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やっと家に着き、鍵で扉を開ける。 「ただいま」...なんて、もう言わなくなってしまった。 今まで一人暮らしだったし、ナチスはяの帰りを待っていないかもしれないし、鍵の開ける音と閉める音で帰って来たくらいは察せると思うからだ。

数十分で帰ってくるつもりが、米英の所為で結構時間がかかってしまった。 ナチスは大丈夫だろうか。トラブルが起きていないだろうか。お腹を空かせていないだろうか。 いや、...それよりяのお腹がすいてることの方が問題かもしれない。 そんなことを考えながら、яは駆け足でリビングへと向かった。

ソビエト

すまんっ、...遅くなった

ソビエト

今から晩御飯作ってやるからな、

ナチスは相変わらずの無表情だ。 この様子だと、あまり気にしていないらしい。 もう時間という単位も気にしなくなったのかもしれない。

ソビエト

(....ん??)

帰りにつけていったテレビはバラエティ系の番組だったはずだが、今ついているのはニュース番組だった。 なんでニュース番組になっているんだ? ___まさか、ナチスが番組を変えた? でも、ナチが番組を変えるには、「言葉を発さないといけない」。 ...もしかして、...?

ソビエト

(...いや、)

ソビエト

(多分バラエティ番組が終わってニュース番組の時間になっただけだな)

ナチはずっと喋っていないから、喋ろうとしてもきっと声を出すことは難しいだろう。 ...びっくりした。無駄に期待しちまったよ、もう、...。

....

яはキッチンへ向かい、 晩御飯の準備を始めた。

...カチャカチャと、 食器が触れ合う音。 トン、トン、と、 包丁で具材を切る音。 ...じゅわぁぁぁ、 食べ物が炎で熱される音。 改めて聞くと、とても愛らしい音だと感じる。

君はこの生活音を、どう思って聞いているのだろうか。 もはや、もう音は何も聞こえていないのだろうか。 ...そうだとすると、少し可哀想に思える。

君はもう生きていないのかもしれない。 ...まあ、最初にとっくに判っていたことなんだけど。

少しだけ、希望を持っちゃったのがだめだったかな。

油断するとやけどをしそうになる。 それもそのはず、...ナチスが来る前はろくに料理なんてしなかったし、яは思ったより不器用だから、料理ができるようになるまで何日もかかった。 家事もそうだ。...誰かに教えてもらおうにも、今のяは他の人とマトモに向き合える気がしない。 そして、誰もяに近づこうとしないだろうし。

ソビエト

...ほら、できたぞ

ソビエト

今座らせるからな

椅子のベルトを外して、ダイニングの椅子へと座らせる。 今日はシンプルなスープだ。 鶏肉を入れてみたが、...柔らかく出来たと思うから問題はないだろう。

ソビエト

はい、

スープを少量スプーンにとって、君の口元へ運ぶ。

ソビエト

(...?)

君はなぜか口を開けない。 朝はすんなりと開けたのに、 ....食欲がないのか?

ソビエト

ナチ、あーんして

君はяのことを光の速さで二度見した。

ソビエト

...あーん、

君は小さく口をあけた。

.......яはなんだかすごく嬉しくなって、 ちょっと興奮気味になってしまう。

ソビエト

なっ、ナチス、今、...!!

君はすぐに反応をしなくなった。 「あーん」と言わなくても、スープを近づければ口を小さく開ける。 一回きりのイベントだったようだ。

___ドクン、ドクン。 心臓が高鳴る。 脈が速くなる。

ソビエト

...へへ、っ

多分今のяは、 心底気持ち悪い笑顔をしているだろう。

P.S.壊れちゃった君へ

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