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──────ザザッ。

そう言えば……。

なんでオレは 『仮人間』になったんだろう?

──────ザザッ。

『分からない』

『思い出せない』

『知らない』

──────ザザッ。

だって……。

──────ザザァァァ。

オレには……。

『人間の頃の記憶』が……。

ないから……。

〜過去のお話編〜 レグルスの人間の頃の話。

木霊 怜來

……。[窓から空を見てる]

木霊 李來

あ、怜來(れく)にぃ!

木霊 李來

[てこてこ、と近付く]

木霊 怜來

あ!李來(りく)!

当時の彼らは4歳から5歳くらい。

この二人は双子の兄弟である。

『怜來』……今で言う『レグルス』は 双子の兄の方であった。

木霊 怜來

どうしたんだ〜?

木霊 李來

お外見てたから、気になってたんだ!

木霊 怜來

今日のお空キレイだったんだ!

木霊 怜來

だから、見てた!

木霊 李來

へぇ!オレも見たーいっ!!!

木霊 怜來

一緒に見よ〜っ!!!

木霊 李來

うんっ!

二人は空を眺める。

見た目は似てるが、 髪の毛と目の色が違う、 二卵性の双子。

彼らは仲良しで 毎日、隣で遊んだり寝たり食べたり過ごしたりしていた……。

両親から 二人の事を可愛がられていた。

……だが。

祖父母からは 怜來と李來の接し方が違っていた。

祖父母の家。

木霊 李來

おじいちゃんとおばあちゃんの家、久々だよね!

木霊 李來

広いk……わわ!!!

木霊 李來

[転んでしまう]

木霊 李來

……うぅ。

木霊 怜來

……!

木霊 怜來

李來、大丈b……。

祖父

李來が……!

祖母

まぁまぁ、李來。大丈夫かいな?

祖父

……怜來、君が転ばせたのか?

木霊 怜來

え、ち……違うよ。

木霊 怜來

オレは何もしてない。

祖母

嘘おっしゃい。

祖父

大体、兄というものは、弟にばっかり目を向けられるから、弟にいじわるをしたくなるのだろう?

祖母

だから、今回の事もそうなのだよ。

木霊 怜來

ち……違うんだって!!!

木霊 李來

……怜來にぃは……悪くないよ。

祖母

そんな事ないよぉ。

祖父

さて、立てるか?

木霊 李來

……うん。

怜來のせいにしてくる祖父母。 そう、祖父母は、怜來のような兄的存在がとてもにがてだったのだ。

こんな日も……。

木霊 怜來

わっ……!!!

木霊 怜來

[階段から落ちる]

木霊 怜來

いた……っ……!!!

木霊 怜來

[泣きそうになる]

祖父

[たまたま通りかかった]

祖父

こら。泣くな。

祖父

『お兄ちゃん』なら我慢出来るだろ。

木霊 怜來

……っ。

……!怜來!!!

お義父さん、どうか、そう言わないで。

祖父

知るか、んなものを。

祖父

それが『兄の義務』だろう。

木霊 怜來

お母さん……っ。

……やめてください。

怜來を泣かせないで。

祖父

ったくもう。[歩いていった]

……。

木霊 怜來

[泣きそうになる]

怜來……。

泣きたいなら、泣いていいんだよ?

木霊 怜來

っ……!

木霊 怜來

オレ……っ!泣いて……っ!ないもんっ!!!

木霊 怜來

泣かないもんっ……!!!

木霊 怜來

[涙がぽろぽろ、と零れる]

木霊 怜來

泣かない……っ!!!

木霊 怜來

うわぁぁぁああん!!!

怜來……。

[怜來を抱いてあげる]

ごめんね。怜來。

木霊 怜來

わぁぁあん!!!

木霊 李來

……。

木霊 李來

[部屋からこっそりと見てた]

木霊 李來

……怜來にぃ……。

木霊 李來

……![何か決心した顔で一回部屋に戻る]

木霊 怜來

ひくっ……ひくっ……。

ごめんね。本当に……。

大丈夫?

木霊 怜來

ぅ……ぅん……。

そういえば、階段から落ちたよね?

痛かったね。

すぐに冷やすから。歩ける?

木霊 怜來

……痛い。

……うーん。じゃあ、お部屋まで連れていくから。

リビング。

ちょっと待っててね。

[急いで走る]

木霊 怜來

……。

木霊 李來

[すれ違うように現れる]

木霊 李來

怜來にぃっ!!!

木霊 怜來

……李來!!!

木霊 李來

大丈夫?

木霊 李來

痛い?

木霊 李來

階段から……落ちた……怜來にぃ……。

木霊 怜來

痛いよ。

木霊 怜來

……おじいちゃんが……泣くなって……言われた……。

木霊 怜來

『お兄ちゃんなら我慢しろ』って……。

木霊 李來

……。

木霊 李來

[怜來のアザが出来た部分を見る]

木霊 李來

痛いの、痛いの、とんでけーっ!!!

木霊 怜來

……!?

木霊 李來

痛いの、痛いの、とんでけーっ!!!

木霊 怜來

李來……?

木霊 怜來

あはは……なぁにそれ?

木霊 李來

痛いのが消えるおまじないだよ!

木霊 李來

お父さんが教えてくれたんだ!

木霊 怜來

そうなんだ!

木霊 怜來

[興味津々なのか、笑顔で言う]

木霊 李來

……![笑った事に嬉しそうに笑う]

怜來の唯一の大切な人は 弟の李來だった。

お父さんもお母さんも 怜來にとって助けになる人だった。

……でも やっぱり、祖父母は彼を嫌っていた。

祖父

なんでこんな事も出来ないんだ?

祖母

『お兄ちゃんなら』出来るでしょ?

祖父

李來の方が出来るぞ。

祖父

情けないな。

祖母

これだから、嫌なんだよ。

木霊 怜來

……。

木霊 怜來

[泣きたくない、と思っていたが目には涙が見える]

木霊 李來

おじいちゃん、おばあちゃん……怜來にぃは、悪くないよ!

木霊 李來

お願い。怜來にぃを酷く言わないで!

木霊 怜來

……もういいよ。

木霊 李來

……え?

木霊 怜來

[走る]

木霊 李來

……!!!

木霊 李來

怜來にぃ……っ!!![追いかける]

木霊 怜來

(なんで……。)

木霊 怜來

(なんでいつも……オレばっかり。)

木霊 怜來

(なんでなんでなんでなんで???)

木霊 怜來

(……嫌だよぉ……。)

木霊 怜來

(おじいちゃんとおばあちゃんなんて……っ!!!!!!)

木霊 怜來

大っ嫌いっ──────!!!!!!

その時、怜來の左手首を 李來が掴んだ。

木霊 怜來

……。[瞳を丸くする]

木霊 李來

怜來にぃ……っ!!!!!!

木霊 怜來

……!!!!!!

木霊 怜來

……李來……。

木霊 李來

ごめんね。怜來にぃ。

木霊 李來

嫌な思い……させちゃって。

木霊 怜來

……え。

木霊 怜來

なんで……李來が謝るの?

木霊 李來

オレのせいで……お兄ちゃんの怜來にぃが……無理してるのに……!!!

木霊 怜來

……なんで……。

木霊 李來

怜來にぃが一人で泣いてる所、何回も見た……っ!!!

木霊 李來

悲しい顔だった……!!!!!!

木霊 李來

怖い思いをしてる顔だった……!!!!!!

木霊 怜來

……っ!!!

木霊 李來

ごめんね……。弟のオレが……。

木霊 怜來

どうして、李來自身を責めるの?

木霊 怜來

李來は悪くない……。

木霊 怜來

おじいちゃんとおばあちゃんが悪いんだよ……っ!!!

木霊 怜來

李來には優しくするのに……。

木霊 怜來

オレには悪い人みたいに言われて……。

木霊 怜來

だから……ごめん……。

木霊 怜來

オレのせいで……。

木霊 怜來

オレが……。

木霊 怜來

情けないお兄ちゃん……だから……。

木霊 李來

……。[怜來を抱く]

木霊 怜來

……!?

木霊 李來

怜來にぃは情けなくないよ。

木霊 李來

怜來にぃは……。

木霊 李來

オレにとって、大好きな頼れるお兄ちゃんなんだよ?

木霊 怜來

……!

木霊 李來

怜來にぃは、怜來にぃなんだ。

木霊 李來

怜來にぃらしく……居てほしい。

木霊 怜來

……。

木霊 怜來

[李來を優しく抱き返す]

木霊 怜來

李來……。

木霊 李來

怜來にぃ……。

李來は 怜來にとって、大好きな弟だ。

二人はお互い助け合って 生きていた。

……だが。

まさか……。 『あの出来事』で……。

『生き別れ』になるなんて。

現在。 大学にて。

木霊 李來

(そして……怜來にぃは、公園で遊んでる途中に誘拐されたんだよね。)

木霊 李來

(あれから……十四年くらいしたのか。)

木霊 李來

(ずっと……行方不明なんだよね。)

詳しくは 『見た事がある君』 をご覧下さい。

木霊 李來

(はぁぁ……。)

木霊 李來

(今、怜來にぃが生きてるなら……。)

木霊 李來

(会いたいなぁ……。)

木霊 李來

(あ……そろそろ帰らないと。)

木霊 李來

[鞄を持って教室をあとにする]

公園にて。

レグルス

……。

レグルス

はぁぁ……疲れた。

レグルス

……。

レグルス

(今……一瞬だけ……頭の中が真っ白になったような……。)

レグルス

気のせいだよな……っ♪

レグルス

……はぁ……。

レグルス

[空を見上げる]

レグルス

でも……。

レグルス

『何かを忘れてる』ような……。

レグルス

……知らね。

レグルス

『人間の頃の記憶』なんて……何も覚えないし……知らねぇから……。

レグルス

でもなんで……。

レグルス

モヤモヤ……するんだろう……?

木霊 李來

[歩いてる]

木霊 李來

……あ。

木霊 李來

レグルス君。

レグルス

ん?

レグルス

おぉ、よぉ、李來。

レグルス

学校帰りか?

木霊 李來

うん。

レグルス

んで、まだ見つかってないの?

レグルス

『双子の兄』……。

木霊 李來

うん。まだ見つかってないんだ。

レグルス

そっか……。

レグルス

……見つかるといいな。

木霊 李來

うん。ありがとう。

レグルス

あ、そろそろ行かねぇと電車乗り遅れるんじゃねぇの?

木霊 李來

あ、そうだった。

木霊 李來

ありがとう、じゃあね。

木霊 李來

[走っていく]

レグルス

おう〜!気をつけて帰れよ〜!

二人は気付いてない。

もうすでに 『再会出来ている』事を……。

レグルスには記憶がない。

李來には怜來(レグルス)が消えるまでの記憶を覚えている。

二人がどうなるかは。

お楽しみに……。

【番外編】過去まとめ

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