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コメント
2件
手話とか発想が天才すぎて沼 あと毎回思うけど題名最高すぎ🫵🏻
転校生が来た
教室に入って来て
黒板に“小夜紡”とだけ書かれた
そういったのは 小夜紡という名の人ではなく先生だった
何も言わず、話さず
会釈だけして俺の隣に来た。
この前突然誰も座らない机と椅子を 先生は俺の隣に用意した
木 葉 秋 紀
今、理解した
木 葉 秋 紀
小 夜 紡
返事がない
木 葉 秋 紀
“耳が聞こえません”
木 葉 秋 紀
小 夜 紡
必死に担任の口元を見ている
見取っているのだろうか
すると、肩をぽんぽん、と叩かれた
小 夜 紡
木 葉 秋 紀
小夜は手話をしてきた
木 葉 秋 紀
小 夜 紡
小夜は慌てて紙とペンを出し
小 夜 紡
と、書いてくれた
俺もそのまま紙に
木 葉 秋 紀
木 葉 秋 紀
小 夜 紡
と書いた。
小夜の字はとても綺麗で、
優しく笑ってくれた
小 夜 紡
木 葉 秋 紀
小 夜 紡
授業中、筆談をする時
小夜は必ず謝ってくる
木 葉 秋 紀
小 夜 紡
木 葉 秋 紀
木 葉 秋 紀
木 葉 秋 紀
木 葉 秋 紀
気がついたら、 小夜のことばっか考えてて
一日中、 目で小夜を追ってる時もある
木 葉 秋 紀
小 夜 紡
無意識にいつも小夜を探してて
見つけた時馬鹿みたいに嬉しくなって
筆談だけじゃ 俺の気持ちを上手く表現できなくて
それで……
木 葉 秋 紀
いつも通り肩を叩いて俺を呼ぶ小夜
最近は触られるだけで 意識してしまう
小 夜 紡
ジェスチャーで大丈夫、と伝えると
小 夜 紡
安心したのか手を振って走っていった
木 葉 秋 紀
小夜の声
生まれた時から 何も聞こえなくて
いつも真っ暗闇の中に居る気分だった
小 夜 紡
昔から1人はすきだけど
1人は寂しい
私は一生孤独なんだなって。
1人で真っ暗闇の中 落ち続けて
落ちた頃には死んでいる
そうなるのは仕方ないと思っていた
でも
木 葉 秋 紀
木 葉 秋 紀
貴方という光が差して
ひとりじゃないって気がついたの
貴方の知らない手話で、 “ ”って言ってみたり。
小 夜 紡
木 葉 秋 紀
授業中、話しかけようと 必死にペンを動かした
小 夜 紡
聞いてみたいな、貴方の声
木 葉 秋 紀
1番最初に覚える手話は もう決まってる
この手話で君に__
今日も貴方に意地悪をする
小 夜 紡
はずだった
木 葉 秋 紀
小 夜 紡
少しぎこちないけど
貴方は手話をしてくれた
小 夜 紡
小 夜 紡
そう聞くと
照れくさそうにこくりと頷いた
私は木葉くんに 手話をもっと知ってもらいたい
そう思って
小 夜 紡
木 葉 秋 紀
小 夜 紡
少しの時間だけど手話を教えられた
筆談だけじゃ難しいこともあったけど
木葉くん、覚えるのが早くて 教えるのが楽しかった
小 夜 紡
木 葉 秋 紀
小夜は色々教えてくれた
小 夜 紡
木 葉 秋 紀
手話を勉強するのが楽しくて、
いや、小夜と勉強するのが楽しいんだ
木 葉 秋 紀
小 夜 紡
小夜は目を見開いた
木 葉 秋 紀
小 夜 紡
小 夜 紡
小夜は俺の知らない手話を使って
返事をした
木 葉 秋 紀
小 夜 紡
小夜は嬉しそうに手話をした
きっと、伝わったのだろう
小 夜 紡
あの時と同じ
優しい笑い方をしてくれた
声が聞こえなくても
言葉だけじゃなくても
手のひらのおまじないがあれば
伝わることだってある__
「手 の ひ ら の お ま じ な い」
f i n
𝘛𝘩𝘢𝘯𝘬 𝘺𝘰𝘶 𝘧𝘰𝘳 𝘸𝘢𝘵𝘤𝘩𝘪𝘯𝘨.
profile
小夜 紡 (さよ つむぎ) 耳が聞こえない少女 木葉が好き
木葉 秋紀 (このは あきのり) 手話を勉強し始めた 小夜が好き
小 夜 紡
木 葉 秋 紀
もう俺には意地悪なんて効かないよ
紡と一緒に勉強したから