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星の記憶と七つの影

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星の記憶と七つの影

3 - 月の書庫とオルフェウスの微笑

2025年06月29日

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四人は次なる"記憶の欠片"を求めて

"神に仕えた魔術師たちの知識が"封じられているという場所へ向かった

セリル

...ここが"月の書庫"か

その名の通り、天井が半月のように湾曲した古の図書院跡

静寂に包まれ、数百年の時が眠っている場所

高い書架には崩れかけた本が積まれ、中央の祭壇には封印術式の残光がまだ淡く残っていた

ミレイユが足元の文様に手をかざすと、波紋のように微かな魔力が広がる

ミレイユ

...私の中の何かに触れてくる

ミレイユ

胸が苦しいのに、懐かしい

サフィル

記憶が反応しているのだろう

サフィルが彼女の肩にそっと手を添えた

サフィル

もしかすると、ここには"君が過去に術を学んでいた過去"があるのかもしれない

ミレイユ

術を...?

ミレイユが戸惑う中、ジルが鼻を鳴らした

ジル

どんどんお嬢さんがとんでもない存在になってくな

ジル

次は雷でも落とすんじゃない?

セリル

黙れ、軽口ばかり叩くな

セリルが低く睨む

ジル

いやいや、俺は空気を柔らかくしてやってんのさ、"氷の騎士様"?

二人の間に妙な火花が散った瞬間__

ふわっと空気が揺れた

祭壇の脇の影がするすると伸びる

何もなかったはずの場所に、人影が一つ現れた

ラズロ

喧嘩は嫌いだよ、騎士殿

ラズロ

音が大きいと"記憶の声"が逃げてしまう

その声は柔らかく、どこか中性的だった

そこに立っていたのは、 黒いローブに身を包み、黒い長髪を垂らした一人の美しい人物

左の瞳は蒼、右の瞳は金

光と影を宿したようなオッドアイがミレイユをじっと見つめていた

ラズロ

やっと、君に出会えた

ラズロ

"巫女の器"__ミレイユ

ミレイユ

え...どうして私の名前を?

彼は微笑んだ

ラズロ

僕の名前はラズロ・オルフェウス

ラズロ

古代魔術の残響を追っていたら、君の記憶が僕を読んだんだ

サフィルが一歩前へ出た

その眼差しには鋭い警戒心があった

サフィル

...君は術を知っているものか

サフィル

まさか、かつてこの身体を作った術師の関係者では..?

ラズロ

関係者...か

ラズロ

そう言ってしまえば、そうなのかもしれない

ラズロは宙を指でなぞり、微細な光の円を描く

するとその魔法陣から、古代語で書かれた記録の幻像が浮かび上がった

ラズロ

この記録にある"神の器"を作るための魔術

ラズロ

それが、君__

ラズロ

サフィルの存在の根幹だ

ミレイユは息を呑んだ

ミレイユ

...サフィルは、神の器...?

ラズロ

いや、彼はただの器にはならなかった

ラズロ

君の声に触れて、自我を得た

ラズロ

だからこそ、彼は"神殺し"の鍵となる

静かに語るラズロの言葉に、一同は凍りつく

ラズロ

君たちが辿ろうとしている旅は、神の支配の真実を暴く旅だ

ラズロ

そして、僕もまた...それを望んでいる

セリルが一歩前に出た

セリル

なぜ君がその情報を?

セリル

何者なんだ

ラズロはわずかに笑みを浮かべた

ラズロ

僕は観察者であり、干渉者

ラズロ

...そして、君たちの味方であり、時に敵にもなりうる存在さ

ジルがポツリと呟く

ジル

やっかいな奴が増えたな...

ジル

しかも、顔だけは俺より上かもしれねえ

ラズロ

では、少しここの案内をしよう

ラズロ

ここには、禁術・封印術・記憶の書といった人が知るには少しばかり危うい知識が眠ってる

ラズロは長い指で本の背を撫でるように歩く

その姿はまるで、書庫そのものが彼の一部であるかのように自然だった

セリル

...それでも見せてくれるんですね

セリル

私たちに

そう尋ねたセリルの冷ややかな瞳の奥には、警戒の光があった

ラズロ

ああ、もちろん

ラズロ

"仲間"だろ?

ラズロはふわりと笑う

だがその微笑はどこか空虚で、どこか寂しげでもあった

そのとき、ラズロは歩みを止め ある本を手に取る

ラズロ

ミレイユ

ラズロ

君に見て欲しいものがある

ラズロが差し出したのは、白革の装丁に銀の文字で綴られた一冊

表紙には

《オルフェウスの寓話__月が記憶を攫う夜》

ミレイユ

これ...?

ラズロ

これは僕の記憶を記したもの

ラズロ

...正確には、"僕が記憶を失った頃に綴った"書

ラズロの声が少しだけ低くなる

ラズロ

私は昔、ある術を使い

ラズロ

愛する人の記憶を代償に封印を行った

ラズロ

...その人が僕を忘れてしまうことが代償だった

ミレイユは息を呑む

ラズロの眼差しはどこまでも静かで、それでいて深く哀しい

ラズロ

僕が君たちに惹かれるのは__

ラズロ

君とサフィルの関係が、どこか昔の僕に似ているから、なのかもしれない

ミレイユは本を大事に抱えながら、そっと尋ねた

ミレイユ

その人のこと

ミレイユ

今も...覚えていますか?

ラズロ

ああ。僕は"忘れさせた"だけで、忘れてはいない

ラズロ

だからきっと、いつか取り戻せると信じてる

ラズロ

...術が全てを壊すとは限らない

ラズロ

記憶の代わりに、想いだけが残ることもある

そう言って、ラズロは微笑んだ

その微笑は、これまで見たどの笑顔よりも 人間らしく優しかった

ラズロ

君も、失わずに済むといいね

ラズロ

大切なものを

ミレイユ

...はい

ミレイユは静かに頷いた

そして、その手の中の本がふわりと光を放つ

まるで、誰かの記憶が 新たな物語を刻み始めたように

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