ライブが終わったあとの武道館は、 熱気と拍手の余韻がまだ残っていた。
照明が落ちても、 会場に流れるあたたかい空気が、 咲の胸をずっと震わせていた。
スタッフに名前を呼ばれ、 咲は関係者用の通路を案内される。 ステージの裏側を通りながら、 心臓がバクバク鳴っていた。
咲
(どうしよう、ちゃんと話せるかな……)
目の前のドアがノックされ、開いた先――
そこには、汗を拭きながら笑い合う ONE N’ ONLYのメンバーがいた。
颯斗
お疲れさまでした〜!
玲
いやー、今日も最高だったね
颯斗、永玖、直弥、玲。
テレビやSNSで見たままの、 でももっと“素”な空気をまとった彼ら。
その真ん中に、哲汰がいた
哲汰
……来てくれた
咲が緊張で固まっていると、 哲汰はにこっと笑って手を引いた。
哲汰
みんな、紹介するね俺の彼女。咲です。
永玖
えーーー!! マジで!?
哲汰、ついに言ったー!?
哲汰、ついに言ったー!?
玲
ちょっと緊張してるじゃん、
咲ちゃん。大丈夫?
僕らこわくないよ?
咲ちゃん。大丈夫?
僕らこわくないよ?
直弥
おーい、颯斗くん、無言で目を細めて観察するなって!
颯斗は、ゆっくりと頷いて一言。
颯斗
……なるほど、
だから最近の哲汰、
妙にいい顔してたんだな
だから最近の哲汰、
妙にいい顔してたんだな
咲は思わず、ふっと笑ってしまった。
咲
よろしくお願いします……
少し震えた声でそう言うと
玲
ようこそ、哲汰の世界へ😉
と冗談交じりに話した。
哲汰
咲ちゃん、ライブどうだった?
咲
……すごかったです。
ほんとに、全部かっこよくて、ずっと鳥肌立ってました
ほんとに、全部かっこよくて、ずっと鳥肌立ってました
その言葉に、 哲汰は照れくさそうに後ろ頭をかく。
哲汰
……俺、咲ちゃんに見てもらうために、めっちゃ頑張ったから
咲
……知ってる。ちゃんと、届いた
2人だけの視線がそっと重なった。
楽屋の空気は、温かくて、心地よくて。 咲はふと気づく。
ああ――私は今、彼の“本当の世界”に、 ちゃんと一歩踏み込めたんだって。
それが、すごく、嬉しかった。






