去華就実の風

次の日

母様に昨日のことを話して

好きに動く許可をもらった

なんか…若干呆れてたけど

八大陸

その名の通り、8つの大陸からなる国である

それぞれ崇め庇護を求める神の使いがいて

基本的にその大陸の名が神の使いの力に直結することが多い

風魔だったら｢風の神の使い｣だし

風魔は｢風の大陸｣の主だ

ちなみに、今私達が居るのが｢雲の大陸｣

雲の神の使いの大陸である

…尚、この大陸だけ

空中に存在するのである

ちなみに理由は謎に包まれている

というより、語り継がれなかった

よって、今の沙羅家にその真実を知る人間はいないのである

…なんか……風魔のノリが怖いぞ……？

……なんか、2代目様と出会ってから

風魔は心做しか、とても楽しそうだ

……たまに見せる、死にたいような顔さえ無ければ

そう、思えたのに…

なんで……あんな顔するんだろ…

そういや、風魔と2人きりで出かけるの久しぶりだな

昔はもっとボクがお転婆で

母様が死んだような顔をしていたらしい

それに同情した風魔がボクと一緒に居てくれたらしい

……全く、誰がお転婆だ

そんな変なことを考えているから

笑われたのかと思って、びくっとする

……ぐぬぬ、確かにそんなことだ

そういって、チラッと海の方を見る風魔

ここは神の使いしか入れない神聖な場所である

……尚、嘘の可能性大ありなのは内緒だ

どうやら、風魔の邪魔をしてしまったらしい

ここは汚名返上として風魔に楽しい思いをしてもらわねば

ボクはお礼はしっかり考えるタイプの巫女である

前まで……というより

2代目様……いや、クルト様に出会う前は

｢私｣が一人称だったのに

出会ってからはずっと｢俺｣と言っている

ぶっちゃけどっちでも好きな方を使えばいいと思うのだが

……何十年も聞いていた一人称が変われば、気になるものである

……知らなかった

どちらもしっくりくるからどっちでもいいけど

てっきりそういうものは無いのかと…

沙羅家初代巫女様

名前、誕生日、亡くなった日

その他個人情報の全てが無いとされている伝説の方だ

……やろうかな、それ

風魔の話は、とても楽しい

聞いているだけで勉強になるのだ

……こんなに楽しそうに話す風魔、久々に見た

1呼吸置いて、目の前を階段を指さす風魔

なんか変なことあるか…？

……みと？

……どこかで、聞いたような…

……聞いた？いや、見たような…

2代目様、風魔が敬意を払う、つまり四人神様の中の一人？

……あ、思い出した

沙羅家唯一、許嫁登録されてる神の使いの方だ

……あれ？

今は名前を呼んでいるのに

あの時は、どうして"あの方"なんて遠回りな言い方を？

風魔の、故郷

気になることが、多くなる日だった

それと同時に、わかったことも少しだけあった

そんな、謎に包まれた1日だった