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何で……知ってるの
なんでなんでなんで
怖い…"あいつを"知ってるの奴がいるなんて…
青
桃
赤
赤
青
青
それだけ言って音楽室をあとにした
桃
僕にはプロサックス奏者の父がいた
父は僕にもプロになって欲しくて小さい頃から音と向き合われられた
最初は音を出すだけで温かいてが僕の頭を撫でた
それが嬉しくて必死で練習した
しばらく年数がたち、父と母がコンテストに出てみないかと言われ、
僕は一言で快諾した。
今思えば間違った選択だった…
コンテスト当日…
これまでたくさん練習した
それでも、凄く緊張したのをよく覚えている
本番前ほほ笑みながら父はこういった
結果を残してこい
その時は軽く流した言葉、
後になってやっと意味が分かった
父はこのころから過度な期待をまだ幼い僕に寄せていたことを……
前のトランペットの演奏が終わった
そしてステージに上がる
思い出したくないほど明るく、視線が一斉に僕に集まる
一呼吸置いて演奏を始める
僕は大きな失敗をした
音が裏返ってしまった
凄く緊張していたから口を閉めすぎたのだろう
その時は初めてだし、父も何とも言わないだろうと思った
僕がコンテストに出た理由も
"頑張ったね"
ただこの一言さえ聞ければ賞なんてどうでもよかった
ステージから降り、舞台裏にいる父の元に向かう
そして見つけたと思い父を呼ぶ
青(幼少期)
父と母がこっちに顔を向ける
その顔に笑みはなかった
今までに見たことないくらいにその表情は冷たかった
父
そう冷たく言い放つと僕の腕を乱雑に掴み強く引っ張った
連れてこられたのは会場の地下駐車場、
急に止まったかと思えば
バチンッ
大好きだった父の大きく温かい手が
矢のように僕の右頬へ強く飛んでくる
僕はその場に倒れ込む
青(幼少期)
父
そう一言言い残し僕に背を向け歩き始める
その背中が何より冷たくて、怖かった
青(幼少期)
気づいたら泣きながら叫んでいた
青(幼少期)
帰ってからも色んな冷たい言葉を浴びせられた
"出来損ない"
"俺の顔に泥を塗った"
"お前は俺の子じゃない"
とにかくいっぱい言われたのをよく覚えている
その度に僕は泣きながら
青(幼少期)
この一言だけを繰り返した
鋭いベルの音が部屋中に鳴り響く
青
青
またあの夢見ちゃったな
もう二度と思い出したくないのに…
そう思いながら重い足を冷たい地面に落とし、立ち上がる
青
僕の声だけが部屋に軽くこだまする
もちろん返事は返ってこない
これにももう慣れた
ぱっぱと朝ごはんを食べ、制服に身を包む
そして学校に行く
孤独な僕のいつもの日常です
青