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〇〇
私がそう言ったとき、 空人も颯斗も一瞬だけ言葉を失った。 でも、すぐに、ふたりは迷わず言った。
大倉空人
空人の声は優しかった。 颯斗は腕を組んで、ちょっと不器用に笑った。
高尾颯斗
その言葉に、私は泣きそうになった。
深夜2時過ぎ、車で連れて行かれた先は、 都内の静かな住宅街にある大きな一軒家。
玄関のドアを開けると、ふわっと人の匂いと、 温かな空気が迎えてくれた。
大倉空人
おかえりーえ、空人?
誰? 隣にいる子……
寝間着姿の男の子たちが ぞろぞろと顔を出してきた。
彼らは―― ONE N’ ONLYと原因は自分にある。の、 メンバーたちだった。
テレビで何度も見た顔が、そこに並んでいる。
〇〇
高尾颯斗
颯斗が私の肩をぽんと叩いた。
高尾颯斗
〇〇
そう小さく頭を下げると、思いがけず誰かが笑顔で手を差し出してくれた。
みんなすぐ慣れるから安心して
寝る部屋、案内しますね
どこまでも優しい声。 誰一人、詮索することも、拒むこともなかった。
案内された部屋は清潔で、 やさしい灯りがついていた。
大倉空人
そう言って部屋を出ていく空人の背中を 見送りながら――私は布団のなかで、 声を殺して泣いた。
初めてだった。
誰にも怒鳴られない夜。 ただ、あたたかいだけの場所。 知らなかった。「家」って、 こんなに優しいんだ。