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四人は次なる"記憶の欠片"を求めて
"神に仕えた魔術師たちの知識が"封じられているという場所へ向かった
セリル
その名の通り、天井が半月のように湾曲した古の図書院跡
静寂に包まれ、数百年の時が眠っている場所
高い書架には崩れかけた本が積まれ、中央の祭壇には封印術式の残光がまだ淡く残っていた
ミレイユが足元の文様に手をかざすと、波紋のように微かな魔力が広がる
ミレイユ
ミレイユ
サフィル
サフィルが彼女の肩にそっと手を添えた
サフィル
ミレイユ
ミレイユが戸惑う中、ジルが鼻を鳴らした
ジル
ジル
セリル
セリルが低く睨む
ジル
二人の間に妙な火花が散った瞬間__
ふわっと空気が揺れた
祭壇の脇の影がするすると伸びる
何もなかったはずの場所に、人影が一つ現れた
ラズロ
ラズロ
その声は柔らかく、どこか中性的だった
そこに立っていたのは、 黒いローブに身を包み、黒い長髪を垂らした一人の美しい人物
左の瞳は蒼、右の瞳は金
光と影を宿したようなオッドアイがミレイユをじっと見つめていた
ラズロ
ラズロ
ミレイユ
彼は微笑んだ
ラズロ
ラズロ
サフィルが一歩前へ出た
その眼差しには鋭い警戒心があった
サフィル
サフィル
ラズロ
ラズロ
ラズロは宙を指でなぞり、微細な光の円を描く
するとその魔法陣から、古代語で書かれた記録の幻像が浮かび上がった
ラズロ
ラズロ
ラズロ
ミレイユは息を呑んだ
ミレイユ
ラズロ
ラズロ
ラズロ
静かに語るラズロの言葉に、一同は凍りつく
ラズロ
ラズロ
セリルが一歩前に出た
セリル
セリル
ラズロはわずかに笑みを浮かべた
ラズロ
ラズロ
ジルがポツリと呟く
ジル
ジル
ラズロ
ラズロ
ラズロは長い指で本の背を撫でるように歩く
その姿はまるで、書庫そのものが彼の一部であるかのように自然だった
セリル
セリル
そう尋ねたセリルの冷ややかな瞳の奥には、警戒の光があった
ラズロ
ラズロ
ラズロはふわりと笑う
だがその微笑はどこか空虚で、どこか寂しげでもあった
そのとき、ラズロは歩みを止め ある本を手に取る
ラズロ
ラズロ
ラズロが差し出したのは、白革の装丁に銀の文字で綴られた一冊
表紙には
《オルフェウスの寓話__月が記憶を攫う夜》
ミレイユ
ラズロ
ラズロ
ラズロの声が少しだけ低くなる
ラズロ
ラズロ
ラズロ
ミレイユは息を呑む
ラズロの眼差しはどこまでも静かで、それでいて深く哀しい
ラズロ
ラズロ
ミレイユは本を大事に抱えながら、そっと尋ねた
ミレイユ
ミレイユ
ラズロ
ラズロ
ラズロ
ラズロ
そう言って、ラズロは微笑んだ
その微笑は、これまで見たどの笑顔よりも 人間らしく優しかった
ラズロ
ラズロ
ミレイユ
ミレイユは静かに頷いた
そして、その手の中の本がふわりと光を放つ
まるで、誰かの記憶が 新たな物語を刻み始めたように