大聖堂前
弾
えー、それでは今まで過ごしてきた故
黄泉島と凛ちゃんの新たな就任に乾杯ー‼︎
黄泉島と凛ちゃんの新たな就任に乾杯ー‼︎
乾杯〜‼︎
弾
えーっと...本当にこの挨拶でよかったのか?
凛
はい。私が残るということを悲観的に捉えないでほしいためにも、この挨拶でよかったんです。
弾
そ、そうか‼︎
鼎
お主ら‼︎今日は遠慮せず食って飲むんじゃぞ‼︎悔いを残すことは断じて許さんからな‼︎
はい‼︎
鼎
ふぅ...凛、お主も悔いは残すなよ?
凛
大丈夫ですよ。もう悔いなんてありませんし。
鼎
う、うむ。まぁ肩力を抜いて楽しむがよい。ホレ、空泉を見てみろ。
空泉
はい、皆さん注目ー‼︎これから私はドラゴンになりまーす‼︎
空泉
まず口にお酒を含みまーす‼︎
トプトプ...
空泉
んーんー‼︎んんー‼︎
鼎
何を言っとるのか聞こえんぞ...
ブハーッ‼︎
ゴオオオッ‼︎
弾
うおっ⁉︎火吹きやがったぞ⁉︎
凛
※火吹きは危険な行為なのでよい子は真似しないで下さい。
鼎
誰に言っておるんじゃ...?
凛
ところで鼎さんに聞きたいことがあるんですけど...
鼎
何じゃ?
凛
凛
鼎さんは下界に戻れないんじゃないですか?
鼎
....
鼎
何故、そう思うんじゃ...?
凛
柚葉さんが言っていたんです。鼎さんは約15万年ほど島にいると。
凛
この島と下界の時間軸が1日=1分だとすると約100年程経過していることになります。
鼎
つまり、下界にはもう“妾の身体は存在しない”と?
凛
恐らく鼎さんは肉体は既に失われていますが、魂だけがこの島に漂流してしまった。
凛
だから全員が転送される中、鼎さんは天界に行くことになる...
鼎
...ふふ。
凛
どうしました?
鼎
いや、姉妹揃って名推理をするなぁと思ってな笑
鼎
その通りじゃ。妾は下界に戻ることは出来ん。それは統率者になった時から分かっておったことじゃ。
鼎
お主は“死”が怖いか?
凛
分かりません。でも私は感情を失ってから世界に対する見方が変わりました。
凛
人間は『喜怒哀楽』を表現しますが、私にとっては全てが『無』なんです。
凛
柚葉さんや仲間に何度も笑顔の練習をさせられましたが、そんなものは無意味でした。
凛
そこで改めて気付かされたんです。
凛
凛
私は死んだんだって。
凛
生きているけど死んでいる。それが私なんだって。
凛
だから私にとって、“死”の恐怖というものは分かりません。
凛
でも“死”とは、とても寂しく...そして儚く...『無』になるものだと考えています。
鼎
そうか...じゃが、妾はそうとは思わんな。
鼎
確かに“死”とはそういうものかもしれんが、妾は『旅』だと考えるぞ。
凛
『旅』...ですか?
鼎
お主は“死”を『無』と言うが、その『無』になった世界をお主は『旅』をしたんじゃよ。
鼎
常人には理解し得ない秘境、お主はその世界で様々なことを学んだ筈じゃ。
鼎
例えお主の感情が死んだとしても、学んだことはずっと生き続けると妾は思うぞ。
凛
学んだことが...生きる...
空泉
おーい‼︎2人で何話してんのー?
鼎
まぁ色々とな。
空泉
じゃあさ、私も凛と話したい‼︎
鼎
時間も少ないし程々にするんじゃぞ。
空泉
はーい‼︎じゃあ礼拝堂で待ってるよ〜‼︎
タッタッタッ
凛
あ、ちょっ...
凛
はぁ...仕方ないですね。
スタスタスタ