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会社近くのビーチ――

虎牙

ベアマンバーの”オーロラ味”と”暗黒銀河味”

虎牙

今日はこの2つの試作品を配って、反応を見る

白石 類

はい! 僕もお手伝いします

虎牙

うん、類も来てくれて助かるよ

白石 類

(オーロラ味は色がきれいで爽やかな味)

白石 類

(暗黒銀河味は濃いめの炭酸と、パチパチ弾けるキャンディが面白いんだよね)

白石 類

(あの人、食べ終わったみたいだから感想聞いてこようかな)

白石 類

どうですか? オーロラ味

白石 類

よかったらこちらのアンケート用紙に回答をお願いします

通りすがりの獣人

これ好きです! お店に並んだら絶対買います!

白石 類

本当ですか! ありがとうございます

白石 類

みなさーん! ベアマンバーのサンプリングをしています!

白石 類

試作品をもらいに来てくださいね!

白石 類

(っと、いつの間にかラッピングカーの前に長蛇の列が!)

白石 類

すごい反響ですね

虎牙

ああ。SNSにもさっそく写真が上がってるぞ

白石 類

本当だ!

虎牙

話題性があるってことだな

虎牙

この商品はいけると思う

用意していたサンプルは、すぐになくなってしまった。

白石 類

(あの人、人間だ。めずらしい。観光客かな?)

人間の男性

ベアマンバー、もうお終いですか?

人間の男性

SNS見て急いで来たのに……

虎牙

すみません! つい今しがた終わってしまって

虎牙

……あれ? 山井か!

人間の男性

え?

虎牙

俺だよ、俺! 虎牙

白石 類

(え、虎牙さんの知り合い?)

人間の男性

虎牙!? おまえ、こんなところで何やってんだ?

虎牙

ベアマンバーのサンプリング

虎牙

今、ホワイトベアークリームに勤めてて

人間の男性

マジか!

人間の男性

ウチ辞めてどうしてんのかと思ったら、そんなとこにいたのか

白石 類

(この人、虎牙さんの元同僚?)

白石 類

(そういえば虎牙さんは、東京の食品メーカーで働いてたんだよね)

人間の男性

そうかあ、ホワイトベアークリームに

人間の男性

話聞かせてくれよ。同じ食品系なんだしさ

人間の男性

仕事何時に終わる? 飲みに行こう

人間の男性

そっちのアシスタントちゃんも、な?

白石 類

えっ、僕のことですか?

虎牙

違う、コイツは俺のアシスタントじゃなくて

虎牙

なんだろ、うちの幹部候補か?

人間の男性

え、この可愛い子が幹部候補?

虎牙

ははっ。可愛いうえに優秀なんだよ

虎牙

さっき配ってた新商品もコイツの発案

人間の男性

へええ、すごいんだな

人間の男性

じゃあ今夜、飲みながら話聞かせて!

白石 類

(えーと、僕も!?)

ラッピングカーの車内

虎牙

類、さっきの話だけど、無理に来なくていいからな

虎牙

俺が適当に言っとくし

白石 類

でも……

虎牙

というのも、あいつと飲んでも、あんま楽しい話にはなんないと思う

白石 類

あの方と、過去に何かあったんですか?

虎牙

いや、そういうわけでもないんだが

虎牙

あいつは前の会社の同期で、何かと競い合ってた仲だから

虎牙

出世レースから離脱して獣人の街に戻った俺を、笑いたいだけだと思う

白石 類

(そっか。そんな感じなんだ……?)

白石 類

(そういえば虎牙さん、前に言ってたな)

 ――獣人が人間の会社で上に上がっていくのは、それなりに大変でさ。いろいろあって……。

白石 類

獣人だってことは、人間の会社でハンデになるんですか?

虎牙

ああ……。人間は獣人をかわいがりこそすれ、上の立場に置くのは怖いんだ。だから人間の会社で出世するのは難しい

虎牙

獣人は頭より感情で動くとか、いざとなったら噛みつくとか、人間たちにはそういうふうに思われてるからさ

虎牙

そういう環境で、俺はうまくやれなかった

白石 類

ごめんなさい。僕、何も知らなくて……

虎牙

そんな顔すんなって

虎牙

類は何も悪くねーだろ

白石 類

(なでてくれる虎牙さんの手、あったかい)

白石 類

でも……人間の僕に、アナタに優しくされる資格なんてあるんでしょうか?

虎牙

人間だからどうとかってのは違うだろ。類は類だ

虎牙

……けど、それもきれい事だな

白石 類

え……?

虎牙

俺は類が人間だっていう部分にも、否応なく惹かれてる

虎牙

おまえは獣人の俺を受け入れてくれた、特別な人間で

虎牙

他におまえのいい所もすごい所も、たくさん知ってるけど……

虎牙

それでもベッドで誘われた時の興奮は、一生忘れられない

白石 類

…………

白石 類

だったら僕だって、落ちこぼれだけど人間でよかった

白石 類

虎牙さんの特別になれるよりいいことなんて、きっと僕には、これからも一生ないから

虎牙

類……

白石 類

(もっと一緒にいたいのに、会社の駐車場に着いちゃった)

虎牙

類、待て

白石 類

はい?

ちゅっ

白石 類

こ、虎牙さん、誰か見てたら……

虎牙

悪い、続きはまた今度な

白石 類

(続き、あるんだ?)

白石 類

ねえ虎牙さん、あなたも行かないでくださいよ。山井さんとの飲み

虎牙

え……?

白石 類

でも虎牙さんが行くんだったらぼくも行きます

白石 類

あなただけ嫌な目には遭わせたくない

虎牙

おまえ、人と話すのが苦手なくせに、俺のためにそこまでするんだな

白石 類

それは……あなたのことが好きだから……

虎牙

おまえは俺が、どんなつまんねー男でも構わないわけ?

白石 類

虎牙さんのこと、誰かがつまんないなんて言ったんですか?

白石 類

僕にとってあなたは、世界一かっこいいヒーローです!

虎牙

そういうの、どんな顔していいのかわからないからやめてくれ

虎牙

それともその口、またキスでふさがれたいか?

白石 類

虎牙さん……僕……んっ……あ……

白石 類

(口の中、舌入ってくる……ここ、会社の駐車場なのに……大胆すぎるよ……)

虎牙

よし、決めた!

白石 類

え……?

虎牙

今夜は可愛い類とイイコトするから、飲みは無理だって言ってやろ

虎牙

さっそくメッセージ送る

白石 類

えええええ!?

白石 類

(あの山井さんって人、それ見てどんな顔をするんだろ……)

白石 類

(でもいっか。虎牙さんが楽しそうだし)
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