菜々瀬のお話集

この宿は呪われているんだ

宿の近くに池がある

宿の女将さんの子供は

元気で人気者で約束は何一つ破らない

でも

今日に限っては6時をすぎても7時をすぎても

帰ってこなかった

ついに警察に連絡したが

何も手がかりが見つからず

行方不明になってしまった

女将さんのたった一人の子だ

生きてることをただ信じた

今の方からベルの音が鳴る

部屋中に響き渡る音

電話だ

そっと出てみると

子供が見つかったとの朗報だった

しかし

池の底に沈んでいたはずなのに

頭だけがなかった

もう息を引き取った後だった

声にならない叫び声で

女将さんは

毎日叫んだ

喉がかれようと

腹が減ろうと

ずっと

ずっと

1週間たつと

声が消えた

けど

呪文のような声が残ってる

聞いていて不気味だ

ある日、パタリと声が聞こえなくなった

その日はちょうど

お子さんを池に落とした犯人が捕まった日

そして

東京の人で6年生ぐらいの子が

楽しみにしてた修学旅行の日

その日の夜

こんな噂が流れた

｢きもだめしのとき、ちゃんと相手を部屋に送って行ってやんないと｣

｢真夜中の足の方に｣

｢子供の頭が置かれている｣

と

ねぇ

次は

あなたの足元に