ライブが終わったあとの武道館は、 熱気と拍手の余韻がまだ残っていた。
照明が落ちても、 会場に流れるあたたかい空気が、 咲の胸をずっと震わせていた。
スタッフに名前を呼ばれ、 咲は関係者用の通路を案内される。 ステージの裏側を通りながら、 心臓がバクバク鳴っていた。
咲
目の前のドアがノックされ、開いた先――
そこには、汗を拭きながら笑い合う ONE N’ ONLYのメンバーがいた。
颯斗
玲
颯斗、永玖、直弥、玲。
テレビやSNSで見たままの、 でももっと“素”な空気をまとった彼ら。
その真ん中に、哲汰がいた
哲汰
咲が緊張で固まっていると、 哲汰はにこっと笑って手を引いた。
哲汰
永玖
玲
直弥
颯斗は、ゆっくりと頷いて一言。
颯斗
咲は思わず、ふっと笑ってしまった。
咲
少し震えた声でそう言うと
玲
と冗談交じりに話した。
哲汰
咲
その言葉に、 哲汰は照れくさそうに後ろ頭をかく。
哲汰
咲
2人だけの視線がそっと重なった。
楽屋の空気は、温かくて、心地よくて。 咲はふと気づく。
ああ――私は今、彼の“本当の世界”に、 ちゃんと一歩踏み込めたんだって。
それが、すごく、嬉しかった。
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