（……ホントにドールショップまで
来ちまった……）

玲二

（……でもホントは…
前から気になってたのかもしれない）

玲二

（アイツとの会話が
切欠になった感じだな）

玲二

（……やっぱり……独りは寂しいし……）

玲二は意を決してドールショップに足を踏み入れた

店員

いらっしゃいませー！
どんな子をお探しですか？

玲二

あっ、あの……俺…
初めてドールを買うんですけど…
最初は無料で買えるってマジですか？

店員

ああ、オーナーカードを
まだお持ちではないのですね！

店員

はい！
オーナーカードを
新規発行していただいたお客様には、
サービスでお好きなドールを一体
お渡ししております！

玲二

マ、マジなんだ…

玲二

じゃあ…ドールを買いたいんで、
そのオーナーカード、作ってください

店員

かしこまりました！
では、こちらの指輪をどうぞ！

玲二

この指輪は？

店員

こちらは“契約の指輪”です。
ドールをお迎えし、オーナーとなる為には必要不可欠な道具です。

店員

この契約の指輪をお好きな指に
はめてください。

玲二

は、はい……。
はめましたよ。

店員

はい、お客様のデータが指輪に登録されました。
エラーが起きなかったということは、
オーナーカード未所持を
騙ってもないという事ですね！

店員

その指輪はオーナーとドールを
強く結びつける大切なものです。
決して壊したり失くしたりしないよう
お気をつけくださいね。

店員

では、お客様のオーナーカードを
発行してきますので…
その間に店内のドールをご自由に
ご覧いただき、どの子をお迎えするか
考えておいてくださいね！

玲二

あっ、はい…

玲二

（どのドールにするか…悩むな…）

玲二

（まあ出来れば…
可愛い女の子ドールがいいんだけど）

玲二

（うーん……）

玲二

（…………あっ）

玲二

（……この子可愛い。
俺の好み……かも）

玲二

（なんか一番目を惹かれたし……この子にしようかな）

店員

お待たせしました！
こちら、お客様のオーナーカードとなります！

玲二

あっ、はい…ありがとうございます。

店員

お迎えするドールはお決まりになられましたか？

玲二

……えっと……この子……。

店員

製造番号893385ですね！
かしこまりました！
では、ショーケースから
お出ししますね！

　玲二が選んだドールがゆっくりとショーケースから出されて、彼の前に立たされる。

店員

ではオーナー様、この子に
名前をつけてあげてください！

玲二

名前……考えてなかった……。

玲二

………………………

玲二

……小春

店員

小春ですね！
ではオーナー様、
指輪をはめた方の手を小春にかざしていただき、
彼女の名前を呼んであげてください！
それで契約は完了となります！

玲二

わかりました…

玲二

……小春。

玲二が持つ契約の指輪と小春の心臓部分が光り輝き共鳴するように光の糸で繋がった

光はやがて収まっていき玲二の指輪は淡い銀色の光を帯びた

小春

………………

小春がゆっくりと目を開ける。

小春

……あなたが、
小春のオーナー様？

玲二

（喋った…！
いや、そりゃ喋るか…！）

玲二

えっと……そ、そうだよ。

小春

……そっか。

小春

私……小春。よろしくね

そう言うと小春はふんわりと微笑んだ。玲二の胸がキュンと高鳴る。

玲二

（…………あ、ヤバイ）

玲二

（マジで可愛い……かも）

こうして玲二と小春は出会い、二人の日常が始まるのだった。

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