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続きが気になるお話です…! しかしこれ、読み切りなんですよね🥲 朔が討伐隊に入隊し、コウさんベニさんと再会して共闘するようになる熱い展開まで読めました とてもボリュームがあり面白かったです✨
面白かったです! え、これ連載化なさらないんですか? 朔くんがこのあと珠雅で討伐隊見習いになったり、コウさんベニさんが珠雅を目指してる理由や妖を斬れる理由が解明されない、と……?
小夏
朔
朔
小夏
小夏
朔
朔
友也
朔
朔
里紗
里紗
小夏
小夏
里紗
小夏
朔
小夏
そう言って小夏は表情を曇らせる。
小夏
小夏
里紗
朔
友也
朔
小夏
朔
里紗
朔
友也
友也
朔
友也
友也
友也
朔
朔
朔
里紗
朔
朔
友也
朔
里紗
朔
里紗
里紗
友也
朔
里紗
友也
里紗
朔
友也
朔
里紗
朔
友也
友也
朔
友也
朔
友也
里紗
友也
朔
討伐隊に憧れる子供は多い。
でも、誰でも入隊できるわけではない。
討伐隊に入るために必要なのが、
気術を扱える素質である。
武術や剣術は修行すれば会得できるものだが、
気術だけは産まれ持ったもので
どれだけ修行しても
その素質を持たない者は
永遠に会得できない。
それゆえ、
気術の素質がある者は重宝される。
朔(サク)も貧しい村の出身ながら、
その身に気術の素質を持っていた。
だから、自分は討伐隊に入る運命にあるのだと思っている。
他の誰にも無い力を持って産まれた
特別な存在なのだと思っていた。
朔
友也
朔
里紗
朔
友也
里紗
里紗は軽い足取りで荷台の後ろに回ると
後ろから押す。
朔
友也
友也
朔
里紗
友也
友也
朔
朔
友也
里紗
朔
黙々と荷車を運ぶが…
ガコンッ
朔
友也
里紗
朔
友也
朔
友也
朔
朔
友也
友也
里紗が空を見上げると
すでに陽は傾き夕日が眩しかった。
里紗
友也
友也は駆け出し、
あっという間にその姿は見えなくなった。
里紗
朔
里紗
朔
里紗
朔
里紗
朔
朔と里紗は荷台に座る。
里紗
朔
里紗
朔
妖(あやかし)。
この世界に蔓延る悪しき存在。
人を襲い、人を喰らうモノ。
討伐隊と
用心棒と呼ばれる者しか
倒すことが出来ないと言われている。
昔は、多くの犠牲者が出ていたが、
近年では護符の流通により
襲われることが少なくなった。
人が住んでいる場所では
よく乾燥した薪と護符を一緒に燃やすことで
一枚の護符で一夜、
妖の奇襲を防ぐことが出来る。
もし、村や町の外で夜を越さなければならないとき、
護符を持っていれば
その命は助かるだろうと言われている。
そして、
護符が無ければ
妖の殺されるしかない、
と言われている。
今回は幸い、
二人は護符を持っていた。
ならば、
荷台の近くで火を焚き
護符も一緒に燃やせば
安全に一夜明かすことができる。
ベニ
コウ
ベニ
コウ
ベニ
コウ
ベニ
コウ
ベニ
コウ
ベニ
コウ
ベニ
コウ
ベニ
コウ
ベニ
コウ
ベニ
コウ
ベニ
コウ
ベニ
コウ
コウ
里紗
朔
里紗
朔
里紗
朔
朔
すっかり辺りは真っ暗になり、
焚き火の灯りだけが
二人を優しく照らしていた。
里紗
朔
里紗
朔
里紗
朔
里紗
朔
里紗
朔
里紗
朔
里紗
朔
里紗
グルルッ
朔
里紗
朔
里紗
グルルッ!
グルルッ!
声に合わせて木々が揺れる音がする。
顔を上げて見たものの
そこには暗闇が広がっているだけ。
朔は里紗の手を握りしめる。
バシャッ!
朔
突然、どこからともなく水が降りかかって来た。
雨ではない。
しかし、
そのせいで焚き火が消えた。
グアッ!
どこか嬉しそうな声が聞こえてきた。
里紗
朔
里紗
そして、二人は駆け出す。
朔
朔
朔
まさか、そんな知識がある妖がいるなんて
聞いたことがなかった。
暗闇の中、
朔と里紗は懸命に走った。
グルルッ!
グオッ!
頭上を飛び跳ねながら移動する何かは、
二人に枝や石を投げつけてくる。
朔
朔
太刀打ちしようにも
今は丸腰で何も持っていない。
里紗
里紗が足元に転がっていた石につまづいて転ぶ。
朔
叫んで手を伸ばした瞬間、
里紗の背に黒いモノが落ちてきた。
里紗
それは
猿に似た
別の何か。
狼によく似た頭部には
真っ赤な瞳が
四つあり、
楽しそうに開いた口には
尖った歯が並んでいた。
しかし、
首から下は猿とよく似ていた。
朔
里紗
朔
里紗
朔
朔はそう言って
里紗の背に乗った妖目掛けて
思い切り石を投げつけた。
ンギャッ!
それは目にも止まらぬ速さで
妖の頭に当たり
体勢を崩して里紗の背中から転がり落ちた。
朔
投げたのは普通の石ではない。
己の気力を纏わせることで
威力を増幅させる単純な気術を用いたモノだった。
朔は素早く里紗に駆け寄り、
そして懐の中から護符を取り出す。
ぼわっ
直接護符に火を点ける。
グアッ!
ゴアァッ!
妖は目を細め、
逃げるように森の中に入って行く。
朔
里紗
護符に直接火を付けることは
絶大的な効力を発揮するが、
長くは持たないのが欠点だ。
だが、村は目と鼻の先である。
急げば村に辿り着く。
村では護符を焚いているから大丈夫。
そう思った二人が見たのは、
里紗
朔
暗闇の中、
黒い妖たちが
村人をむさぼる姿だった。
どうして村に妖がいるのか。
どうして篝火が消えているのか。
どうして…
どうして…
だが、答えてくれる者は一人もいなかった。
~日没前の話し~
村人A
村人A
村人A
村人A
村人A
友也
村人A
友也
村人A
村人A
友也
村人A
村人A
ぼわっ
村人A
バシャッ!
村人A
グルルルアッ!
村人A
顔を上げると屋根の上に
小さな影を見つけた。
村人A
そう呟いた村人に
数匹の妖が飛び掛かった。
村人A
喉元を噛み千切られ、
倒れる。
村人B
それを見た村人が悲鳴を上げた瞬間、
再び屋根から妖が飛んできて
その喉元に噛み付いた。
あっという間だ。
あれよあれよという間に、
祭りの準備で外に出ていた村人たちは
妖に襲われ
倒れて行った。
小夏
そう言って護符を燃やしても、
妖がすぐに水をかけて火を消してしまう。
小夏
小夏
小夏
友也
友也
友也
そして、
ほぼ全員死んだころ、
朔と里紗が村に戻って来たのだ。
里紗
朔
へたり込む里紗の手を朔が引っ張る。
里紗
里紗
朔
朔
まだかろうじて
朔の持っている護符は燃えている。
里紗
里紗は涙を拭って立ち上がり、
真っ暗になった村の中を走る。
辺りには血の臭いが漂い、
あちこちに知った顔の死体が転がっていた。
里紗
朔
里紗
涙を拭って二人は走る。
朔
その二人の前を
楽しそうに飛び跳ねながら
数匹の妖が通り過ぎる。
里紗
その妖たちは血塗れの死体を
担いでいた。
里紗
朔
引き留めようとした
朔の手を振り切って
里紗は死体を担いだ妖の後を追う。
朔
里紗の後を追う
視界の端で
護符が燃え尽きた。
朔
朔
朔はとりあえず、
落ちていた鉈を拾い上げて
里紗を追いかけた。
追いかけた先にいたのは、
朔
村の畑の真ん中に
多くの村人たちの死体が
折り重なるように積み上げられ
その上にこれまで見たどの妖よりも大きな
大きな妖が鎮座しており、
人の腕を美味しそうに食べていた。
朔
少し離れたところで
へたり込んでいる里紗を見つけ
駆け寄ろうとしたが
里紗
朔
すばしっこい妖が
ひょいと里紗を担ぎ上げて
死体の山に向かって走る。
朔
朔の投げた鉈は
妖の届くことなく地面に刺さるだけだった。
オオォォォッ!!
大きな妖が叫ぶと
ざわざわと空気が揺れる。
四方から小さな妖が
朔めがけて飛び掛かって来た。
朔
もうダメだと諦めかけたそのとき、
ベニ
そこに拍子抜けするほど
明るい声が聞こえ、
里紗を担いでいた
妖の体が切り裂かれた。
そして、
朔に襲い掛かろうとしていた妖に
どこからともなく飛んできた札が貼りつくと
一拍置いて爆発した。
里紗
朔
ベニ
地面に倒れた里紗に
手を伸ばす一人の人物。
旅人風の恰好で、
帯には二本の刀が差してあった。
里紗
ベニ
言いながら飛び掛かってくる
小さな妖を蹴飛ばす。
ベニ
ニヤリと笑みを浮かべて、
腰にさげていた黒い柄の刀を抜く。
ベニ
ベニがどことはなしに言うと、
ふわりと近くに青白い炎が現れた。
ベニ
彼は心底楽しそうに言った。
里紗
そこで明らかにある妖の数。
三人を囲むのは
十匹ほどの小さな妖と
一匹の大きな妖。
大きな妖はベニを見つめながら、
のんびりと人の足にかじりついた。
ベニ
里紗
言われるまま
里紗は朔のいるところまで下がる。
ベニ
トントンッとその場で軽く二回飛んで、
ベニの姿が消えた。
まず一匹目、
胴を横に両断する。
二匹目、
四肢を切り落とす。
三匹目、
首を刎ねる。
四匹目、
胴を縦に両断した。
朔
それは目にも止まらぬ速さだった。
ベニ
しかし、ベニはやや納得していないで
ベニ
五匹目と六匹目の
首を刎ね。
七匹目、
札が貼りついて爆発した。
八匹目、
胴を縦に両断し、
九匹目、
真っ赤な炎に包まれた。
朔
朔
朔
どう見ても目の前の人物は
刀を振るっているだけで
気力を練っているようには見えなかった。
十匹目、
首を刎ねた。
ベニ
ベニは刀の切っ先を
大将に向ける。
オオォォォッ!!
空に向かって吼え、
手にしていた人の足を投げてきた。
もちろん、そんなものベニは容易く叩き落とす
が、
眼前に妖が迫っていた。
ベニ
ニヤリと笑うベニ。
妖の体に
ベニの背後から飛んできた札が貼りつき、
至近距離で爆発する。
里紗
ベニ
しかし、
ベニは無傷である。
爆発でよろめいた妖に
すかさず刀を振り下ろす。
妖は慌てて身をよじり
直撃を免れる。
ベニ
一歩大きく近づき、
追撃を入れる。
防ごうとした腕が
呆気なく切られ
宙を舞い地面に落ちる。
オオォォォッ!!
妖は吼える。
ベニ
足を引っ張られ
視線を落とすと
胴体を両断された
小さな妖が
ベニの足を掴んでいた。
ベニ
さらに強く引っ張られ、
体勢を大きく崩したベニに、
大きな妖が拳を振るう。
ベニ
ベニは刀を地面に突き刺し、
体勢を保つと
拳を蹴り上げ
そのまま宙返りし
地面に着地すると同時に
蹴り出し
刀を
下から上へ
切り上げた。
大きな妖は
後ろに飛んでそれを避けるが
その足に札が貼りつき
爆発し
ベニが素早く
その胴体を両断した。
ゆっくりと倒れる妖。
ベニは素早く後退すると、
両断された妖に
札が貼りつき
真っ赤な炎に包まれた。
ベニ
燃え上がる妖に
切られたはずの
小さな妖が
火を恐れず群がる。
ベニ
ベニが吐き捨てるようにして言うと、
真っ赤な炎に包まれた
妖がゆっくりと立ち上がった。
その体はすっかり元通りになり、
一回りほど大きくなっていた。
そして、
瞬き一つで
ベニと妖の距離は
無くなる。
渾身の体当たりを
後ろに飛び退くのことで
ベニはその威力を殺す。
刀を下から切り上げたが
炎で焼き爛れた手が
刀身を掴む。
ギギッ…
刀身が軋む。
その妖の顔面目掛けて
ベニは蹴り上げるが
それを身を反らして
妖は素早く避け
刀を持ったベニをそのまま
地面に叩き付けた。
ベニ
ベニの背後から飛んできた札を
妖は掴む。
爆発の衝撃で
指が飛び散ったが
気にする素振りさえ見せなかった。
ベニ
ベニが刀を掴んだ手を蹴ったが、
妖はその手を離さず
高々と振り上げ
ベニ
そして、
投げ飛ばした。
ベニは空中で一回転し、
着地と共に駆け出そうとしたが
村人の生首が飛んできた。
ベニ
それを叩き落としたが、
次から次へと
人の体の一部が飛んでくる。
ベニ
ベニが楽しそうに言うと、
後方から突風が巻き起こる。
朔
里紗
それは立っていられないほどの風だった。
その風に乗って
ベニは妖との距離を
一気に縮める。
刀を振り下ろし、
口先を切り
下から切り上げ
頬を削いだ。
妖が渾身の力を込めて
腕を振り下ろす
ガッ!
それを
片腕で受け止めるベニ。
驚いて目を見開く妖。
ベニ
ため息を零し
そして、
片手で
刀を横に滑らせた。
腹を裂かれ
後退しようとする
妖の背中が爆ぜて
前へ押し出される。
ベニは
間髪入れず
その首を
切り
地面に落ちる前に
さらに
縦に切った。
胴がモゴモゴと盛り上がり、
何かしでかそうとするより速く
ベニは素早く後方に下がり
札が妖の体に貼りつき
轟音と共に
雷が落ちた。
その衝撃で
妖は木端微塵に吹き飛んだ。
ベニ
コウ
そこに音も無く
もう一人の男が現れる。
ベニ
コウ
ベニ
コウ
コウ
ベニ
ベニ
コウ
ベニ
朔
ベニ
朔
朔は深々と頭を下げた。
ベニ
朔
ベニ
ベニ
ニヤニヤと笑うベニ。
無表情のコウ。
二人の顔は瓜二つだった。
里紗
ベニ
コウ
朔
ベニ
里紗
里紗
ベニ
コウ
ベニ
その言葉を聞いて
里紗と朔は安堵の息を零した。
まだ夜は明けない、
この二人がいれば安全だと思ったのだ。
里紗
里紗
ベニ
ベニは盃に注がれた
酒を一気にあおる。
朔
朔
ベニ
ベニ
里紗
ベニ
ベニ
ニヤッと笑って
里紗に盃を差し出したので
里紗は酒を注ぎ入れる。
そこにコウが外から戻ってくる。
ベニ
コウ
コウ
ベニ
朔
ベニ
コウ
朔
里紗
ベニ
コウ
ベニ
コウ
コウ
朔
コウ
ベニ
コウ
ベニ
コウ
コウは眉間に深い皺を寄せる。
ベニ
それから二人は遅くまで酒を飲んで、
そして翌朝、
陽が昇る前に姿を消した。
残された朔と里紗は、
陽の下に明らかになった惨劇を目の当たりにし
里紗は泣き崩れ、
朔は茫然と無数の死体を見つめることしか出来なかった。
結局、異常を感じて隣村の人が来るまで
二人はそこを動くことが出来なかった。
了