氷野
はぁ…
氷野
昨日上げた作品…
氷野
全然「イイネ」付いてない…
氷野
……
氷野
何がいけないんだろ…
氷野
やっぱり文字数多すぎたのかな?
氷野
サムネが目立たないとか?
氷野
タイトルとかあらすじがダメだったとか?
氷野
…あー何がいけなかったんだろ
氷野
今回はそこそこ良い話しが書けたと思ったのに…
氷野
……
氷野
…あ
氷野
また、ベリトさんから「イイネ」が…
氷野
というか、ベリトさんからしか「イイネ」貰えないなぁ…
氷野
とりあえず、返事書いとこ
氷野
「いつもありがとうございます!」っと…
氷野
…はぁ…
氷野
仕事行こ…
氷野
(ちょこちょこチェックしてみるけど)
氷野
(あれから「イイネ」は増えない…)
氷野
(……公式のこの話し、オチが雑…)
氷野
(なんでこんな内容カッスカスの作品に「イイネ」が1000も付くの?)
氷野
(…この公式作家さん、こんな話ばっかだなぁ)
氷野
(…この話し別の公式作家さん書いてなかった?)
氷野
…はぁ…
氷野
(ダメだ…)
氷野
(人の批判してばっかり…)
氷野
(…こんなんじゃあ、自分の作品がよくなるわけないじゃん)
氷野
(仕事、真面目にしよう…)
氷野
(いい話しも思いつかないし)
氷野
(才能無いのかなぁ…私…)
氷野
(「イイネ」も増えないし)
氷野
(コメントもつかないし)
氷野
(フォロワーも増えないし)
氷野
(物書き仲間も増えないし)
氷野
(駄作ばっかり並べてるだけ…)
氷野
(この辺が辞め時なのかな…)
悪魔
あの、すいません
氷野
!!
氷野
だ、誰ですか?
悪魔
あー…えっと、悪魔です
氷野
は?
悪魔
随分と悩んでいるようだったので
悪魔
声をかけさせていただきました
氷野
はぁ…
氷野
(新興宗教の勧誘か何かかな?)
悪魔
その、何か悩んでいるのなら
悪魔
願い事を叶えさせてもらえませんか?
氷野
…ふふっ
悪魔
??
氷野
悪魔のくせに腰が低いのね
悪魔
あ、いえ、仲間にもよく言われます
悪魔
もっと悪魔らしくしろって…
氷野
そうなんだ
悪魔
願い事云々は置いといて
悪魔
何か悩み事でもあるんですか?
氷野
うーん…
氷野
私、趣味が小説を書くことなの
氷野
最近、ちょっとハマってサイトに自分の書いた作品を投稿しているんだけど
氷野
全然「イイネ」が付かなくて…
悪魔
それで悩んでいたんですか?
氷野
うん
氷野
「イイネ」が付かないのは
氷野
自分の作品が面白くないだけなのに
氷野
他の人の作品ディスってさ…
氷野
だんだん嫌になってきて…
氷野
はぁ…何してるんだろうって…
悪魔
…そうなんですか
氷野
好きだった創作活動が嫌になってきて…
氷野
…もう、いいかなって…
悪魔
……
氷野
……
氷野
あ、ねぇ
悪魔
はい
氷野
願い事、叶えるのに何がいるの?
悪魔
…それは…
氷野
やっぱり、寿命とか魂とか?
悪魔
…そう、ですね…
氷野
うーん…じゃあさ
悪魔
はい
氷野
趣味を物書きじゃなくて、別の物に変えてくれない?
悪魔
え?
氷野
例えば…あ!料理とか!
氷野
私、料理全然できないから
氷野
趣味、料理っていいな!
氷野
それに変えてくれない?
悪魔
……
氷野
ダメ?
悪魔
文才ではなくて…ですか?
氷野
うーん…文才はいいかな
悪魔
他人を蹴落とすわけでもなく?
氷野
蹴落としても自分の作品が評価されるわけじゃないでしょ?
悪魔
そうかもしれませんが…
悪魔
ちょっと待てくださいね
氷野
……?
悪魔はおもむろにスマホを取り出し、
操作をする。
氷野
??
氷野
(ベリトさんから?)
悪魔
……
氷野
(あ、最新作にコメント付いてる)
氷野
(えっと……)
氷野
(”柚月さんの作品、毎回楽しみにしています。ご自分では才能が無いとおっしゃっていますが…”)
氷野
(”自分は柚月さんの作品、大好きです”)
氷野
(”これからも読んでいきたいので…”)
氷野
え?
顔を上げると
悪魔は苦笑いを浮かべる。
氷野
(”料理を趣味に変えることは出来ません…”)
氷野
え…嘘…ベリトさん?
悪魔
はい…直接言うのは恥ずかしいので…
氷野
でも、コメントでは書いてくれるのね
悪魔
…はい
氷野
そっか…
悪魔
…読者が私一人だと心許ないですか?
氷野
…ううん、そんなことないよ
氷野
いつも「イイネ」くれるし
氷野
時々、コメントも付けてくれる
氷野
本当は…すごく嬉しかった
氷野
それがいつしか普通になり過ぎて
氷野
贅沢を言うようになっちゃったんだね、私
悪魔
そんなこと…
悪魔
人間ってそういうものですよ
氷野
あははっ
氷野
すごい説得力
悪魔
そうでしょうか…
氷野
…ちょっとマンネリ化してたのかな
氷野
でも、ベリトさんと出会えてよかった!
氷野
良い刺激になったよ
悪魔
それは何よりで
氷野
ねぇ、本当に悪魔なの?
悪魔
え、あ、はい
氷野
っぽくないけど
悪魔
ですね
悪魔
あの…これからも作品書いてくれますか?
氷野
…うん
氷野
ちょっと時間かかるけど
氷野
また、作品は書くよ
悪魔
そうですか、安心しました
悪魔
よかった…
氷野
そんなに心配だったの?
悪魔
心配でしたよ!
悪魔
柚月さんの作品、一生読めないのかと思って慌てて出てきたんですから
氷野
あはは、そういってくれると嬉しいなぁ
氷野
よし!頑張って作品書くね!
悪魔
はい、楽しみにしています
氷野
あ、そうそう
氷野
悪魔っぽいところ見せてよ!
悪魔
え…
氷野
お願い!
悪魔
えーっと……
悪魔
では―――